
月の満ち欠けのサイクルに合わせて伐採された「ムーンウッド」を使って作られた「Cocoon Freelancer」。単に自然からの資源を使うだけではなく、自然のリズムを意識することにより、これまでにない耐久性を実現した移動型キャビンだ。
手がけたのは工業デザイナーのマルアン・アティア(Maruán Attia)。アルプスの山小屋や日本の寺院建築にヒントを得て、伝統的な木の知恵を現代のデザインに取り入れて制作したという。
トラックに搭載可能なミニマルさでありながら、室内には機能性や美しさを備えた、「Cocoon Freelancer」。新たな自然との調和を提案するその住まいを覗いてみよう。
特別な木材、ムーンウッドとは?
「Cocoon Freelancer」の大きな特徴は、使われている木材にある。ムーンウッドは、冬の一番寒い時期に、月の満ち欠けのサイクルに合わせて伐採される特別な木材。普通の木と比べて耐久性が高く、害虫に強く、歪みにくいのが魅力だ。時間が経つと、表面が自然とグレーがかった色に変化し、まるで木の皮のような風合いになる。アルプスの古い家や、日本の寺院が長い年月を経ても美しさを保っているのは、こうした木材の特性が関係しているという。
さらに、このキャビンでは外装にネジを一切使っていない。これによって木が水を吸収しにくくなり、長く安定した状態を保つことができる。


どこへでも移動できる自由な住まい
「Cocoon Freelancer」は、移動の自由度を最大限に考えたデザインが魅力。内部寸法は185cm×320cmで、高さは200cm。コンパクトなサイズながら、しっかり快適な居住空間が確保されている。
トラックの荷台にそのまま設置できる設計になっていて、例えばメルセデス・ベンツのスプリンターやVWクラフターなどの3.5トンクラスの車両にぴったり。特別な運転免許がなくても移動でき、トレーラーでの輸送や、今後登場予定の調整可能な支柱を使って地面に直接設置することもできるので、使う場所や用途に応じた柔軟な対応が可能だ。



コンパクトでも快適な空間設計
「Cocoon Freelancer」の内部には、限られたスペースを最大限に活かす工夫が詰まっている。床から天井まで続く大きな窓を採用し、外の景色を存分に楽しめるデザイン。ガラスは真空断熱ガラスを使用していて、44mm厚の三層ガラスと同じくらいの断熱性能を持ちながら、厚さはたったの7.7mmと軽量なのが特徴。この設計のおかげで、外の気温が7℃でも、薪ストーブを30分ほど使えば室内は20℃まで温まる。
また、デスクがベッドに変形するユニークな仕組みも取り入れられ、日中は作業スペースとして使い、夜になったら快適なベッドへと変化。見た目の美しさと実用性を両立させるために、18ヶ月もの試行錯誤を重ねて完成させたデザインだ。


オフグリッドで持続可能な暮らし
屋根にはソーラーパネルを搭載し、最大900Wの発電が可能。これによって、電力網に頼らないオフグリッドの暮らしが実現する。キャビンの壁は厚さ8cmの無垢材で作られていて、特殊な空気循環システムが備わっているため、追加の断熱材がなくても快適に過ごせる。
設計者のアティアは、「従来の断熱材を使うと湿気が溜まりやすくなり、カビのリスクが高まる」と指摘。そのため「Cocoon Freelancer」では木の特性を活かし、自然な換気と断熱を両立させる仕組みを採用している。

一人でも設置・撤去が可能
このキャビンのもう一つの大きな魅力は、設置や解体がとても簡単なこと。室内の構造は工具なしで組み立てができ、手で締めるだけのナットで固定されているので、一人でも設置や撤去が可能。これなら、移動もスムーズにできる。
未来の住まいの新しい形
月のリズムに合わせて育まれたムーンウッドを使い、環境に優しいオフグリッド設計を採用した「Cocoon Freelancer」。どこへでも運べる可動性と、一人で設置できる手軽さを兼ね備えたこのキャビンは、現代の住まいに新たな自由をもたらす存在となるはず。
自然の豊かなこの日本で、トラックに搭載したこの小さな住まいとともに暮らしてみるとしたら、あなたはどんな場所に暮らしてみたいだろうか。海辺や静寂な山の中で過ごしたり、フェリーで小さな島へ移動したり。好奇心の赴くままに、自分だけのオリジナルな暮らしができそうだ。

via:
attiadesign.com
dezeen.com
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自然からの資源を使うだけではなく、自然のリズムを意識することにより、これまでにない耐久性を実現した移動型キャビン。