災害で家が住めなくなったとき、家が直るまでの住まいをどうするかは、大きな悩みです。選択肢には、避難所、自治体が用意する応急仮設住宅、親せきの家や賃貸住宅などがあり、そのひとつに、自宅の敷地や近くの土地にトレーラーハウスを置いて仮住まいにする方法があります。
この記事では、トレーラーハウスの販売・レンタルを手がけるYADOKARIが、被災された方とご家族、そして自治体・企業の防災担当の方に向けて、公的な応急仮設住宅の仕組みと、自分で用意する仮住まいとの違い、トレーラーハウスが注目される理由、費用や設置の条件を、内閣府などの公開資料をもとにまとめました。なお、YADOKARIのトレーラーハウスは購入・レンタルによる有償の提供で、自治体の応急仮設住宅(公的制度)の申請窓口ではありません。トレーラーハウスそのものの基本は「トレーラーハウスとは」で解説しています。
3行でわかるトレーラーハウスの仮設住宅
- 公的な仮設住宅:応急仮設住宅は、災害救助法にもとづき都道府県などが用意する住まい。入居には条件があり、期間は原則として最長2年
- 自分で用意する仮住まい:トレーラーハウスを購入・レンタルし、自宅の敷地などに置く方法。YADOKARIの被災された方向けの支援価格は、14㎡タイプで購入300万円(税込330万円)〜、レンタル月額5万円(税込5.5万円)〜(中古車両・条件あり)
- 平有両用:ふだんは離れ・事務所・宿泊に使い、いざという時は住まいになる。防災を日常の中に取り込む考え方として、国も災害対応車両の登録制度を始めている
被災後の住まいの選択肢
家が壊れたり、住めない状態になったりしたときの住まいは、大きく分けて次のような選択肢があります。状況によって使えるものが違うため、まずは全体を知っておくと、次の一歩を考えやすくなります。
- 避難所:災害の直後に、市町村が開く場所です。学校の体育館や公民館などが使われます。
- 公営住宅などの空き住戸:自治体が、公営住宅の空き部屋を一時的に提供することがあります。
- 応急仮設住宅(建設型・賃貸型):災害救助法にもとづいて都道府県などが用意する住まいです。プレハブなどを建てる「建設型」と、民間の賃貸住宅を借り上げる「賃貸型」があります。
- 自分で用意する仮住まい:親せきの家、賃貸住宅、そしてトレーラーハウスを購入・レンタルして自宅の敷地などに置く方法です。
自分で用意する仮住まいは、費用は自分で負担することになりますが、住む場所や時期を自分で選べるのが特徴です。とくにトレーラーハウスは、自宅の敷地に置けば、修繕や建て替えのあいだも住み慣れた場所で、家族やご近所とのつながりを保ちながら暮らせます。
応急仮設住宅とは(公的な制度)
応急仮設住宅は、災害救助法にもとづく「救助」のひとつです。救助を行うのは都道府県(一部の市を含む)で、市町村が補助します(内閣府「災害救助法の概要」)。
| 種類 |
用意する人 |
費用 |
期間の目安 |
場所 |
| 建設型応急住宅 |
都道府県など |
公費(災害救助法) |
完成の日から最長2年(延長の例外あり) |
自治体が決めた用地 |
| 賃貸型応急住宅 |
都道府県など(民間賃貸を借り上げ) |
公費(災害救助法) |
最長2年(延長の例外あり) |
空いている賃貸住宅 |
| 自分で用意する仮住まい(トレーラーハウスなど) |
自分(購入・レンタル) |
自己負担 |
契約による(購入なら住み続けることも) |
自宅の敷地や近くの土地など |
※ 内閣府「災害救助法の概要(令和2年度)」の一般基準をもとにまとめました。具体的な基準や運用は、災害ごと・自治体ごとに変わることがあります。
入居できる人
応急仮設住宅に入れるのは、一般的な基準では、住まいが全壊・全焼・流出し、自分の資力では住まいを確保できない人です。半壊でも住み続けるのが難しい場合などは、個別の協議で対象になることがあります。申し込みの方法や時期は、お住まいの市町村が案内します。
住める期間
建設型の応急仮設住宅は、建築基準法第85条にもとづき、特定行政庁が2年以内の期間を限って存続を許可するものです。内閣府の資料でも、建設型・賃貸型とも、住める期間は最長2年とされています。ただし、「特定非常災害」に指定された災害では、1年を超えない期間ごとに延長できることがあります。
