太陽光発電で生活する。居住空間19平米の木造タイニーハウス
シンプルだからこそ人それぞれの求める生活に対応し、移動もできて、サステナブルな暮らしの可能性も広げてくれる家。ドイツ生まれの「Futteralhaus」は、考案者であり建築家でもあるクレノイさんと、“ミニマリスト的な室内空間の設計”を特にテーマとしている建築家のズーコヴァさんによって生み出された。
ミニマリストデザイン、テクノロジー、自然建築材料。一見シンプルながらも、造り付けの家具や太陽光発電の採用など、デザインと機能性に富んだこだわりが随所に表れている。
まず目に入る、大きなガラス窓。その解放的な存在感は間違いなく気持ち良い。南向きにして太陽をめいっぱい浴びれば、明るく暖かい空気で溢れるだろう。もちろん日よけのオプションを付けることもできる。
そして天井、壁、床、造作家具に至るまで、内装は全て白い針葉樹で統一。バスルームを挟んで2つにわかれた空間は、それぞれキッチン・ダイニングとベッドスペースとなり、それらは壁によって完璧に隔てられることなくゆるやかに繋がる。そしてこのために造られた家具たちを、適所に無駄なく備え付けることができる。
玄関を入ってまず右手にはキッチン。2口の電気コンロとシンクの間には小さな調理用スペース。換気扇、冷蔵庫、食器洗浄機、そして収納スペースがあり、太陽光発電システムのバッテリーはここに収められていて、家全体に電気を供給している。
キッチン前に広がるダイニングエリアにはテーブルと椅子。壁際にはベンチが備え付けられ、ただ座る為だけではなく、収納と予備のベッドとしても活躍する。ベンチの頭上と玄関横にはさらに収納スペースが設けられた。
そして床はそのままバスルームへと続く。壁と一体化したドアを開ければ手前にトイレ、奥にシャワー、その間にはシンクと鏡が。トイレは下水道に接続するか、コンポスト式トイレや雨水をためる給水タンクの使用など自給型にするか、選択は自由だ。
家全体は自然に空気が循環するように設計されている。断熱材にはドイツの省エネルギー法が定めるエネルギー効率の証明書を取得したSteico製の木質繊維断熱材を採用。
バスルームの奥にはベッドスペース。シングル、もしくはダブルベッドとしても使えるこのベッド。さらに壁には折りたたみ式ベッドを設置。ダイニングの予備ベッド(ベンチ)も含めると、全部で4人分のベッドが用意されている。
床面積25平米。居住空間は19平米。プラス18平米のウッドデッキもついている。バスルームつき基本タイプの場合、およそ52,300米ドル(約580万円)。オプションはキッチン3,800米ドル(約42万円)、家具類4,400米ドル(約49万円)、床暖房2,300米ドル(約26万円)。
スウェーデンなどいくつかの国では、建築許可なしで建てられる最大規模は床面積25平米。いろいろな意味で、人々がより手軽に持つことができる家がタイニーハウスだ(ちなみに日本の場合、10平米以上は許可が必要)。ただ、Futteralhausは100平米まで広げられる設計でもある。それもまた良し。柔軟な設計は変化し続ける人生に長く寄り添ってくれるだろう。
居住空間19平米=約11.5畳。あなたは、こういったサイズの家に住んだことはあるだろうか。ちなみに、筆者は社会人一年目、はじめての一人暮らしはまさに19平米の1Kアパートだった。部屋は小さかったが2つの大きな窓が解放的で好きだった。「デザイン次第」でその狭さ・広さの体感、そして居心地の良さは変わる。単純に言葉からイメージするだけの「19平米」とは全く違う「19平米」もあり得るだろう。
最小限のスペースに高い快適性を備えたFutteralhausは、その写真を見ているだけでもタイニーハウスでの生活を鮮明に想像させてくれる。さてあなたの想像では、どんなタイニーハウス生活が送っているだろうか。
Via:
http://futteralhaus.com/
https://www.houzz.jp/
https://www.dwell.com