Jan Michalski Foundation Writer Residencesは、スイス・モントリシェのヤン・ミハルスキ財団に、隈研吾やELEMENTALをはじめとする建築家たちがそれぞれ手がけた作家のための小屋だ。ジュラ山脈の麓、ローザンヌから30分ほどの土地に、それらが小さな集落のように並んでいる。
ここに来るのは、数週間から数か月のレジデンスに参加する作家や翻訳家たち。財団は毎年多くの書き手を迎え、独立したキャビンと図書館、そしてスイスの風景を差し出す。仕事場であると同時に、しばらくのあいだ家と呼べる場所。どのキャビンも、書くことに日々を捧げる人がどう暮らすべきか、という問いへの答えになっている。
大屋根の下に吊られた小屋たち
財団の建築群を設計したのは、Vincent MangeatとPierre Wahlen。その広大な透かし編みのキャノピーの下に、キャビンは吊るされるように浮かんでいる。
同じ高さ、同じ大屋根の下にありながら、形も素材も間取りも驚くほど違う。多くはレマン湖とアルプスを望み、ジュラの森の斜面に向くものもある。
財団はこの場所を、小さな実験的な町だと言う。滞在者はそれぞれ自分の空間に籠もりながら、より大きな文化の共同体の仲間でもある。その距離感が、この集落の骨格だ。
書くことと暮らすことの距離のとり方
atelier bonnet architectesの白いキャビンは、鋼とガラスの網に包まれた上下に分かれる箱だ。下階にキッチンとダイニング、浴室。上階の寝室と書斎からはモンブランとレマン湖が見え、ベッドの上の開口からは頭上のキャノピーがのぞく。
Jean-Gilles Décosterdのキャビンも上下で機能を分け、格子のパネルを抜ける階段が、見えるけれど見られにくい内部をつくる。外壁の白い亜鉛めっき鋼板には、ソローの『ウォールデン』からの言葉がモールス信号で刻まれている。文学が、そのまま建築の表面に置かれているのだ。
Andreas FuhrimannとGabrielle Hächlerは木から考えた。外はAccoya、内はパイン。プレファブの木製パネルと折れ戸の鎧戸が、控えめで精緻な表情をつくる。
Mangeat-Wahlenは、屋外の通路で建物を分けた。片側は食べることと洗うこと、もう片側は書くこと。その間の通路は、異なる要求のあいだのひと休みとして構想されている。彼らはこれを、ル・コルビュジエの休暇小屋になぞらえる。
Studio MK27は箱の中に箱を入れた。中央のキューブにキッチンと浴室と収納を収め、周囲に暮らしの場を広げる。Rintala Eggertsson Architectsは、中央階段のまわりに半層を重ね、入口から休む場所、最上部の書斎へと上っていく。敷地でいちばん大きなそれは、集落の小さな見張り塔のようだ。
ひとりで籠もり、誰かと食卓を囲む
Schaub Zwicky Architektenのキャビンは、移動に制約のある滞在者のためのもの。スラットの金属スロープで入る平屋で、室内に段差はない。大きな窓が、アルプスと村の風景を切り取る。
ELEMENTALは、滞在者と財団のスタッフが集い、料理し、食事をともにする共同のキャビンを+2 Architectesとつくった。大きなアイランドのあるキッチン、ダイニング、居間が引き戸で仕切れる。籠もって書く人も、ここではひとりきりではない。
2018〜2019年に完成した隈研吾のキャビンは、もとは管理人の家として構想され、いまは複数人での滞在に使われている。三角形のポリゴンから生まれた不規則な形を、木のシングルを散らした塗装鋼板が覆う。ともに住まうことを考えた、ここならではのキャビンだ。
どのキャビンにも共通するのは、木と鋼とガラス、そしてバルコニーや大きな窓から入り込む風景だ。空間やプライバシー、日々の暮らしについての異なる考えが、同じ大屋根の下に並んでいる。
限られた広さの中で、何を分け、何をつなげるか。小さな空間を丁寧に使う知恵を重ねてきた私たちにとっても、この小さな町は、自分の暮らしの寸法を見直すきっかけになるだろう。
Jan Michalski Foundation Writer Residencesのデータ
- 物件名:Jan Michalski Foundation Writer Residences
- 設計:atelier bonnet architectes、Jean-Gilles Décosterd、Andreas Fuhrimann Gabrielle Hächler Architekten、ELEMENTAL(+2 Architectesと協働)、Mangeat-Wahlen、Studio MK27、Rintala Eggertsson Architects、Schaub Zwicky Architekten、Kengo Kuma & Associates
- 国:スイス
- 地域:モントリシェ(ジュラ山脈の麓、ローザンヌから約30分)
- 完成:隈研吾のキャビンは2018〜2019年完成
- 写真:Leo Fabrizio
Jan Michalski Foundation Writer Residencesのよくある質問
Q. Jan Michalski Foundation Writer Residencesはどこにある?
A. スイスのモントリシェにある。ジュラ山脈の麓で、ローザンヌから約30分の場所だ。
Q. 誰が設計した小屋?
A. atelier bonnet architectes、Jean-Gilles Décosterd、Andreas Fuhrimann Gabrielle Hächler Architekten、ELEMENTAL、Mangeat-Wahlen、Studio MK27、Rintala Eggertsson Architects、Schaub Zwicky Architekten、Kengo Kuma & Associatesが、それぞれのキャビンを手がけている。
Q. 隈研吾のキャビンはいつ完成した?
A. 2018〜2019年に完成した。もとは管理人のための家として構想され、いまは複数人での滞在に使われている。
via: https://www.designboom.com/architecture/kengo-kuma-elemental-cabins-writers-jan-michalski-foundation-switzerland
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