青果品輸送車からモバイルホームへ。旅をしながら暮らしたハンガリーのカップル
「あなたのお住まいはどこですか?」
ごくありふれたこんな質問。地名を答えるのが一般的ですが、これから紹介するハンガリーのカップルならきっと、こう答えるでしょう。
「車を停める場所、そこが私たちの家です」
ハンガリーの写真家、Norbertjuhászとその婚約者のDóraは、首都ブタペストでの都会の暮らしをやめ、車で旅をしながら生活をすることにしました。
ハンガリーを立ち、オーストリア、スロベニア、ドイツ、イタリア、フランス、スペイン、ポルトガル、そして海を渡りモロッコへ。二人の住まいはスペインの海辺やモロッコの雪山、時にサハラ砂漠になりました。
車内には冷蔵庫、キッチン、ソファーベッド、シャワーなどの生活に必要な設備がそろっています。
屋根には250Wのソーラーパネルを取り付けました。
二人はすでに旅を終えていますが、その軌跡はこちらのサイト「rundebella」で詳しく知ることができます。
日本語にすれば走れdebella。debellaとは、彼らが生活したキャンピングカーの愛称。debellaはかつて、青果を運ぶ車として16年間活躍して、運搬車としての仕事を終えた後、NorbertjuhászとDóraに買い取られ、その手によって700時間を費やして、キャンピングカーへと生まれ変わったのです。
二人の作業は、理想の空間をイメージすることから始まりました。まずは段ボールを使って、家具の配置するイメージを膨らませながら設計図を書いていきます。
計画が定まればいよいよ工事です。最初の難関は天窓をつけるために屋根に穴をあける作業。思わず手に汗握る仕事です。
冷蔵庫、キッチン、シャワー……と設備が整えば、当然使えるようにするシステムが必要。
一番苦労した作業が、電機システム。屋根に付けたソーラーパネルの他にエンジン発電機、インバーターと、電気供給元を複数用意したため、電気パネルが配線でかなり密集しているのが、写真からもわかります。
作業が大変であったことは間違いないですが、小さいスペースだからこそ湧いてくる理想とアイディア。それを実現させるための創意工夫を、楽しんでいるのが伝わってきます。
一番のお気に入りは、たくさんの窓やドアを全開にして、自然を住空間全体に感じられるところだそうです。建築基準法にとらわれない、自由な発想が活きています。
住まい用の車についての詳しい作り方は、こちらのwebサイト「the vanual」が参考になります。初心者に向けて分かりやすいように、写真付きで工程が説明されている他、車でのモバイルホーム生活を始めるにあたってのアドバイスが満載です。
監修は、実際にアメリカでキャンピングカーライフを実践しているzach both氏。映画監督を生業としている彼は、車内を住居兼スタジオに改修して暮らしています。彼にとって車は、家であり仕事場でもあるのです。
今や世界中がインターネットで繋がる時代。場所を選ばない働き方は今後、さらに広がっていくでしょう。
日本では、駐車場での車中泊利用を公認する施設が増えてます。その名も「RVパーク」。
RVパークの認定を受けた施設では、有料でトイレや温浴室、電気使用などの恩恵を受けながら安心して車中泊ができます。
従来でも車中泊禁止を明言していない施設はありましたが、このように利用を公認されていれば、精神的にも安心して利用できるのではないでしょうか。
多くの認定施設は、キャンプ場やホテルなどの宿泊施設、または道の駅といった立ち寄りスポットで、長期滞在は一週間程度まで可能です。
RVパークは2017年8月現在、日本全国で97件あり、さらなる増設が見込まれています。RVパークは、キャンピングカーが広く普及している欧米から取り入れられたものです。
せっかくのグローバルなご時世。仕事面だけでなく生活面でも、国境を越えてそれぞれの良いアイデアを取り入れていきたいですね。
via:
https://rundebella.wordpress.com
https://www.designboom.com
https://dailynewshungary.com
http://www.boredpanda.com
http://thevanual.com
http://www.kurumatabi.com