エコビレッジが育む、“シェア”から繋がる人々の暮らし

photo by Nanami Kawaguchi

エコビレッジという言葉を耳にしたことはあるだろうか。
もし初めて聞いたのであれば、なんとなく「エコ=地球環境に優しい」場所をイメージするかもしれない。
もちろんそれも正解。だが、今回はエコビレッジが持つ強いコミュニティ性に注目していきたいと思う。

エコビレッジとは

そもそも、日本ではまだ聞き慣れないワードなのでは。私もデンマークに留学して初めてその存在を知った。
場所によって様々な特色があるが、The Global Ecovillage Network (GEN) は以下の要素が必要と考えている。

  1. 地域に根付いたものであること
  2. 4つの側面(社会的、文化的、経済的、生物学的)において持続可能なシステムが構築されていること
  3. 社会性および自然環境を積極的に修復、再生すること

要するに、自然と人々の繋がりの両面に配慮した暮らしを営むコミュニティといったところだ。似たような志を持つ人々が集まるという点においては、マンションや団地とは違う「繋がり」を持っている。
では、実際にどのような特色があるのか。数々のエコビレッジを有する北欧の例から探っていこう。

生きかたを、遊ぶ住まい「YADORESI」や、入居者のクリエイティブ最大化をコンセプトとする「ニューヤンキーノタムロバ」など、暮らしにまつわる個性豊かなシェアや共生社会の在り方を探求しつづけているYADOKARI。今回は、世界の多様な「シェア」のカタチを紹介していく。

最先端を行く、都市型エコビレッジ/デンマーク

デンマークの首都、コペンハーゲンにあるエコビレッジ「UN17 Village」。都市型らしくモダンなマンションのようなつくりだ。しかし、建物の壁などはリサイクル素材(コンクリートや木)を使用。敷地内に雨水を貯水する施設やビルディングごとに屋上菜園を備えるなど、建築と暮らしの両面から持続可能性が意識されている。

via:https://www.dezeen.com/2018/12/10/un17-village-eco-housing-copenhagen-lendager-group-arstiderne-arkitekter/
via:https://lendager.com/project/un17-village/

そして、このエコビレッジの特徴が住民の多様性と規模の大きさ。
家族、一人暮らし、シニア世代…、年齢もライフスタイルも異なる最大800人もの人々が集い生活空間・物をシェアしている。(敷地内に37種、400戸の家々があり、各家庭で住む形態)

via:https://lendager.com/project/un17-village/

また、敷地内にはコミュニティスペース、イベント会場、レストラン。なんとグリーンハウスや食べ物のシェアリングスペースまで有り、それらを通して暮らしに必要なものを自分たちで作ること、人々のコミュニティの形成が支援されている。

via:https://lendager.com/project/un17-village/

ゆっくり自分と他者を知る、小さなエコビレッジ/フィンランド

人々と自然環境、双方の健康と心地良い暮らしの実現をテーマにしたコミュニティ。元々木材の取引が行われていた家が数名でシェアされている。

ここでは、様々なアクティビティを通して、良質なコミュニケーション、サスティナブルに暮らすための知識を育んでいる。その一つが、週末に住民たちが円になって集い、時間・空間・気持ちを共有するというもの。話し手は何か物を持って喋り、自分の番が終わったら次の人に渡す。そこに居る誰しもに話す機会が与えられており、他の人はそっと耳を傾ける。
サークル状に座ったり、順番に話したりできる工夫からも、皆がコミュニティの一員であり欠けることがないようにという気持ちが伺える。

via:https://www.sustainableplaceshaping.net/exploring-eco-villages-in-finland/
via:https://www.sustainableplaceshaping.net/exploring-eco-villages-in-finland/

古くから続く、伝統的なエコビレッジ/スウェーデン

1970年代に計画、創設されていったスウェーデン南部にある「Solbyn」。
夏はオーガニックファームで畑仕事、食物が育たない冬はコミュニティや暮らしづくりに力を入れる、まさに典型的な形のエコビレッジと言えるだろう。

住人はそれぞれ異なる役割を持つグループに所属し、協力して生活を作り上げている。また、月に一度の全体ミーティングは民主主義的なコミュニティ運営において重要な要素。役員は2年に一度投票で決まり、まるで一つの街のようだ。

via:http://solbyn.org/gallery
via:http://solbyn.org/gallery

エコビレッジの要素を日本の暮らしへ

どのエコビレッジにも共通するのが、「物」をシェアするだけでなく「気持ち」をシェアする機会が沢山設けられていること。単に住むという行為を超えて、周囲と協力し合いながら心地良い居場所をつくっていくのだ。

日本でもかつてはお隣さんと物や情報を共有し合い、その中で人々は「繋がり」を育んでいた。しかし、生活の多様化が進むにつれ隣人は見知らぬ人に…。
暮らしのすぐ側に頼れる仲間がいるという状況がなくなりつつある。

では、今の日本社会にエコビレッジの考え方を浸透させることで生み出せるものとは。ここまで見てきた北欧の例から、以下の可能性が考えられる。

・似たような興味、関心をスタート地点とした密接なコミュニティ
・知識の共有、学びの場
・家庭以外での居場所
・地域に人を集める源動力

エコビレッジをつくることは難しくとも、何かを少しずつ“シェア”することは簡単にできるはず。
例えば、ご近所さんと畑を借りて週末は集ってみる。料理を一緒に作って、皆でピクニックに出かけてみる。
小さなことからでも、様々なものを共有していくことで誰かと心地よい空間を共創していけるのではないだろうか。

そして、地域単位になれば、住居・教育・ビジネスなど更に大きな枠組みで暮らしやすいまちをデザインしていけるのでは。
日々の暮らしにもう少し“シェア”する意識を日本でも蘇らせていきたい。

参考:
What is an Ecovillage?
https://ecovillage.org/projects/what-is-an-ecovillage/

・UN17 Village to built in Copenhagen with recycled materials
https://www.dezeen.com/2018/12/10/un17-village-eco-housing-copenhagen-lendager-group-arstiderne-arkitekter/

Exploring eco-villages in Finland
https://www.sustainableplaceshaping.net/exploring-eco-villages-in-finland/

Green living in Sweden’s Ecological Village of Solbyn
https://theecologist.org/2015/feb/23/green-living-swedens-ecological-village-solbyn
http://solbyn.org/about

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京急本線「弘明寺駅」から徒歩3分。「個人のクリエイティブ最大化」がコンセプトの共創型コリビングで、居住は一年間の期間限定。選考で選ばれた入居者が集い暮らしながら自身をアップデートし共創していく、革新的な住まいです!


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全22部屋の個室(1R・シャワーブース・トイレ付)と、各個室に付帯し小商いや自己表現が可能な「はなれマド」、リビング・キッチン・ランドリールームなどの共有部から構成されており、個性豊かな住人が集い暮らしながら、新たな自分と生き方の選択肢を探求・挑戦できる住まいです!

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