【インタビュー】場に火を灯し、集まる人の心に火を灯す。川崎のゲストハウス”ROCKHILLS GARDEN”とは?

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太古の昔から、人は火のあるところに集まり、暮らしを営みました。
時には体を温めるものとして、時には食事をつくる熱源として、火は人々の中心にあり続けています。

「場に火を灯し、場に集まる人の心にも火を灯す」。そんなビジョンを掲げる企業が、今年の夏にゲストハウスを開きます。
施設の名前は”ROCKHILLS GARDEN(ロックヒルズガーデン)”。YADOKARIがデザインする客室や、ウッドテラス・BBQスペース・ジャグジーを設けた屋上アウトドアスペースを持つ、少し贅沢な空間です。
今回は、この施設を手がける(株)ファイアープレイス代表 渡邉知(わたなべ さとる)さんにお話を伺いました。

ファイアープレイスと”ROCKHILLS GARDEN”とは?

Via:facebook.com/pages/Fireplace
写真提供:ファイアープレイス

大切な人と、火を囲んで語り合う時間の大切さ。そんな場づくりと、場づくりを介したライフスタイルの発信に挑戦し続ける会社で在りたい、という想いを社名にこめた、ファイアープレイス。
8月にオープン予定の”ROCKHILLS GARDEN”を皮切りに、林間学校跡地を利用したキャンプ場の企画や運営など、ハードとソフトの両面から、人が集まる場の創出に挑戦しています。
代表を務める渡邉さんは、電通のグループ企業やリクルートという大手企業のマネージャー職を経験し、言うなれば、エリートサラリーマンとしてのキャリアを歩んできました。

そんな渡邉さんが始めたファイアープレイスの仕事は、「活用されていない、活用しきれていないさまざまな場所を、人が集まる場にデザインしていく」という、地道で泥臭いものです。
経験したことがある人には思い当たることだと思いますが、人が集まり、交流し、つながる場所を作ることは、容易いことではありません。
今までのキャリアを手放し、新しく始めた事業の裏にはどのような思いがあるのでしょうか?

「縦」から「横」のキャリアへ

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渡邉知さん(以下、渡邉) 「私はこれまで、縦に伸びていく世界しか見えていなかった気がするんです。例えるなら、役職や年収。だんだんと階段を登っていくように縦に縦に伸びていく。アスリートと同じで、10秒で走れるようになると、次は9秒で走れるようになりたい、常にそう思っていました。」

── 「息切れしたりしなかったのですか?」

渡邉 「あまりなかったですね。私が属していた企業は常に新しいことに挑戦させてくれましたし、仕事にもやりがいを感じていました。
早朝から深夜まで寝食を忘れて没頭していると、たまに息切れすることもあるんですが、周りが走ってるのが見えるから、また走り出してしまうんです。
苦しいと感じるよりもむしろ、常に業務に追われていたので、目の前の仕事以外見えないと言うか、それ以外の世界に関して、思考停止してるんじゃないかって恐怖感はありました。」

── 「どっぷり縦型の世界でお仕事をされていたのですね。その生き方が、変わりはじめたのはいつでしょうか?」

渡邉 「2011年の東日本大震災がひとつのきっかけになりました。
私の生まれ故郷は仙台で、父の単身赴任先は福島。親族の多くも東北で暮らしています。家族・親族の大半が被災して、正直、仕事どころじゃなかった。大きなショックを受ける一方で、『なぜ自分はこれからも生きるのか、生きようとしているのか』と考えはじめた気がします。
そのタイミングで、仕事のやり方、キャリアの歩み方を考え直し、社内異動を希望して、観光・地域振興を担当する部署に配属されました。
国や自治体から対価をいただき、地域を訪れる人を増やす仕事に関わる中で、商店街のおっちゃんや、漁師や農家など一次生産者の方、旅館組合や自治体の方々など、今まで生きてきた世界とは異なる価値観・人生に日々触れることになりました。」

── 「その中でだんだんと価値観が変わっていったのでしょうか?」

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渡邉 「変わったというか、横に拡がっていく感覚でした。地域には、仕事も、価値観も全く異なる人がたくさんいて、そういった人達との交流は、本当に刺激的でした。自分の生きている世界から離れると、こんなにも多くの価値観に触れることができる。
YADOKARIのことを知ったのもこの時期なんです。YADOKARIが発信しているものって、今までの価値観とは違う新しいものじゃないですか。その価値観がたくさんの人にフォローされている。ライフスタイルは確実に多様化するし、生き方の選択肢も増えていく。そのベースにあるのが人と人の繋がりだと感じたとき、人と人を繋げるための『場』があったらいいな、と考え始めたんです。」

先輩からの誘いは「ビル買ったんだけど」

── 「だんだんと流れが見えてきました。それで起業をしようと思ったのですね?」

渡邉 「いえいえ(笑)。起業するなんて考えたことも無かったです。仕事は十分楽しかったし……。でも、後押しとなるきっかけはいくつかありました。その一つが、とある電話です。高校の部活の先輩から、『YADOKARIのコンテナハウスに興味があるんだけど、紹介してくれない?』と連絡をいただいたんです。」

