自然の中に放り出されて自分と向き合う。スウェーデンで最もプリミティブなホテル「Kolarbyn Ecolodge」

via: kolarbyn.se

電気もない、シャワーもない、キッチンもトイレもない。あるのは緑豊かな自然だけ。
ストックホルムから車で2時間の森の中、スウェーデンで最もプリミティブなホテル「Kolarbyn Ecolodge」があります。物があふれる都市生活から遮断された自然の中で、サバイバルなアウトドアライフを通して、素の自分と向き合ってみてはいかがでしょう。

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“Back to Nature & Do It Yourself”がスローガンのKolarbyn Ecolodge。ここでは、ゲストたちは、斧で薪を割り、近くの泉で水をくみ、屋外の煮炊き場で自力で火をおこして、食事をクッキングします。泊まるのは、土と木でできたコケモモとキノコでカモフラージュされた(というより自然に生えた)小屋の中。シープスキンのラグ付きの、2つの木製の寝床とスリーピングバッグ完備です。室内には薪ストーブもありますよ。

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エリアの中にある小さな食品貯蔵小屋には、スパゲッティ、ミートソース、パンやムスリ、卵、コーヒー・紅茶、野菜、オイル、スパイス・調味料などがストックされていて、ゲストは自由に選んで食事をつくります。質実剛健なアウトドアクッキングの用具は、無料で貸してもらえます。汚れ物は湧き水で洗い、ゴミはリサイクル。トイレは人知れない木陰で用を足すか、2つのトイレ小屋で、水洗トイレならぬ土洗トイレを利用します。

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こう書いていくと、ちょっと怪しげな観光ビジネスの印象を、受けるかもしれませんが、Kolarbynはもともとは、スウェーデンで400年前から続く炭焼き小屋がルーツ。それは木材の伐採と鉄の鋳造のための、木炭づくりに従事する人たちが、冬の間に暖を取るための小屋でした。鉄を溶かすのに効率的な新しい燃料が現れ、炭焼きが時代の趨勢とともに廃れていくなか、地場の伝統を後世に伝えるべく、1996年に文化保存の活動として、森の12箇所の炭焼き小屋が整備されます。
そして2004年に、Kolarbyn Ecolodgeの名称で、宿泊施設として一般開放されました。食材に地産のものを使い、ガイドなどの人的リソースに、ローカルの住民を活用することで、ゲストの宿泊費用が、地域の住民たちに還元される仕組みとなっています。

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Kolarbyn Ecolodgeのある森の中は、ブルーベリーやマッシュルームがいたるところに実っています。バスケットを持ってハイキングすれば取り放題の収穫です。特に、“森の黄金”と呼ばれるキノコのアンズタケは、バターと塩を少々ふりかけ油で炒めてパンの上にのせて食べれば、香りも抜群で美味。リスがおもしろそうに大きな眼でのぞいています。

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近くの湖でフィッシングやカヌーをするのもいいでしょう。ヘラジカやビーバーを見に行く動物観察ツアーもあります。歩き疲れたら、湖上に浮かぶサウナでリフレッシュ。もっとも、こちらも自力で薪をくべることが必要ですが。

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なにもかもがお膳立てされたツアーや、かゆいところに手が届く、快適なホテルのサービスを楽しむ旅行もいいでしょう。ただ、“旅”の醍醐味は、肩書や地位が通用しない、まったく知らない土地で、自らがどう対応できるか、という素の自分を試す機会が得られることです。自然しかないプリミティブな状況の中で、生き生きと立ちふるまいできる人は、とてもかっこいいとおもいます。

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wildsweden.com