【未来を感じる住まい方】vol.2 水越優美さん「他人とゆるい境界の中で共に暮らせるAirbnb」

アメリカのロサンゼルスでAirbnbホストをしているJoanさんは、美術教授を定年退職したアーティスト。まるでギャラリーのようなご自宅とJoanさんの温かなおもてなしは、滞在者からの評判も上々。地元民ならではの視点で、美味しいお店や旅のコツを伝授してくれるというのも嬉しいおまけ。(photo via: airbnb.com

YADOKARIファミリーや、ライフスタイルを注目される方々が考える「未来の住まい方」をご紹介するシリーズ企画。
今回アンサーしてくれたのは、ロサンゼルス在住の水越優美さん。水越さんは、かつて利用したAirbnbに「未来の住まい方」の姿を見出したそうです。


【答える人】
水越優美さん 『YADOKARI』ライター
石川県出身。大学卒業後に地元新聞社で記者・編集者として5年間勤務。カナダのバンクーバー留学を経て、2015年から米国ロサンゼルスの日本語情報誌記者に。好きな場所は本屋。

水越さんが執筆した記事

【前編】100年前の銀行が書店に。ロサンゼルスで見つけた「世界で最も美しい本屋」
【後編】100年前の銀行が書店に。ロサンゼルスで見つけた「世界で最も美しい本屋」

Airbnbなら未来の住まい方に近づける

Q:あなたの住まいについて教えてください。
アメリカのロサンゼルスで、小学校の先生であるアメリカ人女性と13歳の娘さん親子とハウスシェアしています。賃貸の一戸建てで、私専用の個室とバストイレもあります。キッチン、リビングは共用です。

Q:今の住まいを選んだ理由を教えてください
なんといっても安全だから! 新しい場所でも誰かと一緒に住むと心強いし、困ったときも助け合えますよね。ジョギングをしたいので、ビーチまで徒歩圏内の場所だったのも魅力的でした。
ちなみに、シェアメイトの親子とは友人だったわけではなく、ルームメイト募集のサイトでたまたま見つけました。彼らのお陰で、この土地の文化や気質を体験できるのも楽しいですよ。サンクスギビングやクリスマスなどの風習を、地元ならではのやり方で一緒にお祝いできたのは貴重な経験です。また、他人を尊重しながらも、自分のしたいことをするアメリカ人のバランス感覚を近くで感じています。

ビーチまで徒歩圏内の好立地にも、シェアハウスなら住むことができる

Q:住まいについてのこだわりについて教えてください
誰かと一緒に住んでいたとしても、自由を感じられること。

Q:現代の「住まいの常識」で変わってほしいと思うことがあれば教えてください
隣の家との境界をガチガチに引いてしまうことでしょうか。その線から物理的または心理的に少しでもはみ出ると、すぐにご近所問題が勃発しますよね。

Q:あなたが思う「未来の住まい」について教えてください
プライベートや個人の自由は尊重しながら、隣の家の人との境界がゆるやかな住まいです。他人との付き合いは面倒で摩擦が起きることもありますが、基本的には一人より、誰かと一緒の方が生きやすいと思っています。困ったときや、年齢を重ねてからはなおさら。
日本にいるときは全く自覚しませんでしたが、アメリカに来てからは分からないことや困ったことがよくあるので、人に助けられて生きる大切さと心強さを知りました。

水越さんが住んでいるシェアハウス。コージーな雰囲気のなか、ゆるく人とつながり、助け合いながら暮らすことができる

Q:あなたが「未来の住まい」を感じさせる場所やアイテムがあれば教えてください
先述した「他人とゆるい境界の中で共に暮らす」というスタイルに近いものを、かつてAirbnbで滞在した家で感じました。これまでシアトルとロサンゼルスで利用したのですが、単身のホテル滞在ではできない体験ができました。特にシアトルは、思い付きで無計画な旅だったにも関わらず、ホストが詳細なプランや便利なバスの乗り継ぎを一緒に考えてくれたお陰で、充実した旅になりました。ホームステイやシェアが「特別なこと」でなくなれば、これも「未来の住まい」になるんでしょうね。

Q:今楽しみな予定や、気になっていることは?
今後も知らない土地へ行って、いろいろな暮らし方を体験してみたいです。また、いつかは自分がホストとして、私たちの文化の中に他の方々をご招待できるようになりたいですね。それは「外国人」である必要はなくて、日本人同士であっても、違う地域の文化を体験できる機会になると思います。「自分ではない誰か」の暮らしをちょっと覗いて体験するって、意外とないこと。ちょっとしたことにびっくりして面白がることが、他者への理解につながるのではないのでしょうか。

貸すほうにも、借りるほうにもメリットのあるAirbnb

水越さんは、「他人とゆるい境界の中で共に暮らす」というご自身の考える未来の暮らし方を、かつてAirbnbで民泊した家に見出したようですね。Airbnbには、「ホテルやウィークリーマンションのように部屋を明け渡して家主は不在」という形態と「家主やその家族の住まう家に泊まらせてもらう」という2パターンがあります。水越さんは、地元の生活に入りこめる後者のスタイルで旅先での滞在を存分に堪能できたようです。

そして、Airbnbで恩恵を受けるのは滞在者だけではなく、場所を提供するホスト側にもお金以上のメリットがあるのです。Airbnbの発表によると、意外にもホストの年齢層で一番増加が著しいのは60歳以上のシニア層なのだとか。仕事も引退し、家族と離れて暮らしているシニアは、社会からの疎外感や孤独を感じやすくなります。時々でも誰かが自宅にいてくれたら孤独を紛らわすことができるのです。また、地元民ならではの情報を提供することで感謝されることで、やりがいを感じることができるから一石二鳥なのだとか。これぞまさに「他人とゆるい境界の中で共に暮らす」という住まい方の理想形ではないでしょうか。

借りるほうにも貸すほうにもメリットのあるAirbnb。みなさまは、どんなホストの居るAirbnbに泊まってみたいですか?また、もしも自分でAirbnbのオーナーになるなら、どんな宿にしたいですか? ぜひご意見お聞かせください。

Via:
bloomberg.com
ststays.com