シンプルだけど暖かい、信州カラマツで建てたミニマルハウス「Pettanco House」
![外観(夜景)](https://i0.wp.com/images.adsttc.com/media/images/5671/fd79/e58e/ce6d/b500/0096/slideshow/30-DSC04919_R.jpg?resize=1140%2C760)
誰かにキュッと押しつぶされたようなシルエットのこの家は、北アルプスの雪解け水が大小の河川となって街中をめぐる長野県松本市、松本城近くの小川のほとりに建っています。「ペッタンコハウス」という可愛らしい名前を付けたのはこの家のお子さんですが、こんな形になったのには、訳があります。
![外観(ペッタンコ)](https://i1.wp.com/images.adsttc.com/media/images/5671/facb/e58e/ce6d/b500/0089/slideshow/03-DSC04610_R.jpg?resize=1140%2C760)
施主の前田大作さんは、100年続く江戸指物の家の生まれ。前田さんが小学生のころ、お父さんが鎌倉から松本に工房を移しました。工房の周りは、新緑や紅葉など、四季折々に美しい姿を見せるカラマツ林。そこで育った前田さんはいつしかカラマツに魅せられ、木工家となった今、カラマツ材を使った家具作りをはじめ、地元の山で育ったカラマツを活用するプロジェクトに取り組んでいます。
![カラマツの椅子](https://i2.wp.com/www.atelier-m4.com/gallery/assets_c/2016/03/DSCF4510%20_g-thumb-665xauto.jpg?resize=665%2C563)
そんな前田さんが自宅(兼ギャラリー)を建てることになったとき、壁や床だけでなく、柱や梁などもカラマツ材を使いたいと考えたのは自然な流れといえましょう。とはいえ、その思いを実現するには、いくつか課題がありました。まずは予算の制約。また、カラマツは、杉などに比べて建材としての歴史が浅いことから、資材の調達や技術的な問題もありました。
![キッチンからリビング](https://i0.wp.com/images.adsttc.com/media/images/5671/fbd5/e58e/ce10/1800/009b/slideshow/09-DSC04713_R.jpg?resize=1140%2C760)
そこで前田さんは、建築家の田辺さんに相談しました。前田さんと田辺さんは、幼稚園からの同級生。前田さんが松本に引っ越す前、鎌倉に住んでいた頃からの竹馬の友です。
![間取り](https://i0.wp.com/images.adsttc.com/media/images/5671/fe23/e58e/ce6d/b500/0099/slideshow/floor.jpg?resize=1140%2C805)
カラマツの木は現在、通常長さ4mで流通しており、それより長いものは特注になるため高価になってしまうそうです。田辺さんは友人の願いをかなえるべく知恵をしぼり、長さ4m以下の木材のみ使用してシンプルな構造にすることで、ローコストを実現しました。「通し柱が高さ4m以下」という制限を逆手にとって、このユニークなデザインが生まれたのです。
![構成図](https://i0.wp.com/images.adsttc.com/media/images/5671/fe46/e58e/ce6d/b500/009a/slideshow/section.jpg?resize=1140%2C905)
建築ノウハウや資材についても、強い味方が現れました。地元の建材屋さんが、カラマツ材で家を建てるときのノウハウや、開発したての床板、外壁などを提供してくれたのです。
こうして、前田さんの願いどおり、地元のカラマツを全面的に使った美しい家ができました。延べ床面積約106㎡(約32坪)のミニマルで機能的な、住む人にも環境にもやさしい家です。
![外観(小川)](https://i2.wp.com/images.adsttc.com/media/images/5671/fae8/e58e/ce6d/b500/008a/slideshow/01-DSC04585_R.jpg?resize=1140%2C760)
この家のチャームポイントである屋根からポコンと飛び出したドーマー(屋根から突き出した窓)は、採光や空調に大事な役割を果たします。家の中から見ると、ドーマーから明るい光がたっぷり差し込んでいますね。また、夏は川面を渡る涼風をリビングの窓から取り入れ、熱くなった空気をドーマーから逃がすことができます。
![内部(ドーマー)](https://i1.wp.com/images.adsttc.com/media/images/5671/fd3b/e58e/ce6d/b500/0095/slideshow/25-DSC05166_R.jpg?resize=1140%2C760)
リビングの大きな窓からも日差しが差し込み、心地よく過ごせそうです。
![リビング](https://i2.wp.com/images.adsttc.com/media/images/5671/fb78/e58e/ce6d/b500/008e/slideshow/07F-DSC05186_R.jpg?resize=1140%2C760)
リビングからキッチン方面を見るとこんな感じ。カラマツ材の床板、柱、梁が美しいです。おしゃれなキッチン家具は施主さん自身でつくりました。木工家さんなのでお手の物です。
![キッチン](https://i0.wp.com/images.adsttc.com/media/images/5671/fbba/e58e/ce6d/b500/008f/slideshow/08P-DSC04983-2_R.jpg?resize=1140%2C760)
![階段](https://i1.wp.com/images.adsttc.com/media/images/5671/fbf0/e58e/ce6d/b500/0090/slideshow/10-DSC04718_R.jpg?resize=1140%2C760)
2階へ上がる階段はスチール製。2階の床の一部が「すのこ」状になっていて、部屋を仕切る壁の上も、南北に風が通るように隙間をあけてあります。これにより、冬の寒さが厳しい松本ですが、リビングの薪ストーブ1つで家じゅう暖かにできます。
![2階](https://i1.wp.com/images.adsttc.com/media/images/5671/fd00/e58e/ce10/1800/009f/slideshow/23-DSC04752_R.jpg?resize=1140%2C760)
![空気の通り道](https://i1.wp.com/images.adsttc.com/media/images/5671/fca2/e58e/ce6d/b500/0093/slideshow/17-DSC04790_R.jpg?resize=1140%2C760)
2階は現在、子供部屋として使われています。リビングにいる家族と会話もはずみます。
![2階からリビング](https://i0.wp.com/images.adsttc.com/media/images/5671/fd59/e58e/ce10/1800/00a1/slideshow/28-DSC04998_R.jpg?resize=1140%2C760)
キッチン方面から玄関への通路。ここを境に、南(左)がパブリックゾーン、北(右)がプライベートゾーンとなります。将来リビングをギャラリーとして公開予定なのですが、お客さんが来ても、家族の居場所はきちんと確保できますね。
![廊下](https://i1.wp.com/images.adsttc.com/media/images/5671/fc59/e58e/ce6d/b500/0091/slideshow/14-DSC04709_R.jpg?resize=667%2C1000)
小さいけれど、施主さんのカラマツへの思いと家族愛がぎゅっとつまった、暖かい家。素敵ですね。
Via:
archdaily.com
wallpaper.com
designboom.com
atelier-m4.com (施主&家具:前田大作)
yuji-tanabe.com (建築家:田辺雄之)
karamatsu-tandt-panels.com (カラマツ建材:林友ハウス工業)