困難の先にある理想的なオフグリッドの暮らし方「The Porter cottage」

via: https://www.dwell.com/

アメリカ合衆国の北東部に位置するメイン州。日本ではあまり馴染みの無い州かもしれないが、東海岸のニューヨークよりもさらに北にあり、カナダのケベックやモントリオールに近い位置にある州だ。そのメイン州の海岸から32キロ離れたところある「クリウヘイブン」という島に、ひっそりと、一軒のオフグリッドハウスが建っている。

via: https://www.dwell.com/

この家のオーナー、ブルース・ポーターはジャーナリストで、コロンビア大学の大学院でジャーナリズムの教授をしていた人物だが、退職しこの静かで平和的な島に移り住むことを決意した。

彼の長女であるアレックスが建築家であることから、ブルースは彼女に家のデザインと建築を頼んだ。父が子供の設計した家に住めるとは、なんと幸せなことだろう。

via: https://www.dwell.com/

所有した約3035平方メートルの敷地には、木々が高々と生い茂る。まるで、そんな木々に抱かれているように、こじんまりとした家が海岸近くにポツンと建っている。

建築の際には、アメリカ本土から離れた離島であったため様々な苦労があった。たとえば、建築素材や機材などの運搬には、水陸両用車や海上トラックを使って運搬する必要があった。また、大型機材が使えないなどの制限もあった。そのような事情から、ほぼ全ての素材は約24cmほどのグリッドに収めるようにして、できる限り色々なものを単純化するようにした。

また他の問題点として、「島の人口減少」があった。
人口の減少に伴い、以前まであった学校や郵便局、小売店、また電話や電力線、水道などの公共サービスが、ほぼなくなってしまっていたのだ。そのため、様々なものを自給しなければならない必要性がでてきた。

via: https://www.dwell.com/

まず電気に関してはソーラーパネルを使い、電力を賄うようにした。水に関しても雨水を集めたものをタンクに集め、それをホースなどで吸い上げて使うシステムを採用した。

via: https://www.dwell.com/

トイレはコンポジットトイレを採用。臭いが気になり、あまりいい印象を持たない方もいるかもしれないが、マツのチップを使用することで、逆にマツの木の香りが心地よい。

via: https://www.dwell.com/

カナダにほど近い北半球の地域ということもあり、冬の寒さはとても厳しい。そこで、部屋を暖めるために採用したのは、デンマーク王室も御用達のモルソー薪ストーブ。これ一つでコテージ全体を暖めることができる。バックには森林もあるので、薪には事欠かない。

外壁の素材は、波上のアルミニウムのパネルを採用。周りの環境と調和するように、目立たない色合いのものを望んだ。

via: https://www.dwell.com/

内装を構成しているものは、ほぼ白いマツの木材。木目を活かし、自然そのままの素材感を楽しめる室内となっている。壁板を斜めに貼るなどして変化をつけ、真っ赤なソファもアクセントになり、温かみのある居心地の良い空間を生み出している。

via: https://www.dwell.com/

寝室のあるロフトへの階段には、手すりに水道管のパイプや、家畜を囲うためのフェンスを使用するなど、随所に実用的なアイデアがみられる。

via: https://www.dwell.com/

部屋の中からでも景色を楽しめるように、できる限り海岸沿いに家を建て、海に向けて大きな窓を取り付けた。大きなスライドの窓を開いてウッドデッキに出れば、目の前には、どこまでも広がる大海原の絶景。

via: https://www.dwell.com/

人口の少ない離島での家作りは、通常の建築プロセスとは大きく異なり、困難も多い。しかし、ブルース・ポーターいわく「それに伴う全ての困難に対して、一つづつ解決していくプロセス自体が次第に楽しくなってきた」と、いうことだそうだ。
建築の際の困難も、一つの楽しみに変えることができたら、「住む」ということに対して多角的な捉え方、楽しみ方ができるようになるのかもしれない。

via:

https://www.dwell.com/