人目を気にせずゆったり過ごせる、スコットランドの別荘「Beach house」
イギリスはスコットランドの西海岸に位置するモラー。斜面に沿って建てられたこの真っ白い家が、今回ご紹介するスモールハウスだ。この家はグラスゴーを拠点として活躍するDualchas Architectsが設計した。
総床面積が150㎡と、スモールハウスにしてはちょっと大きめの3ベッドルームの「Beach House」。貸別荘として、モラーの美しい白い砂浜を眼下に見下ろす丘の上に建築された。
ここから繋がる二つの外界への交通動脈はウエストハイランド鉄道と海岸線から島へ続く道路のみだ。この土地を外界とつないだのは隣接地の過剰な発掘調査による。今やそのあたりも木々や植物が生い茂ってそのあたりに覆いかぶさっている。
この傾斜のきつい土地に対応すべく、それぞれ段階的な焦点を持つ重なる二つの層で構成されている。地面に近い1階部分は周りの土地より少し下がった場所にあり、家の周りは土地の斜面で囲まれている。
家の背後の通りから見ると、まるで平屋のような印象を与える。ふたつの長い外壁は二階部分はカラマツの板材で覆われ、窓もない。代わりに屋根に天窓が設けられ、ダイニングルームに光が差し込むようになっている。南側の海に向かったリビングには大きな窓があり、また北側にも二つのガラス扉が取り付けられて、そこが出入り口となっている。
南向きに開かれたリビングスペースの大きな窓の外は広いバルコニーになっており、同時に大きな屋根が突き出ていて、日よけになっている。この大きな窓の外には白い砂浜の海岸線と点在するラム島、エッグ島、ムック島、やカナ島などの小さな島々が天気の良い日にはよく見える。大きな窓があるものの近隣の視点の近い場所からはリビングを見ることはできない代わりに、遠景を見せることで解放感があると同時にプライバシーも保っている。
変わって、3つのベッドルームと書斎がある一階部分は長い壁面部分に窓ガラスが取り付けられ、南北側はコンクリートの壁面で覆われている。外部からは1階部分の室内の様子が見えないように配慮されている。
この家の建つ土地を見下ろす高い丘の上にウエストハイランド鉄道が通っている。景観を損ねないよう配慮した外壁の両側と屋根を覆うカラマツの板材のおかげでこの家の存在が周りの景観に溶け込んで見える。
雨の多いスコットランドの気候に合わせ、木造のこの家の壁面にはレインスクリーンで保護されている。レインスクリーンとは、文字通り、外壁からの雨漏りを防止する目的のために設ける空間だ。外気と外壁裏面の空気圧を等圧にすることにより、外壁裏面への雨水の浸入を阻むことを目的としている。雨どいや排水路は排除され、代わりに寝室の窓をカーテンのように雨水が流れるように制御されている。
全ての内部及び外部の壁面は明るい白色で外光が差し込むと壁面が照らされ、ラッカーが塗布されたコンクリートの床に反射する。これにより室内が明るく、更に広く感じさせる。
スコットランドは一年を通して気温が低く、とても海で泳ぐことは望めないが、休みの日に遠くの海を眺めながら、こんな別荘で日常を忘れるのも良いだろう。
Via:
archdaily.com
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