開放的で自然に優しい未来型ドーム「Dorm of visions」
コペンハーゲンの海辺に佇む、宇宙船のようなコンパクトな物体。バルーンが膨らんだ形のインスタレーションにも見えるが、地元では「Dorm of vision」という名で親しまれる、れっきとした建物だ。世界的に有名なコペンハーゲンの図書館「Black Diamond (黒いダイアモンド)」の隣に位置し、誰もが使うことの出来るコミュニティセンターとして開放されている。建築家のKristoffer TejlgaardとBenny Jepsenの手によって2013年に誕生したばかりの、コペンハーゲンの新しいホットスポットだ。
温室のような内部は、オリーヴの木、ローズマリーなど自然で溢れている。全体の骨組みにも木材が多用されているので、ひとたび足を踏み入れれば、木と自然の香りに心が癒されること間違いなしだ。開放的な オープンスペースとバー、というシンプルな作りで、コンサートやワークショップ、講演会などと幅広く使用されている。
テーマは持続可能性と未来。自然に優しい素材のみを利用し、自然光を最大限に取り入れて内部でのエネルギー消費を抑える。外枠として使われているのは、リサイクル可能で丈夫なポリカーポネートだ。今後は、ハーブや野菜など、実際に食べることが可能な植物も植えていく予定だという。
既に十分素晴らしい未来型建築だが、驚きはこれだけではない。なんと、このDorm of vision、移動が可能なのである!シンプルに組み立てが可能な構造になっているため、一定期間他の都市や場所に引越し、ということも今まで実際に行われてきた。もはや、文句のつけようが全くない。
このDorm of vision、その成果が認められて、現在はストックホルムでも第二号が建設中らしい。日本でも、この宇宙船のような建物は大歓迎されるのではないだろうか。
(文=杉田真理子)