シリコンバレーで働く起業家が実践。ヴィンテージのエアストリームをモバイルオフィスにしてみた

via: static.dezeen.com

雄大な自然に溶け込んでしまったかのようなこのトレイラー。興味をそそりますよね。このトレイラーはカリフォルニアのEdmonds+Lee Architects社が、自然の中で時間を過ごすのを何よりの楽しみにしている、行動的な技術系起業家のために創り出した作品です。彼らはなんと、1960年代の旅行用トレイラーをオフィスと簡単に眠ることができる場所に改造したのです。

その依頼主はシリコンバレーで働く起業家Jeff Kleckで、自由自在に働ける環境を必要としていました。持続可能性に情熱を燃やしているインダストリアルデザイナーである娘Alainaは、そんな彼に移動するオフィスをつくるようにと強く勧めていました。そして、ドイツ語で高速船を意味する「 Kugelschiff」と名づけられたこのトレイラーが創り出されたのです。

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「この2人の希望から、エアストリームの夢は始まった。エアストリームは、完全に社会とつながることができると同時に、完全に社会を切り離すこともできるモバイルオフィス。Jeffは、この仕組みによってインスピレーションが浮かんだときは、どこにいても仕事に猛烈に集中できるようになったんだ」と、サンフランシスコ在住のEdmonds+Lee Architectsのメンバーはプロジェクトの概要を語ります。

Jeffと娘Alainaは、理想のトレイラーを探すのに1年を費やしました。そして最終的に彼らが選んだのはAirstream Bambi II。このモデルは1960年代のごく短い期間にのみ製造された非常にレアなモデルです。彼らはこのレアなトレイラーをドイツのハンブルグで見つけ、アメリカへ輸送しました。

Jeffは、Edmonds+Lee社とワシントンのSilver Bullet Trailer社に装備一式を作ってくれる様に依頼。もちろん、娘のAlainaもこのプロジェクトに加わりました。このプロジェクトは、最先端の現代風な家を作ることで有名なEdmonds+Lee社にとっても、これまでかというくらいの正確さを必要とされる条件の下で「すべてがぎゅっと凝縮された」環境を産み出すというチャレンジになりました。

「多機能のプログラム的な要素が流れるようにひとつになっていること、これは、常に僕たちがあらゆるプロジェクトで探求していることだ。なぜならこのことは人々がどう生きているかを真摯に反映しているからね」と、共同経営者のRobert Edmondsは語ります。「でも、空間は限られており、僕らはその限られた空間で高度に機能的であることだけはなく、水が流れるようにスムースな動きで生活できるかと考えて設計しなければならなかった」。

 

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80平方フィート(7.4平方メートル)に包まれたトレイラーの丸い部屋では、部品は壁にしまいこまれ、キャビネットはシートクッションの下に隠されています。「ここは、Jeffが必要とするものがすべてある唯一の隠し部屋さ」と、事務所のメンバーは語ります。

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壁は白く塗られたアルミニウムで覆われ、床は心地よい清潔感を醸し出すホワイトアッシュの板でカバーされています。トレイラーの片方のはじは、ニューヨークで1902年に創業したMaharam社のウールで布張りをしたU字型をした長椅子がおいてあります。この長椅子は、建築家でもありプロダクトデザイナーでもあったEero Sarrinenがデザインした、灰色の模様が表面にあるチューリップテーブルを包み込むように置かれています。

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反対側には、メタルのピストンで高さを上げ下げできる机です。この机は低くして、引き出しにしまってあるクッションや、寝心地をよくするピロートップがついたエアーマットレスを敷くことでベッドになります。部屋の脇はコリアンダーを表面につかった樫で出来たキャビネットで、ここに家で使う備品や保管庫、そして冷蔵庫がいれてあります。

この大型トレイラーには、太陽光パネル、ガソリン、プロパンガス、最新のAGMバッテリーという複数の動力源があります。そして、配電網を利用することも出来ます。Wifi中継器や携帯用ブースターも設置されており、リモートでも必ず接続できるようにしてあります。またこのトレイラーにはグーグルの子会社であるNestが作っているスマートホーム製品もおいてあります。

「Jeffは、今までには実現されていない何かを探していてNestにたどりついた。そして、何物にも頼らないエアストリームが存在できるように、その動力システムにNest システムの知性のすべての能力が結び付けられた。Nestのみんなはとても興奮して、一緒に努力するパートナーとしてこの作業に深く巻き込まれていった」と、チームメンバーは語ります。

Nestは温度自動調節器、煙、そして、二酸化炭素のモニターと、カメラ、警報システム、そしてグーグルホームスピーカーを提供し、Nestの担当者達が建築現場で、エアストリームのバッテリーと発動機をつなぐ特注の配線を設置しました。

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普通のSUVに連結されたこの1軸のトレイラーは、Jeffが仕事のため移動する時や、単に普段彼が過ごしているベイエリアから離れたい時に使われています。彼は既に様々な風景が楽しめる場所にこのトレイラーを連れて行っています。

「Jeffはエアストリームを山、砂漠、そしてビーチへと働くために移動させる。そして、その日の終わりには、全て電源を落とし、どこか分からない場所でゆったりとすごすのさ」と、事務所のメンバーは語ります。シリコンバレーで働く人は、年々リモートで働くようになっているそうです。「Kugelschiffはこのエリアにおいてまさに、何か革命的な最先端といえるかもしれない」。

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他にもおしゃれなトレイラーは、Dojo Wheels という移動する小部屋のようなトレイラーを提供する、ベルギーのデザインオフィスFive AM社や、メタルで覆われた角度のある壁が特徴的な、トレイラーDrake camperを提供する Colorado startup Land Ark社があります。また、Escape Home社は8人まで眠ることができる、まるで車輪付きの小さな家のようなトレイラーを提供しています。

世の中の人をあっと言わせるような商品や発明、今までの世の中の仕組みや常識を180度変えてしまうような何か。こんなトレイラーを利用させてもらったら、驚くような何か「ヒラメキ」を見つけることができるかもしれませんね。

(写真: Joe Fletcher.)

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