まるで枝木のよう。円柱型のユニークなツリーハウス「Bert」
ここは芸術と音楽の国オーストリア。首都・ウィーンの道を歩けば様々なアート作品に出会える。森の中を歩いてもユニークな作品に出会うことができる。
Studio Precht ( スタジオ・プレクト )とエコ建築のスタートアップ企業のBaumbau ( バウンバウ ) が、独特な形の遊び心溢れるツリーハウスを作った。このツリーハウスの名前は「Bert 」。周りの木と同化するように、円柱をベースとした枝状のツリーハウスだ。
森の中の木々に囲まれて垂直に佇むこのツリーハウスは、まるで本物の木のような太い幹から、ニョキッと枝分かれしたような窓がみえる。ツリーハウスの壁も樹皮を模したように、小さなうろこ状のタイルがびっしりと張られている。
本物の木と見間違える程では無いが、周りの景色に見事に溶け込んだ形状で、違和感がまったく無い。
作り方としてはプレハブ型を採用して、それぞれのパーツは工場でつくり、現地で組み立て作業をおこなう。
枝状と言っても、その枝の先はすっぱりと切り取られている。そこに円形や半円形のガラス窓をはめ込み、ベランダや窓になっている。
丸いベランダへ出るための窓や側面の湾曲した窓など、室内にいても円柱にいることがわかり、デザイン的にもユニークで唯一無二の部屋を作り出している。
内装の色はシックでダークなアースカラーで統一されて、室内に配置された植物が外景との繋がりをもたせ、森の中で生活しているように感じる。円形の大きな窓から光が差し込むため、まるで洞窟の中にいるような感じもする。
屋上では洗濯ものを干したり、日光浴や遠くの景色を楽しむこともできる。
写真のように植物を育てることで、本当にこの建物が成長している木のように見えて面白い。
このツリーハウスを支えているのは、円柱の柱だ。
建物本体にアクセスするためには、この円柱に巻きついた螺旋階段を登っていく。
この「木の形をしたツリーハウス」は、オフグリットハウスとなっていて、電気はソーラーパネルでまかなっている。トイレはコンポジット式のバイオトイレ、水周りを扱う施設も円柱部分の1階にある。
このような枝木型のデザインは、2世帯型住宅ならぬ多世帯型住宅にも応用できる。
通常の2世帯住宅のように1階と2階を1世帯ずつに分けたり、一つ一つの枝を1世帯の住居とすることもできる。真ん中のスペースを共用スペースとしたりと、アイデア次第で建物の可能性や使い道が広がっていく。
さらに枝を伸ばすように連結させて、非常に大きな建築物を作り出すことも可能だ。このような拡張性もこの枝型ツリーハウスのメリットと言えるだろう。
未来的なツアリズムというのは大きなホテルや「観光」というものを大々的に打ち出すものではなく、訪れた施設内や地域で、ユニークな体験というものを提供するものになるのではないかと思う。実際、日本を訪れる海外の観光客も、観光型から体験型に変わってきているという。
「世界遺産のOOがある土地」、「見所はここ!」とかそういうことよりも、その街のサイズ感や「居心地のいいカフェがあるか」や「居心地のいい宿があるか」「どんな暮らしをしているのか」などの要素のポイントが高い方が、全体的なその街における生活体験の満足度が高い、というのがノマドとして旅をし続けている筆者の個人的な体験からくる意見だ。
ユニークな形のホテル全てが居心地がいいかというと、必ずしもそういうことではないだろうが、宿泊施設自体を目的にしてもらおうという方向性は間違ってはいないはずだ。そういう意味でも、このツリーハウスは多様な可能性を有していると言えるだろう。
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