受信と返信。かつてのパリに何を見る?「Flying Houses」
いったい、これはなんだろう。部屋の中が燃えているお家、トレーラー、サーカスのテント、あらゆるものが浮いている。いつか来る未来だろうか。
これはフランス出身のフォトグラファーLaurent Chehere の作品、“Flying Houses”シリーズの一部だ。
Flying Housesは2007年にスタートし、以来、世界中で展示されている。2012にはパリでの展示もされた。パリの建築を、非常にファンタジックなかたちで表現している作品だ。
この作品はまず建物のかたちを描き、それから屋根、壁、窓、模様、人さえも画像編集で組み合わせている。いわゆるモンタージュだ。
パリは建築的にすばらしい街だが、彼はこの作品で“上昇”を表現しようと心がけている。読んで字のごとく物理的な上昇なのか、それともなにか暗喩的な意味が込められているのか。建物の中や屋上にいる人たちには見えているのかもしれない。
“私はこの名もなき家たちが、彼らの物語をつたえる一助となるように心がけているよ。”
建築に富んでいる街にも関わらず「名もなき家たち」とはどういうことだろうか。彼は、放浪者に関心があった。アフリカから移住し、トレーラーに身を潜めて警察の目をかいくぐっている放浪者にだ。夜も落ち着いて眠れない家に住み、郊外でひっそりと暮らすような。
かつてのパリからインスピレーションを受け、またかつてのパリにどんなメッセージを送っているのか。“Flying House”は今なお世界中を飛びまわっている。