公的な応急仮設住宅は、費用の負担がない一方で、場所や入居の時期を自分で選ぶことはできません。住み慣れた場所を離れることになる場合もあります。どちらがよいかは、ご家族の状況や、家の修繕にかかる期間によって変わります。
トレーラーハウスが仮設住宅として注目される理由
トレーラーハウスは、工場で仕上げた住まいを運んで置くため、現地での工事が少なくて済みます。使い終わったら別の場所へ運べるので、取り壊す必要もありません。
熊本地震での活用と、国の考え方
2016年の熊本地震では、熊本県益城町で、トレーラーハウス25台が福祉避難所として使われました(5月12日〜8月31日、最大31世帯119名)。内閣府はこの事例をふまえ、トレーラーハウスについて「災害救助法に基づく応急仮設住宅の一類型として、今後活用していくことが考えられる」とし、すぐに移動・設置して使えること、取り壊しが要らないことをメリットに挙げています。一方で、大きな災害のときに多くの台数をすぐに用意できるか、ほかの仮設住宅とくらべた広さや費用の釣り合いなどを課題とし、平時から供給する事業者と連絡・調整しておくことが大切だとしています(内閣府 熊本地震の資料)。
災害対応車両登録制度(2025年6月開始)
2024年の能登半島地震では、トレーラーハウスやキッチンカー、トイレカーなどが、被災された方の住まいや、応援に来た自治体職員の宿泊場所などに使われました。これを受けて内閣府は、2025年6月1日から「災害対応車両登録制度」の運用を始めています。トレーラーハウスなどを平時から登録してデータベースにしておき、災害のときに被災した自治体が探して、提供を頼めるようにする仕組みです(内閣府 令和7年5月30日の発表資料)。
2025年10月には、この制度を使って、熊本県上天草市でムービングハウス10戸分が応急仮設住宅として整備されることになり、制度開始後初めての事例とされています(内閣府 令和7年10月20日の発表資料)。「動かせる住まい」を災害時の住まいとして生かす仕組みが、国の制度として動き始めています。
自分で用意する場合:自宅の敷地に置く仮住まい
ここからは、トレーラーハウスを購入・レンタルして、自宅の敷地や近くの土地に置く場合について、YADOKARIの仮設住宅・仮住まいのご案内(トレーラーハウスの仮設住宅・仮住まい相談)をもとに説明します。
費用の目安(被災された方向けの支援価格)
YADOKARIでは、被災された方とご家族に向けて、14㎡タイプのトレーラーハウスを支援価格でご案内しています。いずれもエアコンを装備しています。
| タイプ(14㎡) |
購入 |
レンタル(月額) |
| 水回りなし・スケルトンタイプ(エアコン装備) |
本体300万円(税込330万円)〜 |
5万円(税込5.5万円)〜 |
| キッチン・トイレ・シャワー付タイプ(エアコン装備) |
本体600万円(税込660万円)〜 |
10万円(税込11万円)〜 |
※ 2026年10月14日に仮設住宅・仮住まい相談のページで確認した価格です(目安・2026年10月時点)。購入価格300万円・600万円、レンタル価格5万円・10万円のトレーラーハウスは中古車両です。レンタルの価格は6か月以上のご契約の場合です。水回りなしのタイプは、別途キッチン・トイレ・シャワーなどを利用できる環境が必要です。仕様や設置条件により、費用は異なります。本体・設置などは個別にお見積りします。
5棟限定:輸送・設置費を当社が負担します
- 対象:2026年12月31日までにご契約いただいた方(購入・レンタルとも)
- 棟数:5棟限定
- 当社が負担する費用:トレーラーハウスの輸送・設置費
- 別途かかる費用:電気・給排水の接続工事など
- 当社負担の範囲とお客様のご負担を明示したお見積りを、ご契約前にご案内します
購入の場合、仮住まいのあとも、そのまま住み続けることができます。レンタルの場合は、利用期間と返却の条件をご案内します。お見積りでは、本体・利用料、輸送、設置、電気・給排水の接続、撤去・返却の内訳を分けてお示しします。支援価格の内容は、お知らせ(被災された方向けの支援価格)でもご案内しています。
間取りの例
YADOKARIの実際のモデルでは、たとえば次のような間取りがあります。仕様は製品ごとに違うため、ご相談のときに図面でご案内します(上の支援価格の車両と同じものではありません)。
設置の条件
トレーラーハウスを置く前に、次の3つを一緒に確認します。
