【タイニーハウスに行ってみた】温室をリノベーションしたコミュニティ・スペース

(c)Kas Keerweer

オランダの首都アムステルダムの都会の真ん中に、人々から忘れ去られ廃墟のようになってしまった温室がありました。けれどボランティアたちの手によって生まれ変わり、今では市民の憩いの場として愛されています。そんな歴史を持つ温室を訪れる機会がありましたので、ぜひ紹介させてください。

都会のオアシスのような温室

(c)Naoko Kurata

オランダにも短い夏が訪れたある夏の日、子供向けアクティビティに参加するため、アムステルダムの西側を訪れる機会がありました。会場となる場所は、上の画像の中央。左右を背の高い建物に挟まれた、谷間のような空間にあります。

(c)Naoko Kurata

外のフェンスには、看板も出ています。この施設の名前である「Kas Keerweer」とは、「戻ってきた温室」とでもいうような意味です。

(c)Naoko Kurata
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フェンスの中あったのは、確かに温室。中庭もあり、まさに都会のオアシスとでもいうようなたたずまいでした。

(c)Naoko Kurata

では早速、中に入ってみましょう。

緑の植物におおわれた癒しの空間

(c)Naoko Kurata
(c)Naoko Kurata

何と、外からは普通の温室にしか見えなかった建物は、中に入ると素敵なホールのような場所になっていました!

(c)Naoko Kurata
(c)Naoko Kurata

ガラスの壁面や天井のぶどう棚には、確かに温室らしさが残されています。特に天井のぶどうの葉やつるは、夏の日差しをさえぎり、ガラスの温室に心地よい日陰を作ってくれているのです。(ちなみにこのぶどうは無農薬なので、天井から実を摘んで直接食べることもできます)

(c)Naoko Kurata

床の大部分はコンクリート・タイルが敷き詰められていますが、一部は温室らしい土の部分も残されていました。

(c)Naoko Kurata

都会の真ん中に位置しながら、なんとも心地よい雰囲気の温室ホール。すっかりこの場所に魅了された筆者は、「Kas Keerweer」がどういう場所なのか調べてみました。すると、意外ないきさつを知ることができたのです。

ボランティア主導の「Kas Keerweer」リノベーション

(c)Kas Keerweer

実はこの「Kas Keerweer」は、アムステルダム市の所有でありながら長らく使われていない、廃墟のような温室だったのだとか。

(c)Kas Keerweer

けれど、「こんなに良い場所にある温室を活用しないのはもったいない!」「近隣住人のための、緑あふれる場所にしよう!」とボランティアたちの手によってリノベーションされることになったのです。

(c)Kas Keerweer

このリノベーション計画の発起人の一人であるLiedewij Loorbachさんというフリージャーナリストの女性は、かつてオランダの有名メディアで「夜遊び」関係の記事を担当していて、仕事の一環でクラブに行ったりお酒を飲んだりして体調を壊しました。

そんな彼女が、心身のバランスをとるためにたどり着いたのがベランダ・ガーデニング。植物の成長が、彼女の心と体を癒してくれたのだとか。そして後に、彼女は初心者向けの本を執筆するまでガーデニングにのめりこむようになったのだそう。

(c)Naoko Kurata

そして緑を愛するボランティアたちの熱心な作業のおかげで、「Kas Keerweer」は近隣の住人のための美しいコミュニティ・スペースとして2015年4月に再オープンできたのです。

様々なイベントに活用される「Kas Keerweer」

(c)Kas Keerweer
(c)Kas Keerweer

「Kas Keerweer」は、自治体とボランティアの共同運営。利用のされ方は多種多様で、フリーマーケットが開かれたり、ジャズのミニコンサートの会場として使われたりしています。

(c)Kas Keerweer
(c)Naoko Kurata

水が扱えるシンクと、プロパンボンベに接続したコンロがあるので、パーティ会場としても十分機能します。トイレは敷地内にある別棟の小屋にあるので、飲食イベントも大丈夫。
ちなみに筆者は、子供がこの温室で開催された「子供向けクッキング・スクール」に参加したことで初めて「Kas Keerweer」の存在を知りました。他の保護者の方々も「今まで知らなかった」と言いつつ、皆さん一様にこのコミュニティ・スペースの美しさに目を輝かせていました。

(c)Naoko Kurata

都会の喧騒の中にありながら、緑のオアシスのように佇む「Kas Keerweer」。この温室コミュニティ・スペースのストーリーには、使われなくなった施設を再利用するためのヒントがたくさんつまっていますね。こんな素敵な場所が、ここだけではなく世界中の街に生まれていって欲しいものです。

Via:
facebook.com/kaskeerweer/
stedenintransitie.nl
dewestkrant.nl
homeandgarden.nl