── 「コンテナハウスですか?」

渡邉 「彼は飲食と不動産を手掛ける事業家なんですけど、『購入したビルの屋上にコンテナハウスを置いて、嫁とケンカした時に逃げ込める場所にしたい』と。それはまあ冗談だと思いますが、屋上という場所に場を作るって発想がとても面白いと思って、YADOKARIのさわださんと一緒に現地訪問したんです。
何もない殺風景な屋上でしたが、視界が開けたとっても気持ちの良い場所でした。結果的に、諸問題あってコンテナを置くことはできないことがわかったんですが、どうしてもそこに場が欲しくなったので、『一人のためじゃなく、みんなで使える秘密基地を作ったらどうか?』と言ってみたんです。そうしたら、『じゃあ、収支イメージ含めて提案してみろ』と。」

── 「それが”ROCKHILLS GARDEN”ですか!」

渡邉 「そうです、2015年の3月の話です。」

訪れる人と価値観が交わる場所に

── 「”ROCKHILLS GARDEN”は、施設としてどのような特徴があるのでしょうか?」

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“ROCKHILLS GARDEN” 7階リビングの完成予想図、シンプルな内装が印象的だ 写真提供:ファイアープレイス

渡邉 「JR川崎駅から徒歩5分、築30年ほどの商業ビルの7階と屋上を活用しています。7階は、最大15名が泊まれる低価格帯のゲストハウス。屋上は、ウッドデッキ、ジャグジー、テントなどを活用したアウトドアスペースにする予定です。
場づくりのコンセプトは『交流』です。国籍も年齢も住む場所も違う、様々な人々が集まって交わる場所を目指して、8月上旬からのオープンを予定しています。」

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屋上ウッドデッキの設計図には人工芝のキャンプサイトやジャグジーが書き込まれている 写真提供:ファイアープレイス
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こちらは7階の様子、リビングやキッチンなど、生活に必要な設備はこの階で 写真提供:ファイアープレイス

── 「『交流』ですか。どのような人が集まるかによって、場所の雰囲気も変わると思います。イメージしているものはありますか?」

渡邉 「特にこれというものではなく、様々な形の交流が生まれればいいな、と思っています。
たとえば、7階に外国人の方が泊まりにきてくれるとしますよね。その方がふらりと屋上に行ったら、会社帰りのサラリーマンが疑似キャンプをしている。そのうち会話を始め、一緒にお酒を酌み交わし、いつの間にか友達になってInstagramに写真をUPしたり。
地域の自治体に開放して、地元の食材を使ったBBQイベントをするのもいいですね。都会のビルの屋上で都市と地域の交流が生まれたら素敵だなぁと。普段は交わることのない人と人が、この場所をきっかけに交わってくれたら嬉しいですね。」

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写真提供:ファイアープレイス

── 「7階のゲストハウスはYADOKARIプロデュースだとお聞きしたのですが。」

渡邉 「かなり深く関わっていただきました。シンプル過ぎるとつまらない。けれども、お金をかけ始めると、お客さまはきっと、一流の旅館やホテルと比べてしまう。シンプルでミニマルで、けれども居心地の良い空間。YADOKARIならば、その要求に応えてくれると思いました。」

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YADOKARIプロデュースのゲストハウスの設計図
内部
シンプルながら居心地の良い空間を目指した内部空間

誰もが持つ”理想的な日常”に気付く場をつくる

様々なバックボーンを持つ人が集まり、繋がる場所を目指す”ROCKHILLS GARDEN”を皮切りに、今後、ファイアープレイスはどのような火を起こし、どのような場所を生み出していくのでしょう?気になる今後について聞いてみました。

渡邉 「先ほどお話しさせていただいた通り、私自身の原体験として、自分とは異なる生き方、多様な価値観を持つ方々に触れて、始めて気付くことが多々ありました。SNSが世界中に張り巡らされ、世界中の人と繋がることができる時代だからこそ、人と人がリアルに繋がる場の価値はより大きくなっている。そして人は、多様な人や価値観とリアルに繋がることで、始めて気付けることが多々あると信じているんです。自分にとって”理想的な日常”とは何か?を気付くことができる場。そんな場づくりに挑戦し続けていきたいと思っています。」

ROCKHILLS GARDENの紹介

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写真提供:ファイアープレイス

7階は最大15名が宿泊可能なゲストハウス。屋上には芝生とウッドデッキ、大型の炭火BBQグリル、お洒落なテント、更には贅沢なジャグジーと焚き火台が設置されているので、開放的な空間を貸し切って、ちょっと贅沢なアーバンキャンピング&BBQが楽しめそうです。
冬季には薪ストーブを借りることができるので、1年中アウトドアレジャーを楽しむことができます。
屋上利用料金:16,000円/組〜(プライベート空間の貸切料金。詳細はHP参照のこと)
ドミトリー利用料金:3,000円/人〜 (大人1名の宿泊料金、飲食費含まず)
URL:http://rockhills-garden.com/(2015年8月中旬OPEN)
予約受付: https://reserva.be/kawasakirhg (2015年8月中旬予約受付開始)

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写真提供:ファイアープレイス

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