湖畔に輝くフィンランドのサマーハウス「モッキ」の光と影。夢と現実の狭間で

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日本において一般的にいわれる年間休日は120日程度。一年の中の約1/3を占め、更に人生のスパンで考えても、やはり休日はおおよそ1/3になると考えられる。

“人生の1/3の時間 = 休日”

これは、なかなかの存在感。ここでは、人生において大きな存在である“休日”にまつわる情報を世界中からかき集め、我々日本人が、休日という“自分らしく過ごせる時間”をどう捉え、過ごしているのかを少し向き合ってみたいと考えています。時は21世紀、個が尊重され、情報は世界中から飛び込んでくる時代。日本というスケールに収まる必要はなく、これまでの日本の休日という概念に捉われる必要もない。“家族との休日”、“恋人との休日”、“仲間との休日”、想像している以上に私たちは自由な時代にいる事に気付き、自分らしい休日のライフスタイルに拘ってみてはいかがでしょうか。

Holiday is your life.

ここで発信する情報は、読んで楽しかったというinputに留まらず、自分らしく過ごせる休日のヒントを見つけ出し、何か行動をおこすoutputのきっかけになることを願っています。

Sauna by Äkäs-lake

湖の畔に小屋を建て、昼間は泳いで夜は星を見ながらお酒を傾けて暮らしたい。そんな誰もが憧れてしまうような時間が夢ではなく現実に持てる国があったらどんなに羨ましいことでしょう。「1000の湖のある国」というニックネームを持ち、湖畔に建つモッキと呼ばれるコテージで多くの人が夏を過ごすフィンランドには、そんな夢のような時間があるのです。

モッキはノルディック禅?

ヨガ・インストラクターを営むラナ・ラボネンさんにとって、モッキでの暮らしは「単なる休日」以上の意味を持ち、「ノルディック禅」とでもいうような精神的にも大切な時間なのだそうです。「私たちはモッキに行って、リラックスして、サウナに入って、泳いで、親戚や友人と有意義な時間を過ごすの。仕事と人生のバランスを保つためにね」。ラボネンさんは18歳のときにロシアからフィンランドへ移り住み20年以上、モッキのある暮らしを続けています。

北極圏以北では、夏は太陽が全く沈まない白夜となり、冬は全く陽が昇らなくなるというフィンランドでは、短い夏を全力で楽しみます。国土の約7割を占める緑の森の中に約18万8千の湖が点在し、湖畔には約50万戸のモッキが建てられています。この場合のモッキとは伝統的な広さが40平米以下の小さなコッテージを指すのだそうです。それらのモッキには特別なものはありません。

via: static.iltalehti.fi

水道もトイレもないモッキに必要なもの

ヘルシンキに住む女性はモッキでの暮らしをこう表現しました。「電気や水道なしにお皿を洗うことね」。すると隣にいた男性がこうつけ加えたそうです。「それと、外で溝を掘ることもね(外でトイレをすること意味するそう)」。水道がなくてもビールを飲めばいいのだとか。

しかし、電気や水道、トイレがなくとも、モッキには必ず必要なものが2つあります。それはサウナと湖に繋がれた手漕ぎのボートです。ラボネンさんも朝夕2回はサウナに入るそうです。サウナで身体を暖めては冷たい湖で泳いで…を繰り返します。昼間はボートに乗ったり、釣りをしたり水辺で時間を過ごします。

via: traveldream.eu

Finnish sauna II

フィンランドの古い諺に、「サウナは貧しいものの薬局」というものがあります。薬を買うお金がなくても、サウナには老若男女の自然治癒力を高める効果があるのだそうです。それにしても、薬よりもサウナのほうが身近な存在だっていうことがまずビックリですね。

理想と現実。モッキの光と影

フィンランド人のアニーさんは今すぐにモッキを購入する予定はないけれど、(フィンランド人として当然)いずれは購入するであろう理想のモッキを空想して楽しんでいます。「コッテージはスカンジナビアンブルーにして、窓枠は白く塗るの。家具は爽やかな白に統一して。湖で泳いだ後はお気に入りのタオルにくるまれて、サウナに入って…。トイレは室内にあったほうがいいわ。夏中、新ジャガやニシンを食べるのよ」。やっぱりトイレは中にあったほうがいいですよね。

via: fabulousfinnish.com

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実はここに興味深いデータがあります。モッキ所有者の内、40歳以下の所有者は全体のたったの6%しかいないのだそうです。80%以上が50歳以上で、所有者の多くが1946年から64年に生まれたベビーブーム世代なのです。法律の専門家は、多くのモッキが朽ち果てて価値がなくなる前に、売りに出されるだろうと予測しています。

一方で、若い世代にはそれほどモッキの所有欲がないのだそうです。ヘルシンキ大学のウルホ・カンガス教授はこう分析しています。「伝統的なモッキの多くが4つの壁と屋根しか持たないささやかな小屋で大した設備もありません。現代の多くの人は水道もないような小屋でひと夏を過ごしたいとは思わないのでしょう。モッキへ行くための交通費だって若い世代には大変な負担なのです」

via: static.panoramio.com

眩い光に照らされた夢のようなモッキでの暮らしにも、影にはこうした問題があるようです。私たち日本人も多くが伝統的な囲炉裏の家などに憧れを持っているのではないでしょうか?しかしながら多くの人々が憧れていても普段の生活から消えゆく文化だってあるのです。

アニーさんの空想のように、まずはモッキの中にトイレをつけるだけでもより魅力的になるのかもしれませんね。僕個人としては、トイレのない少々不便なモッキでも十分楽しめそうですが、時代と共に変化し、現代のライフスタイルというか自分自身のライフスタイルにモッキを変えていくことも大切なのですね。キラキラと光り輝く湖畔にいつまでもみんなが憧れるモッキでの暮らしがあればいいな、と思います。

Via:
visitfinland.com
finland.fi
theatlantic.com
fabulousfinnish.com
yle.fi

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