もさもさと草が生える、木のようなタイニーハウス「Elevate」
青々とした葉が生い茂る外観が特徴的なこの建物。緑豊かなハワイの地で生まれたのは、自然のエネルギーを活用して自給自足する、本物のリビングハウス(生きている家)だった。この建物を設計したToothman夫妻は、2015年に「Elevate」のコンセプトハウスを発表した。
これまでありそうでなかった、この特徴的な外観。設計者は一体どのように思いついたのだろうか?
Elevateの設計者であるNathan Toothmanは、インスピレーションの源について、「自然を真似ること」と答えた。そう、この建物のコンセプトは、「木」そのものなのだ。幹にくぼみを備えた、大きな木を想像してみてほしい。その幹のくぼみに雨水が溜まり、少しずつ水分を吸収しながら浄化し、自らの枝葉へと栄養を流していく。Elevateはそんな過程を表現しているという。
「幹」のコンセプト通り、Elevateは雨水を溜めるための隠れた貯水タンクを持っている。雨が降ると、屋上に設けられた集水装置が働き、タンクへと溜まる。
屋上にはソーラーパネルが備えられ、太陽光発電でエネルギーを賄う仕組みだ。さらに、太陽光発電で得たエネルギーを使って、雨が降っていないときでも大気中の湿度を利用して貯水タンクを満たすことができるという。
また、青々とした緑が目を引く生きている壁も、自然の冷却装置として機能する。
もちろん、タイニーハウスとしての価値も十分だ。足元から2階部分へと広がるような木を模したフォルムは、これまで利用されづらかった小さな土地や空間を活用することができる。室内は広々としたつくりで、いくつかあるモデルから約23㎡~37㎡の広さを選ぶことができる。
建物に隠されたさまざまな機能は、私たちの暮らしに新しい可能性も提案してくれる。
Elevateは柔軟なカスタマイズが可能で、複数のElevateを組み合わせて利用することも可能だ。そうすることで、タイニーハウスとしてだけでなく、ドライブスルーカフェ、ファーストフード店、スタジオなどさまざまな用途に利用することができる。
さらには、イベント時に利用できる期間限定の販売店、ホームレスのためのシェルター、動物園やサファリの観測塔など、その可能性はアイデア次第でいくらでも広がっていきそうだ。
2015年にスタートしたばかりのElevate。今後は、クラウドファウンティングなども利用してビジネスを拡大させていくという。さまざまな可能性を提案してくれるElevateの今後にも注目してみたい。
Via:
elevatestructure.com
tinyhousetalk.com
civilbeat.com
hawaiimagazine.com
gizmag.com
fastcoexist.com