サウナは熱いがリラックスはしたい! そんな方こそ知ってほしいモロッコ由来の“ハマム浴”

小学校低学年の頃、父とお風呂に入ると必ず父は「いい湯だな、あははん♪」と歌っていた。
「自分で入れた湯やないかい」と小学生らしからぬツッコミをする余裕など当時はなく。幼い私にとってはあまりにも熱すぎる湯にどこが”あははん♪”なのかさっぱり理解が出来なかった。
だが、昨年の一人旅で体験した五右衛門風呂を熱いと思わなくなった自分。普段の設定温度が高いほど心地よいと感じる自分。大人になったのだな、あははん♪とそんなことを思った。

だが、そんな熱い湯好きの私でも最近よく聞く「サウナ」は少し苦手だ。確かに身体を温めることは好きだが、なんだか息苦しくてすぐに出てしまう。おそらく私だけではなく、サウナを息苦しい、あるいは熱すぎると感じたことのある人はいるのではないだろうか。頭だけでも涼しくなれたら…そう何度も思ったことがある。
そして、もちろん好みの温度や耐熱温度は個人差と理解した上だが、サウナに苦手意識を持つ理由に息苦しさを挙げる女性は多い傾向にある。

女性にとってサウナは「熱く」「息苦しい」場所?

サウナを利用したことがある女性だけをターゲットにした調査。それによると、約半数がサウナ好きを確信したい一方、約2割の方は苦手意識を抱いたという。

参考:https://note.com/amaduction/n/n2e082647ed3dを基に作成

苦手意識の理由の多くは”熱すぎる”が6割以上。さらに、息苦しさが理由である割合は半数近くにのぼった。

参考:https://note.com/amaduction/n/n2e082647ed3dを基に作成

いやあ、サウナ熱いよね。と何故かアンケート回答者と肩を組みたくなる気持ちだ。

女性はサウナにさほど高い設定温度を求めない

また、施設ごとに異なるサウナの設定温度。そんなサウナに高温帯と言える、90℃〜100℃を求める割合も女性の割合は男性よりも少ない。下記のように、男女合わせた全体での割合が35%であるのに対し男性の割合は約半数。

参考:au PAY マーケットによる調査:「サウナ利用に関する意識調査」を基に作成

またサウナ室の温度ごとの施設件数を比較した別の調査。視覚的にグレーの棒グラフで示された男性用のサウナ室の方が明らかに高温寄りである。

参考:日本サウナ総研の調査を基に作成

そして女性向けサウナの平均温度は87℃。男性向けの98℃よりは低めだ。だが、それでも90℃〜100℃以上の高温帯のものは一定数存在する。女性が求める温度と設定温度にギャップが存在することもありそうだ。87℃の温風が覆っていると想像するだけで息苦しいのに100℃を超えると思うともう個人的には事件だ。

だが、先ほどのサウナを経験した女性をターゲットにした調査。苦手意識を抱いた2割の人々の苦手理由に着目してきたが、一方でサウナ好きと回答した半数の人々。

参考:https://note.com/amaduction/n/n2e082647ed3dを基に作成

彼女達は皆、サウナ室の設定温度がが単に高温であることを好んでいるのであろうか。それとも高温であること以外にもサウナの魅力があるのだろうか。

女性はサウナに美容効果やリラックス効果を求める

先ほどの女性へのアンケートで、サウナを気に入った方の理由(複数回答可能)

参考:https://note.com/amaduction/n/n2e082647ed3dを基に作成

汗をかく気持ちよさ、とおそらく“熱さ”を求める人が6割と一定数は存在する。だが、7割が美容や健康効果。リラックス効果を求める人が約半数。このように、単なる高温環境である以上に美容やリラックス効果を期待する利用者が多いのではないだろうか。

美容・健康効果やリラックス効果を求めてサウナを好む人々。そして熱さや息苦しさを感じることでサウナを敬遠する苦手意識を持つ人々。
それならば。適度な温度で“美容・健康効果”と”リラックス効果”を息苦しさなく体験することが出来れば。あるいは顔だけが涼しく快適な呼吸ができれば。それは最高の体験ではないだろうか。これぞまさに“あははん♪ “効果を得られるのではないだろうか。

そこで今回紹介したいのが、「日本式」ハマム浴と呼ばれる中東由来のスチームバス(蒸し風呂)だ。

そもそもハマム浴って?

