船の上のミニマリズム「Sneci」
ここは東欧の一国ハンガリー
その西部にLake Tisza(ティスザ湖)という大きな湖があり、今回の住まいがあるのはその湖の上だ。
Lake Tiszaは首都のブダペストがハンガリーの中央だとするとそのちょうど西に150km進んだところに位置する
全長27kmもあり、ハンガリーで二番目に大きいこの大きな湖の上に浮かぶ住まいの大きさは約6平方メートルほど。
そして今回の住まいはなんと「ボート」だ
ここに住んでいるのはブダペスト在住のカップルのRéka Neszmélyi(レカ・ネッツェメリー) と Balázs Máté(バラズ・マテ)の2人。
普段はブダペストの小さなアパートメントに住んでいる。
都会の人混みと狭さから解放され、自然を楽しみたいと彼らが相談した建築家はTamás Bene(タマス・ベネ)、そして彼がこの湖の上のスモールハウス、「Sneci(スネシ)」を制作した。
このボートは素材としてはセコイアの木材とアルミニウムという、非常にシンプルな素材で作られており、そのシンプルさがデザインとしても表れている。
ボートのデザインは湖に浮かぶ漁船、湖畔に建てられた小屋や湖それ自体から着想を得た。
結果として、もともと湖にあった漁船かのように、このLake Tiszaの風景に馴染むデザインとなった。
そうはいっても、やはりキャッチーでスタイリッシュな外装であることには変わりはない。
船内のデッキに入ってみると、いかにも船らしい感じがするが、やはりデザイン性に優れていて快適に過ごせることがわかる。
主に2つのエリアに分かれており、キッチン&ダイニングルームとベッドルームだ。
内装の素材はレッドパインを高熱で乾燥させたフィンランド生まれの材木であるサーモウッド、セコイア、合板、アルミニウムから作られている。
このように、素材をこだわったおかげで夏は涼しく過ごせ、秋は暖かく過ごせる、温度変化に強いサマーハウスにも変身する。
ボートは非常にこじんまりしているように見えるが、これでも大人4人が食卓を囲めるほどの大きさがある。
ダイニングテーブルのすぐ脇には大きな窓がつけられており、ここから周りの景色を楽しみつつ食事ができる。
海と地平線が見えるこの解放的な景色が何よりのご馳走だ。
ダブルベッドがあるほかに、ダイニングルームのテーブルを折り畳めば、シングルベッドが二つ現れるため、4人でこのボートの上にお泊りすることも可能だ。
ボートのエンジンは9.9馬力と小さなエンジンだ。
基本の電力は車と同じ容量でこのエンジンから得ることができる。
さらにこのボートはオフグリッドハウスでもあり、船の天井部分にはソーラーパネルも積んでいるため、ここからの電気の自給自足が可能だ。
水の上でも電気が使えるため、生活に困ることもなく、環境にも優しい。
さらに電気が必要な場合も180Ahのバッテリーを積んでいるため、万が一の時も安心だ。
飲水は20リッターのボトルに積んで、足でポンプを使い、蛇口から飲水を出すことができる。
大体大人2人で20リットルで3日間は補給せずに暮らせるそうだ。
手間のように聞こえるかもしれないが、これが自然の中で、オフグリッドに暮らす楽しさでもある。
冷蔵庫、ガスストーブ、トイレ、ラップトップコンピューターを使うためのインバーターまでついているため、船の上でも地上と変わらない快適な生活を送ることができる。
このボート型住まいは、ブタペストから気軽にリフレッシュしに一泊することもできるし、ボートとして、長期の旅に出ることもでき、用途は多種多様だ。
ボートの上は地上とは切り離されているため、生活形式やリズムとしてもよりシンプルになり、かなりミニマリストな生活を楽しめる。
ハンガリーのカップルはボートの上でミニマリズムの暮らしを見つけたようだ。
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