日常から脱出する空間、移動もできる森の小屋「ESCAPE」
建築家、ケリー・デイビスによってアメリカ・カヌーベイに設計された、「ESCAPE」は一見すると完全に家屋だが、実は移動可能な住居だ。
そのため、移動交通手段と移動空間を併せ持つ「乗り物」と見なされる。
基礎から離せば移動可能なこの住居。室内の壁には、杉の細い板を一枚一枚丁寧に重ね張りにして仕上げており、木の温もりが目に優しい。
LEDによって室内は明るく保たれ、間取りは通常の「住居」と同規模。リビングルーム、ダイニングキッチン、寝室にバスルームも備えているため、もしここで暮らすことになっても快適な毎日を過ごせるだろう。
テラスに見える部分は実はガラス張りの部屋で、たっぷりと日の光が射す気持ちの良い空間になっている。
ここではベッドに寝そべってもいいし、ソファに腰掛けて本を読んでもいい。色気はないかもしれないが、洗濯物を乾かすのにも重宝するかもしれない。
ESCAPEシリーズは様々なサイズのものが用意されているが、オプションでアレンジ可能な住宅なので、暖炉を設置したり天井のデザインを替えたりと、さらに細かいニーズに応えることもできる。
残念ながら日本では未発売の住宅だが、モバイルハウスを手に入れる人も増えてきた昨今、工夫すれば日本でも作り出すことができるかもしれない。
ESCAPEという単語には、「逃げる」という意味の他に、「脱出する」という意味もある。
ひとつの環境にいるだけでは息が詰まりがちになってしまう。日常を脱出し、普段とは違う時間を楽しむための空間が手に入れば、生きることはもっと豊かになるに違いない。
それに加えて、この家は移動もできるのだから、住む土地に飽きたら別の場所に移ってもいい。その楽しみはずっと続くのだ。