
フィンランド・ヘルシンキ郊外の美しい海岸沿いに位置する「Majamaja Village」は、完全自立型のオフグリッド生活を体験できるタイニーハウスビレッジだ。建築家であり共同創設者であるペッカ・リットウ(Pekka Littow)は、資源への依存を減らしながら快適な生活を実現する方法を示すことを目的に、このプロジェクトを立ち上げた。
最初のキャビンは2020年に建設され、現在では4棟が美しい群島を望む海岸線に並んでいる。ここには道路や公共インフラの接続がなく、環境への影響を最小限に抑えることが必須だった。そのため、建物はプレハブ方式で作られ、フィンランドらしいシンプルで洗練されたデザインが施されている。外壁には縦張りの木材が使われ、鋭い切妻屋根が特徴的なスタイルを生み出している。

完全自立型のライフラインを備えたオフグリッド設計
「Majamaja Village」の最大の特徴は、都市のインフラに頼らずに生活できる点にある。各キャビンには、特許取得済みの独自の衛生モジュールが搭載されており、ソーラーパネルや風力発電機、グレイウォーター再利用システムと組み合わせることで、完全な自給自足を実現している。
清潔な水は、海水や使用済みのグレイウォーターを浄化するシステムによって供給され、使用後は再び自然に戻される仕組みだ。さらに、乾燥式トイレが導入され、排泄物は土壌改良材として利用可能な形に処理される。こうしたシステムによって、居住者は資源の有限性を意識しながら、持続可能な生活を送ることができる。

環境への負担を抑えたプレハブ構造
「Majamaja」のキャビンは、完全にプレハブで製造され、現地での組み立て時間を短縮することに成功している。フィンランドの岩場の多い海岸線では、通常の建築工事が難しいため、この方式は理想的だった。
建築現場での掘削やインフラの敷設を避けることで、周囲の自然環境を守りながらキャビンを設置できる。実際、ヘルシンキのプロジェクトでは、キャビンを小さなユニットに分割し、フェリーで運搬して設置された。このように、景観を損なうことなく、必要な設備だけを持ち込む設計がなされている。

コミュニティとしての魅力も
各キャビンは独立した居住空間となっているが、「Majamaja Village」は単なる個別の宿泊施設ではなく、コミュニティの概念を大切にしている。リットウ氏は、「人は共同体の中で生きる力を持っている。いや、それは生きる上で欠かせない本質的な要素なのかもしれない」と語る。村としてのまとまりが、安心感を生み出し、住人同士の自然な交流を促している。


販売と導入の可能性
「Majamaja」のタイニーハウスは、販売も行われている。基本モデルはヘルシンキにある 23㎡(約248平方フィート) のキャビンで、3人まで宿泊可能な設計となっている。また、新たに建設予定の 40㎡(約430平方フィート) モデルには、5人用の寝室スペースとプライベートサウナのオプションが用意されている。
販売価格は、モデルや導入する技術によって異なり、 €80,000(約83.5万円)〜€250,000(約260.8万円) の範囲で提供される予定だ。さらに、島のプロジェクトでは、 40㎡のファミリーユニット が販売され、プライベートサウナを備えた宿泊施設として、€300,000〜€400,000(約313万円〜417万円) で提供される。このキャビンは、Majamajaを通じたレンタル運営も可能となっている。
さらに、「Majamajaメンバーシッププログラム」が開始され、ヘルシンキのキャビンを共同所有することも可能だ。メンバーシップは €18,500(約19.3万円) から始まり、キャビンの使用権とレンタル収益の分配を受けることができる。

簡単な設置プロセスとヨーロッパ全域への国際展開
プレハブで製造されたキャビンは、5棟まとめて製造する場合 約4ヶ月 の期間を要し、現地での設置作業は わずか5日間 で完了する。
現在、「Majamaja」はフィンランドとフランスに建設パートナーを持ち、ヨーロッパ全域への配送が可能となっている。遠方の顧客向けには、設計図のみを購入し、地元の建築業者と協力して建設する方法も提供されている。また、自給自足技術だけを購入し、独自の建築プロジェクトに組み込むことも可能だ。
建設と配送のプロセスも整備されており、顧客には必要な建築設計図や許可申請に関する資料が提供される。建築許可の取得や基礎工事の詳細は、各地域の規制に合わせて調整される。
オフグリッド生活の未来へ
「Majamaja Village」は、オフグリッドでの持続可能な暮らしを体験できる貴重なモデルケースだ。自然と共生しながら、快適で自立した生活を送るための新しい選択肢として、今後もその可能性を広げていく。「未来の住まいは、エネルギーや水、廃棄物の管理をもっと身近にすることが重要だ」とリットウ氏は語る。
自然からの恩恵を受け、そして共生しながら自立する住まいが並ぶこの村では、そこに集う人々がどのようなつながりを育み、新しいコミュニティの形を築いていくのだろうか。持続可能な暮らしの中で生まれる価値観や、そこで営まれる日々の生活は、豊かな暮らしを他者とともに育んでいくためのヒントを与えてくれるかもしれない。
via: dwell.com
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キャビンの共同所有や、自給自足技術だけの購入も可能。
持続可能な暮らしを多くの人と共有できる新たな選択肢の誕生だ。