なかなか聞き馴染みのない「ハマム浴」というワード。アラビア語で「熱い湯」や「湯の施される場」という意味を持ち、モロッコやトルコなど中東地域に由来する文化である。

だが、先ほど敢えて「日本式」と付けたように中東における「ハマム浴」と日本での「ハマム浴」は単語は同じでもその形態はまるで異なる。モロッコを始め、中東での「ハマム」は日本でいう大衆的なサウナや岩盤浴のようなもの。対して日本でのハマム浴は個別的なリラクゼーションの性質が強い。今回はそんな両者の違いも含め、日本式ハマム浴の魅力、そして実際に体験した感想について掘り下げていく。

モロッコにおけるハマム浴

https://www.tooistanbul.com/en/istanbul-best-hammams/

トルコにおけるハマム浴は、いわゆる日本でいうサウナや岩盤浴と近い。だが、日本のサウナと異なりケサジと呼ばれる専属スタッフがつく。案内人付き岩盤浴といったところだろう(想像するにちょっと恥ずかしい)
いわゆる岩盤浴のように大理石の上に寝転がり、汗を出す。その後、ケセジによる垢すりとマッサージが行われる。最後に全身くまなく泡で洗ってもらった後にお湯をかけてもらい終了というのが一連の流れだそうだ。

過去に日本だけでなく、世界各国で流行した”テルマエ・ロマエ”と呼ばれる映画。この映画の影響で中東にも”公衆浴場”の認知が拡大したが、宗教上の理由から他人と同じ湯船に浸かる文化が根付かなかった。しかし、一方でサウナの文化のみが根強く残り、結果としてハマム浴と呼ばれる形で文化として残ったそうだ。専属スタッフがついて個別面もあるとはいえ、公衆浴場という性質上、 “大衆”向けであることが特徴だ。日本のサウナと近しいだろう。

日本におけるハマム浴

前述した日本のサウナをもとにしたトルコ式ハマム浴が日本に逆輸入され、じわじわと人気が広まりつつあるのが日本式のハマム浴だ。「葉MAM」と呼ばれるように、竹で出来た葉の形をしたベッドが使用される。

https://img.rurubu.jp/img_srw/andmore/images/0000324680/mGK98RoJWCgyAqcXGAyMSq8XJSgdNRcs1SRV9f5P.jpeg

木の葉型ベッドの下にハーブを焚くハーブスチームバス(蒸し風呂)であり、ベッドの下でハーブと共に温められた蒸気で身体が蒸される。
サウナの身体を温める・リラックスをするという効果に特に焦点を当てたもので”リラクゼーション”として人気が高い。 中東式のハマム浴のように大衆的ではなく個別的であるためその特徴をより感じさせてくれる。

ベッドが葉の形となっていることで、仰向けの姿勢で寝た際に全身にハーブスチームがゆっくりと行き渡る設計になっている。この時、身体全体は毛布で覆われているが顔面は覆われていないのでサウナ特有の熱すぎる、息苦しいといった状態にはならない。仮に熱すぎたとしても、個別であるため温度を調節してくれる点も非常に有難い。

座って身体を温めるリラクゼーションであるよもぎ蒸しに対して、仰向けに寝ながら楽な姿勢で身体を温められることも嬉しい点だ。

サウナでは無念にも白旗を揚げることとなった私。今回の執筆にあたって、実際にハマム浴を体験してみたが、身体だけが温まりリラクゼーション効果を得られるというサウナのいいとこどりをしたようなハマム浴はなんとも心地よい体験であった。

体験して実感した日本式ハマムのメリット

ライター作成

大きく3つある。
①寝たままの姿勢で楽であること
②人目を気にしないこと
③身体だけ温かいこと
まず、よもぎ蒸しのように座り続ける必要はなく大きな葉が私を包み込んでくれる。非常に楽な状態でいられ、リラックス出来たので非常に良かった。次に中東式のハマム浴のサウナのように大衆的でなく個別的であるため、人目を気にする必要がない。また、着衣で施術を受けられるのも気持ち的に楽だった。そして3つ目はやはり、顔だけ出ているという魅力。身体はポカポカ暖かく、顔周りは息苦しさや熱すぎるといった苦行とは無縁である。サウナの息苦しさが苦手な方にぜひ味わっていただきたい感覚だ。

そしてサウナ好きの方でも今以上にリラックス効果を実感できるだろうハーブの心地いい香り。ずっと体験していたいと思わせてくれるほどであるから驚きだ。少し暖かくなってきたこの季節。そんな季節にこそ身体を温めて、心も癒される新たなリラクゼーション「ハマム浴」を体験してみてはいかがだろうか?

(参考文献)
よもぎ蒸しとハマム浴の違いとは?アラサー女性ならば通っておきたい温活サロン
【3月7日「サウナの日」サウナルーティンに関する最新意識調査】
【理由と対策】サウナで息苦しいのはなぜ?「長く入れない」を解決!
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