場所は隅々まで活用しよう。極細レストラン「the Pink Moon Saloon」
ビル同士の隙間をつかった極細建築は、土地の少ない日本では多くの例があっておなじみだが、こちらの「the Pink Moon Saloon」はどうだろうか?横幅わずか3.77m。オーストラリア南部の都市アデレードに建てられたバー兼レストランは、Sans-Arc Studioによるデザイン。ただ小さいだけでなく、ぴりっと気が利いていた意匠が気持ち良い。
極細物件で一番問題になるのは日照率だ。Sans-Arc Studioは、バーとレストランで建物を区切り、間に中庭を挟みこむことで、日光を多く取り入れられるよう工夫した。ウッドデッキの中庭も、半屋外気分で昼夜を問わず楽しむことができる。
デザインで大切にしたのは「オーストラリアらしさ」だ。Sans-Arc Studioは、土地の風土や地域の特性を大切にした建築作りを大切にしている。そのため、タスマニアンオークやゴムの木など地域にある木材をメインに使って、昔ながらの三角屋根の山小屋風なデザインにした。
中途半端な広さであるがために放置され、ごみ置き同然となっていた都市のデッドスペース。アイデア次第で、こんなにも素敵な空間が出来上がる。その土地に合った材料と、地元のデザイナーや設営業者がタッグを組めば、安価でありながら隅々まで手が行き届いた建物が完成する。
実は都市の至るところに見つかるデッドスペース、あなたの街でも活用できないか、考えてみてはいかがだろうか。