イタリアの森の中に浮かび上がるツリーハウス「Pigna」
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ここはイタリアの北東、Malborghetto Valbruna (マルボールゲット・バルブーナ)地方。アルプス山脈の中のJulian Alps (ジュリアン・アルプス)という部分から、1,250メートル上がった地点の間にあるUgovizza (ウゴビッツァ)というオーストリアの国境沿いにある長閑で小さな村。
この村に、Architetto Beltrame Claudio(アーキテット・ベルトレイム・クラウディオ)という建築会社の、DomusGaia (ドムス・ガイア)によって建設された持続可能なエコB&Bがある。
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この建物は「Pigna」と呼ばれていて、英訳すれば「pine cone」、つまり松ぼっくりということになる。確かにその見た目は、木にぶら下がっている松ぼっくりにそっくりだ。
「エコ」ツリーハウスというだけあって全て再生可能な素材で作られており、ほぼ全てが現地の素材で作られており、ツリーハウス自体は2つある。
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1つのツリーハウスの面積は70平方センチメートル。1階部分は地上から2.5メートルほどの高さにある。建物のてっぺんから測れば、地面から10メートルになる。
バイオリンなどの楽器の素材としても使われるトウヒの木の陰から、こっそりとその姿をのぞかしている。
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近くからその姿を見れば、カラマツの木の断片を使って外壁が貼られて、まるでミノムシのようでもあり、周りの木々にすっかり溶け込んでいる。
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このような細かい断片を使うことによって、「球体」の表面をを容易に満遍なく貼っていくことができる。それだけではなく、その下にはxlam (エックスラム)という木材を断熱材代わりに使っている。
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見た目からもわかるように、大きい部類に入るであろうこのツリーハウスは、3階建てとなっており、従来のツリーハウスよりも広々と暮らすことができる。中に入ってみると、ツリーハウスとは思えぬほどしっかりとした作りで、木材を基調とした内装が森の中の風景とマッチしている。
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階段はスペースの問題も考えて螺旋階段になっている。2階部分はキッチンを含む小さなリビングルームとなっていて、スライド式の大きな窓ガラスからはベランダに出ることができる。
1階と2階それぞれにあるベランダは、外から見ると球体から切り取られているようにみえる。
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ベランダからは、非常に美しいイタリアの森林の風景と雄大なアルプスの姿が見渡せる。
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3階部分は寝室となっていて、ちょうどダブルベッドがすっぽりと入るほどのスペースとなっている。ここにはベランダはないが、天井部分に小さな天窓がついているため、日中は太陽光も差し込み、夜には星を眺めながらゆっくりと眠りにつくことができる。
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アルプスの麓ということもあり、冬は豪雪地帯となる。
通常ツリーハウスは建物の基礎になる「土台」というものがないため、普通の家より構造的に弱くなるという弱点があり、その屋根に大量の雪が積もってしまえばその重さに耐えられなくなる。
しかし、このツリーハウスは「球体」という形のおかげで、たとえ雪が降ったとしても建物の上に高く積もることなく、自然に雪が滑り落ちる仕組みになっている。外観のデザイン性ばかりでなく、厳しい自然環境を享受するアイデアである。白い帽子をかぶったような姿と、この雪化粧された風景が非常に美しい。
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自然の中に、何かを建築するとき、必ずその影響をうけてしまう。しかしこのツリーハウスは、球体のデザインにより、周りの風景に溶け込み、過酷な自然環境をも享受するソリューションを見つけることができたといえるだろう。
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