自転車の墓場から羽ばたいたテントウムシ。中国の移動式マイクロ図書館
ものづくりと廃棄物。子供のためのものづくりワークショップで、廃棄物について考えることは、持続可能な未来を模索するための有効なアプローチです。「共有テントウムシ(Shared Lady Beetle)」と名付けられた自転車のマイクロ図書館は、中国の放棄されたシェアサイクルをアップサイクルしたものです。
中国におけるシェアサイクルのスタートアップによる加熱競争とブームは、国内の主要都市に数百万台にのぼる廃棄自転車の山を生み出す結果となりました。遠くから眺めるとカラフルなお花畑のように見える「自転車の墓場」の写真は、世界中のメディアから衝撃をもって受けとめられました。
「共有テントウムシ」は、リサイクルとモジュール構造を特徴とする北京の建築スタジオ LUO Studioがデザインしたもの。ショッピングカートを使用して、ものづくりワークショップ用の小道具を学校に持ち込んでいた、LUO Studioの創設者Luo Yujieの友人の教育者のために設計されました。
「共有テントウムシ」の羽を左右にぱかっと広げると、3mの図書館が現れます。自転車のフレームは、放棄されたシェアサイクルをカスタマイズ。テントウムシのシェルは、廃棄された車の鉄板から製作され、本棚は再生木材を使用しています。重くなっても車体を安定させるために、最後部の中央に四輪目が取り付けられています。
内側にある長い書棚は、下にいくにつれてサイズが大きくなっており、一番下の棚は子供が読むときに座れるのに十分な大きさです。
「もともとは、子供向けのものづくりワークショップのために設計されましたが、複数の機能を持たせたいと考えました。アイテムを展示するための内部スペースは、プレートによっていくつかの小さな保管エリアに分割されており、ユーザーのニーズに応じて、取り外したり再配置したり自由に調整できます」とLuoは説明します。
「わたしたちは、都市の未知の開発問題に直面しても、前向きに廃棄物を宝物に変え、状況を変化させることに取り組んで、都市と地球をよりよくケアすることに努めるべきです」とLuoは述べます。
中国の「共有テントウムシ」は、問題を提起するスペキュラティブデザインと言えるかもしれません。次世代を担う子供たちと大人に、サステナビリティについて考えるきっかけとなるユニークな取り組みです。