ツリーハウスつくろう (4) 〜小林崇さんに学ぶ、ツリーハウスはじめの一歩〜

今回は、僕が出会い影響を受けた『人』ツリーハウスクリエーター 小林 崇 さんと、その世界について、体験レポート。
ツリーハウスビルダー養成講座。今回はツリーハウス制作開始直前、木工の実習を行っている。
ビルダー見習い達は経歴も様々。既に現場の経験がある者、DIYを趣味として木材加工の経験がある者。しかし、今回の講座はあくまで初級編、多くの者は工具の扱いに慣れていない。僕らはその扱いを一から教わった。
特に電動工具は強力な分、安全に十分注意が必要だ。なぜならツリーハウスビルダーは、時にツリークライミング中や樹上といった、非常に不安定な状況下で工具を扱うからだ。
木匠から学ぶ
木を加工する事は、ツリーハウス制作に於いて欠かせない技術だ。その制作にあっては、木材の知識、加工技術と造形芸術についての深い理解が必要だ。
ツリーハウスの制作現場。それは、電動工具の轟音、指示や確認の声が飛び交う大工のような豪快な現場で、時に彫刻のような繊細な作業を必要とする。
この日は、KANAYA BASEでの作業。僕らに与えられた課題は木製の工具箱を造る事。ひとつの箱造りを通し、木工の基本を学んでいく。

材となる木板には表裏がある事。指矩(さしがね)の正しい使い方。墨(作業用の目印となる線)の入れ方。職人や、DIYを趣味とされている方が聞いたら笑ってしまうような初歩的な事から勉強を始めた。
手ノコ(ノコギリ)が真っすぐ入らず、墨から大きくずれて切り落とす。インパクトドライバーの力加減が解らず、ビス(ネジ)がめり込む。グラインダー(電動工具の一種)に至っては、扱う以前にスイッチが見つからない・・・、僕の足元には、木屑と失敗が降り積もっていった。箱ひとつ造るのにこの有様。一瞬、ガタついて傾いたツリーハウスが頭をよぎった・・・。
それでも、作業が進むにつれ何とか工具の扱いにも慣れ、箱は形になり始めた。電動工具の扱いは特に重ねて教えて頂き、危険性と便利さを学んだ。

僕が造った箱は、なんとか形にはなったものの、よく見れば、細工が非常に甘い。“不細工”という奴だ・・・。
職人の技は、習うより慣れろだ。特に設計図の無い、創作要素の強いツリーハウス制作では、当然マニュアルなど存在しない。ビルダー見習い達は、これから失敗を重ねながら、現場でその技を見取って行く。

匠の技に見る芸術
木材はコンクリートや金属に比べ、個々の違いが大きい。その扱いには四苦八苦だ。僕のあまりに不器用な作業を見るに見兼ねたコバさんが、手直しをしてくれた。
コバさんが加工した箇所は、みるみる柔らかみを帯び、木の美しい部分が見えてくる。普段、静かで穏やかなコバさんが、材を扱い始めた瞬間、目が変わるのを感じた。創作家とはこういったものなのか。それは、極めて優れた演奏家がステージで見せる集中力と大変よく似ている。
小林 崇という方がビルダーでは無く、クリエーターなのだ、と強く感じる瞬間だった。

極められた知識や技は、その領域を越え芸術の域に達する。
それは人を惹き付けてやまない。
ツリーハウスクリエーター 小林 崇 さんと、その世界についての体験レポート。次回は、いよいよツリーハウス制作に入る。