双子みたいに可愛い。森と清流に囲まれた中国の「Tree House」
中国の北京郊外には、密雲区という風光明媚な場所がある。北京市民に飲料水を供給する豊かな水源をたたえるこの地域に、まるで物語から飛び出してきたような可愛らしい木製の小屋が建てられた。
ポプラとサンザシの木が生い茂る森にちょこんと佇むこの小屋は、狭小建築を得意とする地元の建築事務所「Wee Studio」によってデザインされた。
隣り合わせに建つこの「Tree House」と名付けられた2つの小屋は、それぞれ「茶室(兼寝室)」と「バスルーム」というエリア分けをされている。茶室内の、畳とポプラ材の飾り気のない壁を見ると日本の茶室にも通じる“侘びさび”を感じることができる。2つの建物を合わせても床面積は8㎡しかないという控えめさにも驚く。
けれど、大きく開かれた窓や高い天井のお陰で、清々しさこそ感じても圧迫感は無い。窓から見える豊かな自然は、まるで屏風絵のようだ。
茶室よりも小さいバスルームには、暖かい色調の木材が使われている。外見は双子のようにそっくりな2つの建物だが、室内は全く違う雰囲気を楽しめるのだ。
どこからどう見ても自然な、昔ながらの木製の「Tree House」。だが、実は工法は意外と現代的で、工場でウッドパネルを事前に組み合わせるプレハブ工法が採用されているという。そうすることで、前もって壁の内側に暖房システムを装備することができ、森の中の寒い冬を越すのも苦にはならない。
現代的なのは工法だけではなく、この家の建築費もインターネット上のクラウドファンディングで寄付を募って工面したという。発注主からの依頼を受けて建設された訳ではなく、建築家のクリエイティビティとそれを知った人々の「実物を見てみたい」という気持ちがこの家を創り出したのだ。
無国籍な雰囲気のこの「Tree House」に森で出会ったら、自分がどこの国にいるか分からなくなりそうだ。そんな不意の出会いを求めに、森へ出るのも悪くないかもしれない。 Via: dezeen.com