コンテナは大人のレゴだ。二台のコンテナ+αで広々快適空間「Life-size Lego Experiment」

lego-experiment-tub01
Via: sierraclub.org

コンテナを使った家の建築は「実物大のレゴで実験しているようなもの」と、いたずらっぽく笑う男性。コンテナをずらしたり、分けたり、拡張パーツを投入したり。レゴ好きだった元少年にとって、持ち家の建築という人生の一大事でさえ、子供のころに夢中になったブロック遊びの延長なのかもしれません。

細長い格安の土地を見てコンテナハウスを思いついた

テキサス州キャロルトンにお住まいのセスさんとエリザベスさん夫婦の家は、前を通りがかれば思わず二度見せずにはいられない、ユニークな形のコンテナハウスです。

lego-experiment-tub02
Via: nola.com

「僕たちはあえて小さな面積に暮らしたかったんだ。そういう暮らしがしたいとずっと思ってた。」と語るのは、景観設計を専門とするセスさん。2011年に間口約7.6m、奥行き約38mという縦に長く伸びた土地に出合いました。間口が狭く縦に長い土地は人気がないのか、価格は破格の5000ドル。セスさんはこの土地を見て、学生時代に学んだコンテナの再利用を思いつきます。他の人には使いづらい形状の土地も、小さい暮らしを求め続けた2人には、かえって好都合だったのです。

家族や仲間と完成させた世界にひとつだけの家

土地を手に入れてからの2年間、セスさん夫婦は週末や平日の空き時間を利用して、家族や友人たちと一緒にコツコツと家づくりを進めてきました。エアコンや暖房、外に通じるドアの取り付け、配管、電気工事もこなす仲間たちの存在は頼もしい限り。資金集めに苦労したり、3600㎏を超えるコンテナの設置に手を焼いたりと、家づくりの苦労話もなかった訳ではありません。しかし家族や友人たちのサポートのおかげで、67㎡の床面積よりはるかに広く感じられる、どこまでものびやかで光に満ちた実験的なコンテナハウスが完成しました。

lego-experiment-tub03
Via: nola.com
lego-experiment-tub04
Via: design.lsu.edu

室内を明るく演出するために、セスさん夫婦は壁や木の枠組みはもちろん、家の内部に組み込まれたコンテナ部分も白くペイントしています。フローリングと手作りの家具に使用したのは明るい色味のサザンパイン。半透明の波型ポリカーボネートで覆われたリビングは、4m以上の天井高を確保しました。視線はリビングの先にあるダイニング兼オフィスを抜けて、裏庭のコンテナ小屋まで一直線に届きます。

コンテナ2台をずらして並べて、増築部分でつなげる

敷地の狭い、長いといった悪条件を活かすべく、セスさんとエリザベスさんは4tコンテナ2台を購入し、増築部分を挟んで縦に長い家を作りました。1台はエントランスの横に突き出るように設置され、手前から寝室、バスルーム、キッチンが配置されました。豪雨や洪水対策に、コンテナの頑丈な開き戸は寝室の窓を守るシャッターとしてそのまま利用しています。閉じた時のいかつい見た目も防犯面で役に立っているようです。

lego-experiment-tub05
Via: nola.com

小さな家だからと建材や仕上げの質まで落とす必要はない、そう考えたセスさんは、バスルームやキッチンに好みの大理石やタイル、御影石などを使っています。所々に配された高級な素材のおかげか、カジュアルな雰囲気の中にも大人の余裕が感じられるインテリアに仕上がりました。

lego-experiment-tub06
Via: nola.com
lego-experiment-tub07
Via: nola.com
lego-experiment-tub08
Via: nola.com

施主の仕事柄、参考資料などが沢山必要になるのか、本棚には400冊もの書籍が収められています。この本棚のあるダイニング兼オフィスは、先ほどとは別のコンテナを短くカットして作られました。突き当りは裏庭で、赤茶色の物体はカットした残りのコンテナで作った物置になっています。

lego-experiment-tub09
Via: nola.com
lego-experiment-tub10
Via: nola.com
裏庭にプールも完備

イームズのチェアが置かれたデッキの先まで進むと、なんとそこにはたっぷりと水をたたえたプールがありました。長過ぎて使いづらい奥行きの敷地を上手にいかし、プールのある裏庭まで作るなんて、以前の格安の土地を前に誰が想像したでしょうか?これから前庭で家庭菜園やニワトリを飼い、裏庭は熱帯のジャングル風に変えていく予定だとか。お庭が整えば、今よりもさらに素敵なお宅に変身を遂げることでしょう。

lego-experiment-tub11
Via: nola.com
lego-experiment-tub12
Via: nola.com

家づくりは迷わずやれよ、やればわかるさ?

ここまで見てきて、家の工費も格安だったらストーリーは完璧でしたが、現実はさにあらず。裏庭のプール込みで20万ドルの費用がこの家の建設に費やされました。そんなに安くもないのねと、読者の方をがっかりさせてしまったでしょうか?

なぜならこのご夫婦は金銭的なメリットありきでコンテナハウスを選んだ訳ではないからです。比較的近場で手に入る古いコンテナを再利用したり、67㎡の小さな家に住むことで光熱費を安く抑えることができたりと、環境負荷を少しでも減らすことにつながったことを評価しているのです。そしてそれ以上に、元レゴ少年のセスさんにとって、自宅の建築はブロックで夢中になって遊んだ子ども時代のような、ワクワクする時間を取り戻してくれたのでしょう。

便利なサービスやオシャレ、カワイイ、安い既製品が24時間どこにいても手に入る現代。消費社会の私たちの周りはいつも甘い誘惑に満ちています。お金と引き換えにいつの間にか自分で考えたり作ったり、育てたりする過程の楽しみまで失ってはいないでしょうか?セスさんのように家を作ることは難しくても、小さな家具一つでも手作りすることで、あなたの何かが変わりはじめるかもしれません。さて、次のお休みは、何を手始めに作ってみましょうか?

Via:
nola.com
wgno.com
design.lsu.edu