MO.CA(Mobile Catalyst)は、スペイン・バルセロナのInstitute for Advanced Architecture of Catalonia(IAAC)が手がけた、木造のトレーラーハウスだ。修士課程「Advanced Ecological Buildings & Biocities(MAEBB)」2022/23年度の学生と研究者が、コルセロラ自然公園にあるヴァルダウララボで育った木を使い、ふたりのための動く家をつくり上げた。
テーマは、移動することと持続可能であることの重なり合いだ。昔から受け継がれてきた自給自足の知恵と、気候変動の時代にしなやかに暮らすための住まいのあり方。リモートワークが広がり、場所に縛られない生き方が求められるなかで、この小さな家は現代のノマドのための試作品として生まれた。
0kmの木でつくるトレーラーハウス
MO.CAの素材は、IAACのヴァルダウララボで持続的に伐採された、いわゆる「0km」の木材だけだ。遠くから運ばれてきたものではなく、すぐそばの森で育った木を、ダボで留めて積層するダウエルラミネート材として仕立てている。
木と木を木で結ぶ素朴な構法を、デジタルの施工技術が支えているのが面白い。森の恵みと先端の技術が、ひとつの小屋のなかで手を取り合っている。
トレーラーの制約や地域の規制も、設計を形づくる大切な条件になった。5.4m×2.4mのプラットフォームに、高さ3.6mのキャビン。トレーラーを含めた総重量は3,500kgを超えてはならない。軽やかな木の構造は、その限られた枠の中で家としての機能を最大限に引き出すための答えでもある。
暮らしの場から、人が集う場へ
室内には、寝床となる棚、基本的な設備をそなえたキッチン、水を使わないトイレ、そしてシャワーエリアが、無駄なく収められている。ふたりが日々を送るのに必要なものが、小さな空間にきちんと揃っている。
特徴的なのは、ふたつの「アンカリング・ツールボックス」だ。どっしりとした箱のなかに設備と作業面をまとめ、家事を始めるための台にもなる。中央の空間は「リアクション・チャンバー」と名づけられ、人が集い、催しを開く場になる。
造作の家具は折りたたんでしまうことができる。片づければ、そこはオフィスにも、ワークショップの会場にも、展示やコンサートの舞台にもなる。名前のとおり、この家は人と知恵と資源を結びつける「触媒」として構想されているのだ。
開け放つファサードと太陽の力
外壁は、ガラス戸と布のレイヤーで構成された可動式のファサードだ。天気や過ごし方に合わせて開け閉めすることで、内と外の境界がゆるやかにほどけていく。
エネルギーはすべて太陽光でまかなう。発電だけでなく、水の管理や排せつ物の処理にも工夫を凝らし、自給できることと、環境への負荷の小ささを両立させている。
森の木でできた箱が、太陽の光を受けながら、外に向かって開かれている。その姿は、テクノロジーの塊というより、自然のなかに置かれた小さな居場所に見える。
身近な森の木で家を建て、使う分のエネルギーを自分たちでまかなう。それは日本でも、かつては当たり前に営まれてきた暮らし方だろう。
限られた空間を丁寧に使い、ときに開け放って人を招き入れる。MO.CAは、そんな古くて新しい住まいのかたちを、車輪に載せて私たちに差し出している。
MO.CA (Mobile Catalyst)のデータ
- 物件名:MO.CA (Mobile Catalyst)
- ビルダー:IAAC – Institute for Advanced Architecture of Catalonia
- 設計:IAAC – Institute for Advanced Architecture of Catalonia | direction: Vicente Guallart, Daniel Ibañez, Michael Salka
- 国:スペイン
- 地域:バルセロナ、コルセロラ自然公園内のヴァルダウララボ
- 面積:プラットフォーム5.4 m x 2.4 m、キャビン高さ3.6 m
- サイズ:5.4 m x 2.4 m x 3.6 m
- 写真:Adrià Goula
MO.CA (Mobile Catalyst)のよくある質問
Q. MO.CAの大きさは?
A. 5.4m×2.4mのプラットフォームの上に、高さ3.6mのキャビンが載っている。トレーラーを含めた総重量は、規制により3,500kg以内に収める必要がある。
Q. MO.CAはどこが手がけたトレーラーハウス?
A. スペイン・バルセロナのInstitute for Advanced Architecture of Catalonia(IAAC)が開発した。修士課程「Advanced Ecological Buildings & Biocities(MAEBB)」2022/23年度の学生と研究者が設計・制作している。
Q. 電気や水はどうしている?
A. エネルギーはすべて太陽光でまかなう。発電に加えて、水の管理や排せつ物の処理にも工夫を取り入れ、自給と環境負荷の小ささを両立している。
via: https://www.designboom.com/architecture/self-sufficient-mobile-catalyst-home-dowel-laminated-timber-wheels-iaac-04-12-2024
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