Na Bothain at Raasay Distilleryは、エディンバラを拠点とするデザインスタジオCórrが、スコットランドのラーセイ島で手がけたゲスト用の小屋だ。島の蒸留所Isle of Raasay Distilleryの上手に、切妻屋根の木のキャビンがいくつか点在している。
目の前にはスカイ島のクーリン山地が連なる。Córrはここで宿泊の場を増やすだけでなく、蒸留所というブランドと、島の風景と、訪れる人の体験とを、より深く結びつけようとした。
ボシーの伝統に倣った小屋のかたち
着想の源は、スコットランドに古くからある山小屋「ボシー」だ。飾らず、正直で、ただ雨風をしのぐための簡素な場所。
その精神を受け継ぎ、建築は素材を絞り込み、かたちも込み入らせていない。主張を控えたぶん、まわりの風景そのものが、滞在のいちばんの印象として立ち上がってくる。
各キャビンは島の起伏の激しい地形を読みながら配置された。互いのプライバシーを守り、海岸線の広い眺めを切り取り、土地の上にそっと置かれるように。
木のぬくもりと、大きな窓の向こうの海
室内は温かな木で包まれている。手で触れたくなるような、静かで落ち着いた空間だ。
そこに大きなガラスの開口がとられ、内と外の境目がゆるやかにほどけていく。ソファに腰かけたまま、海と山の移ろいを眺めていられる。
外には専用のテラス、屋外の水風呂、そしてサウナのための小屋まで用意されている。サウナで温まり、冷たい水に身を沈め、また島の風に吹かれる。建築と場所のつながりは、そうした体の感覚を通しても深まっていく。
季節が変われば、光も、空の色も、海の表情も変わる。この宿は、その変化に向き合うことを自然と促してくれる。
風景を増幅させる建築という考え方
「最良のホスピタリティ建築は、周囲と競い合わない。風景を増幅させるのだ」。Córrの創設者Adam Storeyはそう語る。
Na Bothainでのあらゆる判断は、風景を主役に据えながら、それを味わうための温かく、心地よく、美しいほど簡素な場所をつくることに向けられていたという。
Córrはブランド戦略、建築、インテリア、ホスピタリティを横断して、その土地らしさの強い目的地をつくってきたスタジオだ。このプロジェクトはスコティッシュ・デザイン・アワードの最終候補に選ばれた。
また、Na Bothainを含む蒸留所全体は、World Whiskies Awardsで世界最高のビジター・アトラクションに選ばれ、The TimesとThe Sunday Timesの英国の泊まりたい場所トップ50にも名を連ねている。
大きく見せようとせず、ただ風景のそばに身を置くための場所。Na Bothainの小屋は、建築が一歩引くことで、かえって深い体験が生まれることを教えてくれる。
借景を尊び、四季の移ろいを暮らしに招き入れてきた日本の感覚にも、どこか通じるものがあるだろう。窓の外にある景色を、もう一度ゆっくり眺めてみたくなる。
Na Bothain at Raasay Distilleryのデータ
- 物件名:Na Bothain at Raasay Distillery
- 設計:Córr
- 国:イギリス(スコットランド)
- 地域:ラーセイ島
- 写真:Paul Hollingworth
Na Bothain at Raasay Distilleryのよくある質問
Q. Na Bothain at Raasay Distillery はどこにある?
A. スコットランドのラーセイ島にあるIsle of Raasay Distilleryの上手に建ち、スカイ島のクーリン山地を望む。
Q. 設計したのは誰?
A. エディンバラを拠点とするデザインスタジオ、Córrが設計した。創設者はAdam Storeyだ。
Q. どんな設備がある?
A. 各キャビンに専用テラスと屋外の水風呂があり、専用のサウナキャビンも備えている。
via: https://www.designboom.com/architecture/gabled-timber-cabins-corr-scotland-rugged-landscape-na-bothain-isle-raasay-distillery
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