Atalaya Houseは、Refugio Outdoorが手がけた、見張り台をコンセプトにした小屋だ。名前の「アタラヤ」は、スペイン語で見張り台を意味する。
見張り台といえば、高くそびえて周囲を監視する塔を思い浮かべるかもしれない。けれどつくり手は、見張り台は必ずしも高い必要はなく、土地のすべてを見下ろす必要もないと考えた。そこから得られる視点は、監視よりもずっと豊かなものになりうる。この家は、その問いへのひとつの答えだ。
見張り台という言葉を読みかえる
建築家たちの説明によれば、見張り台とは、何かを観察したり読み解いたりするための、特別な位置にある建物のことだという。
建築でその特別な位置を得ようとすると、地面より高いところに開口が必要になる。だからこそ見張り台は、昔から監視と結びつけて語られてきた。
Refugio Outdoorは、その結びつきをいったんほどく。高く上がることも、周囲を支配することも目的にしない。大切なのは、どこから、どんなふうに世界を眺めるかという一点だ。
見ることを、見張ることから切り離す。言葉の意味を少しずらすだけで、建物のあり方はずいぶん変わって見えてくる。
高さに頼らない小屋の視点
Atalaya Houseでは、地面より高い位置に開口を設けて眺めを確保している。視線を少し持ち上げるだけで、足もとの景色とは違う広がりが目に入ってくるのだろう。
一方で、この小屋は高さや存在感で場所を圧倒しようとはしない。塔のように突き出るのではなく、眺めるための位置だけを静かに手に入れる。その控えめさが、この家の性格をつくっている。
外から見られるための建物ではなく、内から見るための建物。そう考えると、開口のひとつひとつが、景色を切り取る額縁のように思えてくる。
Ennio Nasiによる写真からも、そうした眺めへの意識が伝わってくる。
眺めることが暮らしの中心にある
見張り台の役目は、遠くを見ることだった。この家では、その行為が日々の暮らしのなかに取りこまれている。
朝の光の移ろいや、天気の変わり目、遠くの稜線。高い開口から外を眺める時間は、何かを警戒するためではなく、自分のいる場所を確かめるためのものになる。
小さな小屋であっても、どこに窓を開けるかで、住まいと風景との関係は大きく変わる。Atalaya Houseは、そのことをまっすぐに教えてくれる。
大きく建てなくても、高く積み上げなくても、遠くを見渡すことはできる。必要なのは、どこから眺めるかを丁寧に選ぶことなのだろう。
日本の家にも、縁側や高窓のように、限られた空間から季節の景色を切り取る工夫が受け継がれてきた。Atalaya Houseの静かな見張り台は、そんな眺めの文化とどこか響き合っている。
Atalaya Houseのデータ
- 物件名:Atalaya House
- 設計:Refugio Outdoor
- 写真:Ennio Nasi
Atalaya Houseのよくある質問
Q. Atalaya Houseを設計したのは誰?
A. Refugio Outdoorが手がけた。写真はEnnio Nasiが撮影している。
Q. Atalaya Houseのコンセプトは?
A. 見張り台(アタラヤ)がコンセプトだ。地面より高い位置に開口を設けて眺望を確保しつつ、高さや周囲を支配するような外観には頼らない設計思想に基づいている。
via: https://www.archdaily.com/1182202/atalaya-house-refugio-outdoor
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