NYの摩天楼を望みながら、スローな暮らし「Outlook Shelter」
世界で一番有名な摩天楼といえば、アメリカのニューヨーク。
「眠らない街」と言われるほど活気に溢れ、時にはカオスともとれるような人々の活動がなされる中で、静かに緑の中でリラックスした時間を送ることは決して簡単なことではない。そんな賑やかで、喧騒に包まれた街を遠くに、というよりは、近くに眺めながら優雅に静かな時を過ごせる、こじんまりとしたホテルが誕生した。
このスモールホテルがあるのは、Governors Island (ガバナーズ・アイランド) と呼ばれる、全島が172エーカー(696059平方メートル)ほどのマンハッタンの南の先にある島の上。
そのうち43エーカー(174015平方メートル)がなだらかな丘や歴史的建造物、ジップラインなどのある公共公園で占められている。
この小さな島では、車が全く走っていない、というより、車が必要では無い。
大都会NYにもかかわらず、エンジン音一つさえしない場所にひっそりと佇むスモールハウスは、「Outlook Shelter (アウトルック・シェルター)」と名付けられ、デンバーに本拠があるCollective Retreats (コレクティブ・リトリーツ) という建築会社によって建てられた。
この場所は、2018年の夏まで夜を越すことが許されていなかったため、宿泊施設などが全くなく、このOutlook Shelterがこの島初めての宿泊施設となった。
インテリアは高級ホテルのものそのままに、スカンジナビア、特にノルウェーの小屋デザインを参考に建築したそうだ。
外装の壁は断熱材の上に波状の鉄板と、銅板を張ってレイアウト。その外壁の上部と屋根には、自動車の部品にも使われる黒い冷間圧延板を使用。これは、製造過程において冷間で圧延された薄板鋼板で、柔らかく加工性に優れている。そんな素材そのものの特性を活かし、美しさが際立ったデザインとなっている。
内装の壁の素材は、外装とは対照的な温かみを感じるマツ材を使用。壁の白さが際立ち、室内を明るい印象にしてくれる。
ベッドルームはツインのベッドが一つすっぽり入るほどの大きさで、壁材は白いマツ材で統一。
両サイドに大きなガラス窓と、奥にも壁上部に窓が取り付けられているため、朝陽が十分に差し込み、気持ち良く目覚めることができそうだ。
もちろん周りの景色を楽しみながら、昼寝というのもいい選択肢だろう。
フロアリングは強度に優れた、防水性のビニールを使用。まとまりのあるインテリアを実現している。
従来型のホテルでは部屋のデザインも含め、サービス全体が標準化・能率化しすぎているため、その地域の特色、つまり、そこでわざわざ宿泊する意味が希薄になるというデメリットがある。
「その土地での体験を存分に楽しみたいならば、その土地にいることを体感できるような設計にすべきではないか?」
そんな疑問からこのスモールホテルは作られていった。
バスタブのあるシャワー室の窓を開けば、外の海風を感じることができる小さなテラスがある。
シャワーを浴びた後テラスに出て、海風で涼みながら、鳥のさえずりを聞き、自然に囲まれた周りの環境を十分に楽しみながら、遠くにマンハッタンの夜景をながめることができる。
玄関のあるファサードにも小さなテラスが取り付けられている。
ここからは、朝や夕方などに美しいマンハッタンの摩天楼をバックに、腰掛けながら友人たちと会話を楽しむこともできる。
目の前には、自由の女神までも間近に望みながら生活を楽しむこともできる。
この島へは、マンハッタンかBrooklyn’s Pier6 (ブルックリンズ・ピア6 ) からすぐにアクセスすることができる。
オープンしているのは5月から10月まで。
もしNYに行く機会があり、その騒がしさに疲れてしまった際には、是非訪れてみてはいかがだろうか。
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