第1回:スーツを脱いで、旅に出よう。|スゴイ!が日常!小笠原

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「スゴイ!が日常なんです。」満天の星たちが飽和して、今にも降ってきそうな空の下、小笠原に移住したばかりの女の子がそう言った。その瞬間、島での数え切れない思い出が流星群となって僕の頭の中を流れていく――

 

2014年7月13日から28日までの2週間。僕は小笠原を旅しました。「小笠原諸島」という名前は有名ですが、どこにあるのか地図で調べると驚く人も多いはず。なんと、東京から真下に1,000km。太平洋にポツリと浮かぶその島は、緯度でいうと沖縄の那覇と同じくらい南にあるんです。

意外なことに、真夏でも東京と気温は変わりません。そのかわり、小笠原の海開きは日本一早い1月1日。実際は、冬に海水浴ができるほど温かくはないですが、それでも気温は20度前後。一年を通して気温の変化が少なく、過ごしやすい島です。

また、日本最東端の島「南鳥島」も、日本最南端の「沖ノ鳥島」も、映画で有名な「硫黄島」や、噴火で生まれたばかりの「西之島」も小笠原諸島に含まれますが、人が暮らしているのは「父島」と「母島」しかありません。

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船は1週間に1度、しかも片道25時間。

父島に行くための手段はひとつ。竹芝桟橋から出発する「おがさわら丸」のみです。飛行機はありません。
船は1週間に1度、しかも片道25時間以上かかります。それだけの時間があれば、地球の裏側にあるブラジルまで行けてしまう時代です。「小笠原は世界一遠い日本」と言えるかもしれません。

そのかわり、大型船「おがさわら丸」の設備は充実していて、24時間無料のシャワー室、1000円前後でなんでも食べられる食堂、小笠原についてのレクチャー、ビデオライブラリーまで、不自由はありません。が、何より船のゆれのせいか、どれだけ寝ても眠くなるんです。しかも、そこは太平洋の真っ只中。電波はまったく入らないので、新幹線のようにパソコンを忙しくいじくっているビジネスマンもいません。

そんな「おがさわら丸」での時間もまた、小笠原ならでは。ちなみに、母島に行くには、父島からさらに2時間、船に揺られる必要があります。

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沖縄より高いが、海外より安い。

ハードルが高く思われがちな小笠原ですが、旅をするのは実にかんたんです。船代も宿代も相場は決まっているので、ネットや旅行代理店で比較検討する必要はほとんどありません。泊まりたい宿を探して、おがさわら丸を運航している「小笠原海運」に直接電話すればOKです。

船賃だけなら2等船室で往復5万円ぐらい。宿とセットになったパック料金も選べます。現地で宿を探す場合は、安くて1泊4,000円ぐらい。必要な物は、サンダル、水着、シュノーケリングやフィンなどのマリングッズなど、ほとんどのものを現地でそう高くない値段で買うことができます。

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スーツを脱いで、旅に出よう。

小笠原は2011年に世界自然遺産になりましたが、その暮らしは、多くの人にとって未だ秘密のジャングルに覆われたまま。この連載では、たった2週間ではありましたが、旅の記録を中心に、都会から隔離された島の暮らしが思い出させてくれた「ひと本来の自然な暮らし」についてもお伝えしたいと思います。

もしも、都会に疲れたら、「スーツを脱いで、旅に出よう。」
小笠原でなら、本当に大切にしたい暮らしが何なのか、そのヒントがきっと見つかるはずです。

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10月22日~11月初旬まで、小笠原の「PHOTOBA展」を開催中!

小笠原にまつわる写真と言葉の「PHOTOBA展」。実は、冒頭のスーツの写真も、その作品のひとつです。テーマはこの連載とおなじ「スーツを脱いで、旅に出よう!」です。

横浜みなとみらいのドックガードヤーデンに新しく誕生する「BUKATUSDO」。そのオープニングパーティーにあわせて10月22日から展示をお披露目。当日は、予想をはるかに超える多くの人たちにお越しいただき、ブースは常に超満員。これからしばらくは、ゆっくり見ていただけると思いますので、お近くにお越しの際は、ぜひお気軽にお立ち寄りください。

ちなみに、BUKATSUDOとは、「大人の部活」が生まれる新しい街のシェアスペースです。入場は無料!展示も無料!です。

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スゴイ!が日常!小笠原の「はじまり」。冒頭でご紹介した動画は、1分で小笠原を旅するロードムービー「OGASAWARA MOVE」。知る人ぞ知る動画のオマージュです。次回から、「海」「星」「ひと」「時間」「住」など、テーマを絞って連載を開始します!ぜひとも、お楽しみに!