【書評】モノを作れ、そして失敗しろ。それが勲章となるからだ。「Made by Hand ポンコツDIYで自分を取り戻す」|YADOKARIの本棚
DIYという言葉は徐々に日常的に使える言葉となってきている。日本でDIYというと、日曜大工と結び付けられやすい。しかし、DIYは「Do It Yourself」の略であり、「自分でやること」を意味する。
今回紹介する「Made by Hand ―ポンコツDIYで自分を取り戻す」は、アメリカのDIYムーブメントの火付け役である雑誌「Make」の編集長兼ブロガーであるFrauenfelder氏の著書だ。
タイトルと著者から想像できる本の中身は、「Frauenfelder氏がこれまでに関わった様々なDIYに関する解説や、実践的なDIYマニュアルが写真付きで紹介されている」というものではないだろうか。しかし、「Made by Hand ―ポンコツDIYで自分を取り戻す」の主題は「人がモノを作ること」について考えることだ。そのためか、写真は冒頭の7カットしか使用されていない。
Frauenfelder氏の人生初DIYは20代の頃だった。家の修繕にトライしたが見事に大失敗。この失敗がFrauenfelder氏の創造意欲を消し去ってしまったが、一方でDIY愛好家への憧れを生み、「Make」編集長としての仕事に役立っていた。
Frauenfelder氏はDIYについて発信しながら、自分の手を動かさず、DIYからは遠ざかっていた。そんな中、あるDIY愛好家から「何かをダメにする勇気を持つことで、物が直せるようになる」「失敗は、自分が行動的で好奇心がある証拠だ。」と学び、考え方が大きく変化した。その後、DIYが生活の一部となっていくFrauenfelder一家(夫婦と子供2人)の日々が本書を読み進めると追体験できる。
なにを作るのか、直すのかはあなた次第。DIYは作るだけにあらず、未知のチャレンジにワクワクし失敗から学ぶことを楽しむことが醍醐味だとこの本は教えてくれる。
仕事もプライベートも安定し、失敗から遠ざかってきている大人にこそ、DIYから学ぶことは多いのではないだろうか。