森の木々に見え隠れするのは、やや大きめな鳥の巣？
かなり大きめな、人の巣？
それは「ツリーテント(Tree Tents)」。
ツェッペリン飛行船にインスパイアされた球状の構造体は、建築物というよりは飛行船の「機体」と呼ぶ方が相応しい。

UKの工業デザイナーJason Thawleyが2005年に立ち上げたデザインスタジオLuminairは、リサイクル素材の使用、エネルギー効率を良くするための革新的で耐久性のあるユニークな製品コンセプトを提示し、サステナブルでエコフレンドリーなアプローチによる製品デザインに特化している。

森の恵みは、私たちの暮らしに多くをもたらすが、森のライフサイクルを身近に感じ、知ることで、その恵みの利用のバランスを保つことが重要だ。
Luminairの「ツリーテント(Tree Tents)」は、森でのリサーチや管理、またレジャーや研修など、森のサイクルを知るという目的での使用を考えて生み出された。

16オンス(0.47リットル)の球状の構造体は、アルミの柱材とスチームベンディングされたアッシュ材の骨組みで球状を保つ、軽量でバランスの良い構造で、耐食性・防水性のある綿100%のキャンバス生地で覆われる。
(スチームベンディング＝高温の蒸気で木材を破壊せずに曲げる技術：木材を曲げることで、大きな無垢材からカタチを削り出す必要がないので、材料に無駄が無い)

二人の大人が快適に過ごせる直径3メートルの内部空間には、伸ばすとベッドになるサイドベンチが一式。
暖房および料理用のバイオ燃料ストーブで、床下に収納されたタンクに蓄えられた水を温め、部屋を快適な温度に保つことができる。

「ツリーテント(Tree Tents)」は、木々に浮かぶように中空に設営されるため、環境への影響が少なく、年間を通して使用可能なシェルターとなっている。

かつて私たちの祖先は、外敵から身を守るため、樹上で暮らしていた。
多くの人々が、森から離れた生活を送っているが、私たちを守ってくれていた森の木々は今でも私たちに恩恵をもたらしている。

森に帰り、木々の息吹を感じれば、知らないはずの太古の記憶が蘇るかもしれない。

Via:Dre Wapenaar