アメリカではDIYで自宅を造ったスキルを基に、プロのタイニーハウスビルダーに転身する人たちがいます。カントリーミュージックのバンドでフィドルをプレイするダニエルもその一人。彼が率いるCarpenter Owl（カーペンターフクロウ）は、化学物質を排除した天然木による移動小屋をカスタムビルドしています。

Carpenter Owl（カーペンターフクロウ）は、インディアナ州ブルーミントンに本拠を置く、天然素材を使ったモバイル・タイニーハウスの建築スタジオ。代表のダニエル・ウェドル（Daniel J. Weddle）は、トラディショナルなブルーグラスバンド The New Hoosier Broadcastersのメンバーでもあります。カーペンターフクロウは、化学物質やアレルゲンを極力排除した、再生木材と現地調達木材を使用したサステナブルな建築が特徴です。

カーペンターフクロウは、ダニエルがフィドルの練習小屋をDIYで造ったことがきっかけ。ちなみに、ヴァイオリンというとヨーロッパのクラシック音楽の高貴なイメージですが、英語でフィドルと言えば、バンジョーとともにカントリーミュージックに欠かせない楽器となります。

シャックトー（Shackteau：掘っ建て小屋の邸宅, shack + chateau シャトー）は、2.4m四方の1.8坪の小屋で、$10,000（約107万円）で造られました。木材は製材所の余剰材で、断熱材にはわらの詰め物を使用。自転車と比較すると、高さ5.8m！という背高ノッポぐあいがわかります。

アメリカ英語のshed, sheddingは「楽器や音楽の練習をする」という意味ですが、アメリカでは薪小屋（woodshed）にこもって楽器の練習を行う慣習があったことが語源。ダニエルは伝統に従ってフィドルを練習していたわけです。

Snails Away（カタツムリ・アウェイ）は、ダニエルの初めてのDIYトレーラーホームで、鉄で補強された90年代前半の16フィートシャシーに載っています。エクステリアは、自分の農場で伐採されたポプラ、チェリー、カエデをアーミッシュの隣人が3/4インチに製材したものをサイディングしました。

Snails Awayは、長さ4.9m・幅2.6m・高さ4mで、16平方メートルのリビングスペースに、キッチン、バスルーム、音楽スタジオ、寝室、収納を備えています。トレーラーの前端と後端にロフトがあり、カスタム階段からアクセスできます。

インテリアは、ホワイトオークとレッドオークと杉を車重を減らすために薄く削ってミックスしてサイディング。

フレーミングは、2×4と2×6の再生木材の間柱に、筋交いを挿入して走行中の構造体のねじれを防止しています。

木材サイディングと外部シーティングに隙間を設けて、空気を循環させるレインスクリーンシステムを採用。ブラックマウンテンシープのウールによる断熱と併せて、パッシブソーラーホームを実現しています。フルサイズの浴槽をロフトに設置しているのがユニークです。

Honey on the Rockは、カーペンターフクロウの代表作になった螺旋階段が印象的なトレーラーホーム。長さ6.7m・幅2.6m・最大高4.1mで、エクステリアは杉のトリムを使いウォールナットで覆っています。

フィドルの曲線をモチーフにしたシグネチャーの造形は健在です。丸窓と長方形の窓の幾何学配置と薪ストーブがいい味出してます。

アッパーデッキのテーブルを折りたたむと、ヴィンテージのバスタブが現れます。螺旋階段を登って露天風呂を楽しむという趣向。お風呂を高くするのが好きなんですね。

ハニーオンザロックは、カーペンターフクロウのカントリー調のデザインから、よりモダンにディテールが洗練されたインテリアに進化しています。キッチンの銅製シンクや木製のランプシェードがとてもお洒落です。

天井の湾曲部分の細木と壁のサイディングが、グラデーションを描きます。

屋外デッキのダイニングと室内ダイニングエリアは、跳ね上げ式ウィンドウで繋がります。

カーペンターフクロウは、カントリーミュージックを楽しみながら、フィドルの形を取り入れたユニークな移動小屋を今後も世の中に羽ばたかせることでしょう。フクロウ大工たちの次の建築が楽しみです。

Via:
carpenterowl.com
instagram.com/carpenterowl
tinyhouseblog.com