ビルの屋上でバスタブ×映画!? イギリス発・驚きの空きスペース活用術
映画館で、ソファーの上で、ベッドに寝そべりながら、車の中で……。このような場所で映画を見る人が多いのではないだろうか。でも、もし大好きな映画を、街のビルの屋上で、バスタブに浸かりながら見られるとしたら……!?「ムービーナイト」という言葉に全く新しい意味を持たせたのがイギリス発祥の「Hot Tub Cinema」である。
もともと、Hot Tub Cinemaは8年前にプライベートなパーティーで、バスタブ一つでやってみたことがきっかけだった。その後、パブリックビューイングのような形式で、たくさんの人を集めてバスタブと映画を組み合わせた世界初のイベントとして、2012年7月7日にイギリスで開催。それ以来、徐々に規模を大きくし、バスタブが30個、スクリーンは2枚、特別な音響システムをも設置するまでになった。
ニューヨークでは、クラウドファンディングを利用し、2014年5月8日に初めてのイベントを開催。これまでの開催地としては、イギリス国内では、ロンドン、ブリストル、バーミンガム、マンチェスター、アメリカではニューヨーク、スペインではイビサとなっている。
参加するには、ウェブサイト上で登録。友人や知人と共に参加できる。チケット価格は開催地によって異なる。
決まった開催場所があるわけではなく、バラエティに富んだ場所で一年中、季節に合わせて開催しているとのこと。春や夏には、屋上や庭や公園などといった屋外で開催することが多く、秋や冬には、屋内で開催されることが多いそうだ。参加者は映画館と同じようにポップコーンを食べたり、バーでの飲食も楽しんだりできる。
Hot Tub Cinemaのサイトには、以下のように記載されている。「記憶に残るような夜遊びにする、シンプルでありながら魔法のような法則がある。それは、傑作映画×非日常の場所×たくさんのバスタブにお湯を張ること。そして、映画を見るだけでなく、映画を楽しむということだ。オススメは、ドレスアップして、大好きなフィルムを昔からの友人や新しく出会った人々と一緒に歌ったり、踊ったり、飲んだり、遊んだりすること。もちろん、バスタブの中で、だ。1つのバスタブを6~8人の仲良しの友達でシェアするようにチケットを買うこともできるし、ペアチケットなどを買って、その日出会う人とバスタブをシェアすることもできる。」
かつて、ロンドンの使用されていなかった駅でHot Tub Cinemaが行われたこともあるそうだ。そのイベントに参加した記者の記事を以下に見てみよう。
更衣室として、二つの大きなテントとトイレが用意してあるが、鍵がかからないので、友人に外を見張ってもらい、着替える。こういったことは非日常という魅力を加えるものだ。現金はアルコール飲料などを買えるトークンに交換され、手首に巻きつけることのできる財布に入れておく。トークンに交換したら、持ち物はクロークで預かってもらえる。バスタブに持って行くものは全て濡れてしまうことが警告としてクローク近くに掲示されている。バスタブが並んでいるのを見ると、大人のための水遊び場といった趣きだ。
ウェイターがバスタブの間をビール、シャンパン、テキーラなどを運ぶのに忙しく動いていると、参加者が水をかけたり、笑ったり、おしゃべりしたりとにぎやかだ。
映画から気をそらすようなこともたくさん起こる。いちゃつくカップル、筋肉を自慢する男性、頭に面白い被り物をしている人たちなど。いかに秩序を乱すかという競争のようにも見える。参加者の年齢は20代~40代といったところだが、みんなまるで10代の少年や少女のような振る舞いだ。
エンドロールが流れ始めると、上映後のパーティーが始まる。その後、帰る際に使わなかったトークンを現金に戻し、現実世界に戻る。人々が服を着たまま、頭に面白い被り物をのせることなく、静かに映画を観るマトモな世界に。
ビルの屋上や使われていない駅など、スペースとしては存在しているのに、普段有効活用されていない場所は日本中にまだまだあるのではないだろうか。Hot Tub Cinemaは、ちょっとしたアイデアの掛け合わせで、楽しいイベントが作りだせたり、人を集めることができたりする好例である。日本でも遊休不動産を活用してシネマをつくる「ねぶくろシネマ」というプロジェクトなどが展開されているが、こういった動きはまだまだ少ない。身の回りにある空きスペースを活用するアイデアから検討してみてはどうだろうか。
Via:
hottubcinema.com
designboom.com
telegraph.co.uk
crowdfundinsider.com
(提供:ハロー! RENOVATION)