設置の前に確認すること
- 搬入経路:前面道路の幅や曲がり角、電線・樹木など、トレーラーハウスを運び込む道の状況
- 敷地と配置:敷地の広さや地盤、母屋との距離など、どこにどう置けるか
- 電気・水道・排水:今ある設備とのつなぎ方や、配管・工事ができるか
敷地の状況がわかる写真があれば、事前の確認がスムーズです。また、置き方や使う期間によっては、自治体が建築物として扱う場合もあります。土地の扱いや法律の考え方は、「トレーラーハウスとは(設置できる場所と法律)」で解説しています。
入居までの流れ
- ご相談:状況やご要望をお聞かせください。まだ購入・レンタルを決めていなくても大丈夫です。
- 設置条件の確認:敷地や搬入経路などを確認します。
- ご提案・お見積り:プランと、費用の内訳を明示したお見積りをご案内します。
- ご契約:内容をご確認のうえ、ご契約となります。
- 輸送・設置・設備の接続:トレーラーハウスを運び、設置と接続を行います。
- ご入居:住み慣れた場所で、少しずつ暮らしを取り戻していきます。
在庫があり、敷地への搬入と電気・給排水の接続条件が整っている場合は、最短7日で設置できます。ご相談から入居までの期間は、在庫状況と設置条件を確認してご案内します。
仮住まいのあと
購入したトレーラーハウスは、家の修繕や建て替えが終わったあとも、離れ・書斎・趣味の部屋、ご家族の住まいなどとして使い続けられます。使わなくなった場合は、売却という方法もあります。YADOKARIでは、中古トレーラーハウスの買取・再販にも対応しています(中古トレーラーハウス専門サイト)。
平有両用という考え方:ふだん使いと、いざという時
「平有両用(へいゆうりょうよう)」とは、平時(ふだん)にも、有事(災害などのいざという時)にも使えるという考え方です。災害のためだけに用意したものは、ふだんは使われず、いざという時に使い方がわからないこともあります。ふだんから使っているものが、そのまま災害時にも役立つようにしておくことで、防災を特別なことではなく、日々の暮らしの一部にしていく。これが「防災の日常化」です。
トレーラーハウスは、この考え方と相性のよい住まいです。たとえば、次のような使い方ができます。
- ご自宅:ふだんは離れ・書斎・ゲストルームとして使い、災害で母屋が使えないときは家族の住まいにする
- 企業・施設:ふだんは事務所・休憩室・店舗として使い、災害時は職員の宿泊や地域の拠点にする
- 宿泊施設:ふだんは宿泊施設として運営し、災害時は被災された方や応援に来た人の滞在先として生かす
トイレ・シャワー・キッチン、断熱やエアコンを備えたトレーラーハウスなら、ふだんから快適に使えるため、いざという時も「慣れた空間」で過ごせます。YADOKARIでも、防災をテーマにしたイベントで、トレーラーハウスを体験ブースとして使っていただいた事例があります(防災をテーマにしたイベントの体験ブース)。団地で開かれた防災イベントについては、団地の防災イベント「DANCHI caravan」のインタビュー記事も参考にしてください。
寒い地域でお使いになる場合は、断熱を厚くしたTinys INSPIRATION 寒冷地モデルなどの選択肢もあります。
自治体・企業の防災担当の方へ
自治体や企業の防災・レジリエンス(災害からの回復力)を高めるうえで、トレーラーハウスは「ふだん使いながら備える」選択肢のひとつになります。検討する際は、次の点を整理しておくと進めやすくなります。
- 平時の使い道:会議室・休憩室・宿泊施設・地域の拠点など、ふだんどう使うか
- 置く場所:平時に置く場所と、災害時に運ぶ先の搬入経路・電気・給排水
- 運ぶ手段:けん引する車両や、運搬を頼む事業者の確保
- 国の制度:内閣府の災害対応車両登録制度では、住まいの用途の登録基準として、台所・洗面所・浴室・便所・物干し場があること、一定の広さ(20㎡以上など)があることなどが示されています。登録を考える場合は、内閣府の特設ページで最新の基準をご確認ください
- 平時からの連携:内閣府の資料でも、平時から供給する事業者と連絡・調整しておくことが大切だとされています
YADOKARIでは、トレーラーハウスの企画・製造・販売・レンタルに加え、宿泊施設や地域拠点の運営も行っています。平時の活用方法も含めて、お気軽にご相談ください。
よくある質問
応急仮設住宅には、どれくらい住めますか?
