エクアドルで見つけた安くても理想的な暮らし「Casa Naranja Limon」
英語の「Equator」は赤道という意味だが、エクアドルの言語・スペイン語だと「El ecuador (エル・エクアドル) 」。つまり、その名のとおり、エクアドルはまさしく赤道の真上にある国だ。
赤道直下の国というと非常に暑いイメージがあるが、街全体が世界遺産となっているエクアドルの首都「キト」は、標高が高い山の中にある町なので、基本的に山の気候で涼しく過ごしやすい。赤道直下といえども熱帯という感じはせず、どちらかというと比較的肌寒く感じることが多い。
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エクアドルには有り余るほどの豊富な資源がありながら、経済状態は安定せず、貨幣もUSDが広く使われているのが現状だ。そんなキトで、月々の家賃の支払いにうんざりしていた家族が、すぐに建てることができるスモールハウスをセルフビルドし、そこに移り住むことを決心した。
ビルダーは、ダニエル・モレノ・フローレスさん。
今住んでいる家の家賃の支払いをいますぐにでもやめたいので、プロジェクト自体は迅速におこないたかった。
そこで、プロジェクトを立ちあげてから、なんと、2ヶ月でスモールハウスを完成させ、「Casa Naranja Limon ( カザ・ナランハ・リモン ) 」、英語名では「Orange Lemon House ( オレンジ・レモン・ハウス ) 」と名付けた。
では、その建築のプロセスを見てみよう。
迅速に、なおかつ費用を抑えるために採用した工法は、はじめに鉄のポールでいくつもの四角いフレームを作り、それを連結させて骨組みにするというもの。長さ1.20 m x 2.40 mの鉄のフレームをいくつも連結させて家が構成されている。
そして、その鉄のフレームに松の板をはめ込み、壁を作っていった。基礎となる土台は、ところどころにコンクリートを使っているが、大半は木の板をいくつも並べて鉄フレームを支える基礎としている。屋根も同じように、フレームのうえに板を渡し波板スレートを貼っている。
鉄のフレームを立てた後は、板を持ち上げるのに人出がいるだけで、従来型の建築に比べると人件費も大幅に削減できる。基本的にこの家は、このモジュールでできているため作り方としては極めて単純だ。
室内の床のフローリングも壁と同じ素材を使っており、木の木目がそのまま生かされて非常に温かみのある空間となっている。
まず、おどろきは部屋と部屋の仕切りや、ドアがないところ。鉄のフレームに差し込む板をまっすぐに切り揃えるのではなく、斜めに切り落とすことで各部屋の区切りを曖昧に作り、廊下も確保されて、各部屋への移動をスムーズにしている。結果として部屋に奥行が出て、広々としたスペースがうまれ、快適な空間となっている。基礎の施工時に、鉄のフレームに差し込む板の長さが揃ってないのが気になっていたら、ちゃんと計画されてのことだったのだ。
室内は、充実の設備のキッチンと、リビング・ダイニングは、大家族でも快適に暮らせるスペックとなっている。
寝室もまるでログハウスのような温かみのある部屋となっており、窓から見渡せるのは、世界遺産第一号のキトの街とその周りの山々。
爽やかな朝の目覚めで、一日が気持ち良く過ごせそうだ。
子供部屋ではこの家の構造を利用して、斜めの壁板を効果的に収納スペースに作り出している。三角の窓もおしゃれで、明るさも確保しつつ、外部からほどよい目隠しになっている。
とりあえずの総面積は、65.0平方キロメートル。「とりあえず」というのは、今の現状ではということ。
というのも、このような施工構造のおかげで家の拡張も非常に容易にできるからだ。もし住む人数が増えて部屋が必要になったとしても、同じ要領ですぐに部屋を増築出来るのだ。
今は、周りの空いた土地のスペースに庭を作って植物を植え、ガーデニングを楽しんでいるが、必要に応じて家を拡張できる可能性があるのは楽しみでもある。
スモールハウスは、手軽さと費用の安さが大きなメリットとなるが、このような拡張の可能性を備えると、より自由に楽しく過ごせると言えるだろう。ただし、拡張できる土地があればのことだが。
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