【新連載】離れていても自動で温度や電力管理、小さな暮らしの縁の下の力持ち「Nest」|IoTがつくる未来の家
突然ですが、サーモスタットって知ってますか?あまり日本の家庭にはなじみのないものかもしれませんが、米国では実に85%もの家庭に設置されているもので、”家全体の温度調節をするためのもの”だと考えていただければ良いと思います。最近、日本で売られているエアコンはとても優秀で、温度や湿度等を細かく設定できるので、その温度設定と似たようなものだと考えるとわかりやすいでしょう。
筆者はNYで生活をしていたことがあるのですが、その家の壁にも付いていました。メモリを動かして温度を設定すると、人がいようといまいとエアコンやヒーターに命令を出してその温度にキープしてくれます。現地では、あまり暖房を切ったりつけたりせず、冬の間はとくにずっとつけっぱなしなことが多いので、サーモスタットはなくてはならないものでした。
今回ご紹介する「Nest」は、今話題の”IoT(物のインターネット)”の技術を利用したサーモスタットを作っている会社です。2014年の1月に、約3300億円でGoogleが買収したことで大きくニュースでとりあげられました。最近日本でも、スマートハウスという言葉を耳にしますが、まさにスマートハウスのための技術を開発している企業です。
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このNestのサーモスタットのすごいところは、徹底的に家全体の温度管理を自動化しているところ。インストールは簡単で、壁に設置してから30分程で設定が終わります。それから約1週間、自分の生活に合わせて温度の設定をしたり、出かける時に外出モードにしたりすると、そのリズムを機器が覚えます。その後はいちいち設定しなくても、自動的に温度を変えてくれるようになります。家が人間のリズムを記憶し、常にその時必要な環境を作り出してくれるなんて、まるで未来の家のようです。
そしてこのNest、ただのサーモスタットではないのです。カメラや火災報知器なども接続することができ、外出モードなのに人の動きを感知したり、何か不審なことがあった場合はスマートフォンに通知してくれます。ストリーミングで映像を見ることもできるので、留守にしている時も安心。ペットカメラとしても使うことができます。
このNestが作り出す環境は、暮らす人にとって便利なのはもちろんなのですが、モノが自動的に状況を判断し、消費電力などを制御することで無駄なエネルギーを抑え、結果的にはエコで快適な暮らしに結びついています。
このような製品をとりいれることで、過剰なエネルギーが必要なくなるのです。供給、消費されるエネルギーそれぞれを管理できるようになると、もしかしたら、オフグリッドな街づくりが今よりもずっと現実的なものになるかもしれません。モノとモノがつながり、快適な暮らしをつくるという未来のような話。そんな暮らしを現実にするIoTの技術は、これからの豊かなくらしを作り出すために欠かせないものになるのでしょう。
Via:
nest.com