建設型の応急仮設住宅は、建築基準法第85条にもとづき、2年以内の期間を限って存続が許可されます。内閣府の資料でも、建設型・賃貸型とも最長2年とされています。ただし、「特定非常災害」に指定された災害では、1年を超えない期間ごとに延長できることがあります。
YADOKARIのトレーラーハウスを、自治体の仮設住宅として申し込めますか?
YADOKARIのトレーラーハウスは、購入・レンタルによる有償の提供で、自治体の応急仮設住宅(公的制度)の申請窓口ではありません。応急仮設住宅の申し込みは、お住まいの市町村にお問い合わせください。
自宅の敷地に置けますか?
前面道路や搬入経路の幅、敷地の広さ、地盤などの条件を満たせば置けます。敷地の状況がわかる写真をお送りいただければ、事前に確認します。親族名義の土地の場合は、土地の所有者の方の同意を前提に検討できます。
どれくらいで住めるようになりますか?
在庫があり、敷地への搬入と電気・給排水の接続条件が整っている場合は、最短7日で設置できます。ご相談から入居までの期間は、在庫状況と設置条件を確認してご案内します。
費用はいくらですか?補助は使えますか?
被災された方向けの支援価格は、14㎡の水回りなし・スケルトンタイプで購入300万円(税込330万円)〜・レンタル月額5万円(税込5.5万円)〜、キッチン・トイレ・シャワー付タイプで購入600万円(税込660万円)〜・レンタル月額10万円(税込11万円)〜です(いずれも中古車両・エアコン装備、レンタルは6か月以上のご契約、2026年10月時点)。2026年12月31日までのご契約は、5棟限定で輸送・設置費を当社が負担します(電気・給排水の接続工事などは別途)。公的な支援の対象になるかは、現在確認しています。制度は自治体によって違うため、お住まいの市町村の窓口にもご確認ください。
仮住まいのあとは、どうなりますか?
購入した場合は、そのまま住み続けたり、離れや書斎として使ったりできます。使わなくなった場合は売却する方法もあります。レンタルの場合は、利用期間と返却の条件をご案内します。
冬や夏でも暮らせますか?
支援価格のトレーラーハウスは、いずれもエアコンを装備しています。間取りの例として紹介しているモデルは、天井・壁にグラスウール、床にスタイロフォームの断熱材を入れ、ペアガラスのサッシを使っています。寒い地域では、断熱を厚くした寒冷地モデルなどもご相談ください。
ふだんは、どう使えますか?
離れ・書斎・ゲストルーム、事務所・店舗、宿泊施設など、さまざまな使い方ができます。ふだんから使っている空間を、災害時の住まいや拠点として生かす「平有両用」の考え方で、備えとして検討することもできます。
まとめ:住み慣れた場所で、暮らしを立て直す選択肢として
被災後の住まいには、避難所、公的な応急仮設住宅、そして自分で用意する仮住まいがあります。応急仮設住宅は費用の負担がない一方で、入居の条件があり、場所や時期は選べません。トレーラーハウスを購入・レンタルして自宅の敷地に置く方法なら、費用はかかりますが、住み慣れた場所で、家族と一緒に暮らしを立て直せます。国も、トレーラーハウスなどの「動かせる住まい」を災害時に生かす仕組みづくりを進めています。
YADOKARIでは、被災された方とご家族からのご相談を、全国から受け付けています。まだ購入・レンタルを決めていなくても大丈夫です。まずは、今の状況をお聞かせください。