世界最小のエコロジカルなモバイル映画館「Sol Cinema」

イギリスのサウスウェールズ発の「Sol Cinema」は、太陽光を使って電力の自給自足を可能にした移動式映画館だ。
定員数は大人が8名という超ミニミニサイズだが、その手軽さから、地域の集まり、お祭り、イベントやパーティーなどに引っ張りだこだ。大人なら8名、子供なら12名が収まるくらいの小さな映画館は、1分から10分程度のコメディや異色映画、ミュージックビデオや感動的な環境テーマのショートフィルムを上映している。

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「僕たちはより多くの人たちが楽しめるような、ユニークな映画を上映しているんだ」と自身も映画監督であり、このプロジェクトの運営者でもあるポール・オコーナーは言う。「このSol Cinemaを現在多く作られているショートフィルム専門の映画館として作ったんだ。観客の人たちにはYoutubeを観るよりも、ずっと良い体験ができるはずさ。」

きっかけは、2009年にオコーナーと彼の友人でミュージシャンのファーロンら、現在のSol Cinemaの運営者たちが発見した、うち捨てられた1965年製のトレーラーハウスだった。ふたりはアーティストである友人、アミー・マードセンとベス・マードセンに声をかけ、トレーラーの大改造の手伝いをお願いした。

彼らは様々な廃材を集め、トレーラーを映画館として生まれ変わらせた。デザインは昔の映画館をイメージさせるようなクラシカルな雰囲気にした。クラシカルな映画館と言えば、天井のフレスコ画だ。その伝統にならい、彼らもこの小さな映画館の天井にフレスコ画を描いた。

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プロジェクターには、LEDのビデオプロジェクターが採用されたが、ファーロングはあくまでクラシックな見た目にこだわり、あえてプロジェクターを1920年代の映画館ライト風のハウジングで覆った。100%太陽光電気を活用しようと思っていたため、プロジェクターと映画館で使われる機器類を取り付けるのは、工事において非常に複雑な部分であった。

同僚であるデイヴィッド•ロイド=ジョーンズは、120ワットの陽光発電配列パネルを作り、太陽から十分なエネルギーを引き出しながら充電を可能にした。これにより、Sol Cinemaのスタッフが彼らのプロジェクターを昼夜問わず、どのような天候でも使えるようになった。

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オコーナーとファーロングは観客たちがSol Cinemaに映画を観に来ること自体を特別な体験にさせたかったので、あえて1940年代風の雰囲気を作りだしたのだった。観客たちはSol Cinemaの入り口に敷かれた5メートルのレッドカーペットを、1940時代のコスチュームに身を包んだスタッフに導かれ、映画館へと入場する。まさに映画に行くこと自体が、観客たちにとって特別なイベントだ。

Sol Cinemaは2010年に活動を始めると同時にたちまちメディアの注目を集めた。今や映画に行くこと自体が高額になり、敷居が高くなっている。その点、Sol Cinemaに行くのは事実上無料である。

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観客たちはとても気軽に、魅力的な改装トレーラーで、つかの間の非現実的な時間を堪能できる。日本にもこんな映画館が欲しいものである。

Via:
thesolcinema.org
movingimagearchivenews.org
thedesignhome.com
messynessychic.com