人にも環境にも優しく。再生利用で作られたポップアップショップが素晴らしい

街中で見かけることも多い「ポップアップショップ」。このような期間限定店舗は、基本的に建物内の貸スペースのような場所か、屋外にテントなどを張って構えられている。ワゴン車で屋台のように店舗を出しているのもよく見かける。

今回は、少し変わったポップアップショップを紹介したい。ベルギーで展開する、環境に優しく、アイデアの詰まったポップアップショップだ。

via: aoarchitect.us

これは、チョコレートとビールを扱っているベルギーの企業「the Artist」が所有しているポップアップショップ用の三輪車だ。

「the Artist」はベルギーのチョコレートやビールのラベルに、自分の写真をプリントできるサービスを提供している。そのプロモーションのために、このポップアップショップを利用しているのだそうだ。

このポップアップショップは「アップサイクル」によって作られた。「アップサイクル」とは、単なる再生利用ではなく、再生により、元の製品よりも価値の高いものを生み出すことを目的とするもの。木も、金属も、三輪車までもが再生利用の材料でできているのだ。エコであることも素晴らしいが、特筆すべきはそのデザイン性の高さである。

「the Artist」のために、このポップアップショップをデザインしたのが「Avoid Obvious Architects」だ。彼らは都市計画、建築、インテリアデザインなどを行っており、アートと科学を組み合わせた、「環境にも人にも優しい設計」をコンセプトとしている。

一般的には、ポップアップショップというのは一度出店したら、期間終了後はすべて片付けゼロに戻してしまうものだ。しかしAvoid Obvious Architectsは、the Artistのビジネススタイルに合わせて、移動、出店に便利なポップアップショップをデザインした。

このポップアップショップには、the Artistのために便利でデザイン性の高い下記の機能が備え付けられている。

1.ビールとチョコレートのカスタマイズ用フォトブース
2.店内で使用する照明付きディスプレイ
3.ビールとチョコレートを理想的な温度に保つための冷蔵庫
4.ブランドに合うイメージのヴィンテージ三輪車
5.カスタマイズのためのタッチスクリーン
6.取り外し可能な車輪

フォトブース、ディスプレイ、タッチスクリーンなど、オリジナルデザインを作るのに欠かせない機能が、このポップアップショップ自体に集約されているのが特に素晴らしい。

また、このポップアップショップは、シーンに合わせて4種類の様式に変えることができる。

1. 三輪車つき可動式ディスプレイ

via: aoarchitect.us

2. 三輪車のない可動式ディスプレイ

via: aoarchitect.us

3. 天蓋をオープンにしてショップに

via: aoarchitect.us

4. カーテンダウンし、フォトブースに

via: aoarchitect.us
via: aoarchitect.us

三輪車を外し、屋内でもショップを開くことができるところに、細部への気遣いが感じられる。

ちなみに、ヴィンテージ三輪車は、ウェブサイトを通じて購入。再生された木材は、地元の請負業者を通じて入手されたものだという。

これからは、ただ環境に優しいだけではなく、「人にも優しいエコ」が求められていく。今回のアップサイクルによるポップアップショップのような、素晴らしいアイデアが多くみられるような世の中に、数年後にはなっているだろうか。

via:
https://aoarchitect.us/projects/mr-the-artist-popup/
https://www.upcyclethat.com/upcycled-pop-up-shop/
https://aoarchitect.us/live-work-play/