シースルーの外壁パネルを持った仏教学者のためのゲストハウス「Brentwood Air House」

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この一風変わった外見の建物は、ロサンゼルスの建築家フランソワ・ペラン氏が、カリフォルニアのある、仏教学者のために設計したゲストハウス。ポリカーボネート製の外壁パネルを採用した木造建築で、建物を構成している木の骨組みが外から透けて見えるという特徴を持っている。

この種の建築はエアアーキテクチャーと称されることが多い。エアアーキテクチャーは透明のポリカーボネートを使うことで木の骨組み部の間に空気の層ができ、住む人を暑さと寒さから守る断熱材のような高い機能を備えている。このゲストハウスの場合は、木の骨組みにカリフォルニア州・ブレントウッドに生育するレッドウッドを使用。カリフォルニアに古くから伝わるフレーミング技術と共に、見た目にもとても美しい外観となっている。

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さて、このゲストハウスには仏教に関する様々なコレクションが集められている。書物や仏具といった貴重な品々が室内にあるわけだが、空気の層による断熱効果はこれらのコレクションに常に良好な環境を提供している。つまり、骨董的な価値のある貴重品の優れた保管庫でもあるわけだ。

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ゲストハウスには、世界中から学者や仏教のエキスパートが訪れる。そんな人々を快適に迎え入れるために、このエアアーキテクチャーは、機能面はもとよりテクスチャーを含めた住空間にとって必要な要素が十二分に魅力的だといえる。優しい木質感に包まれた室内は、静かに仏教の世界を研究するための味わいのある空間でもある。

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シースルーの外観は周囲に圧迫感を与えず、遠目にはまるで蜃気楼のような印象を与えるという。さらに機能面でも多くの工夫が施されている。開閉操作が可能な天窓を設けることによって、暑い季節には積極的に海風を取り入れて涼を得る。寒い季節には日光を取り入れて暖を取る。また、ソーラーパネルを備えたエネルギー面での配慮もなされている。仏教という精神世界とハイセンスな建築コンセプトの融合。なかなかお目にかかれないゲストハウスなのである。

(文=吉田一紀)

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