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YADOKARIについて

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via: tracktrailer.com.au

ダートや砂漠の上をトレーラーを引っ張って疾走する。日本では考えられないアドベンチャーキャンピングですが、オーストラリアには確かなマーケットがあるようです。ダイナミックなメタリックフォルムの後部からテントを吐き出す「Tvan MK5」は、最高峰の装備を誇るオフロードトレーラーです。

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via: newatlas.com

ノース・フェイス(The North Face)とBMWグループのDesignworksのコラボによるキャンパーコンセプトが登場しました。プロジェクトは、ノース・フェイスが開発した革新的新素材「FUTURELIGHT」のプロモーションのためのもの。ゴアテックスを凌駕する防水性と通気性を実現した、100%リサイクル素材によるエコロジカルなファブリックに注目が集まっています。

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小屋は屋外のものとは限らない。
家やオフィスなどの日常空間に、一段階小さな空間をつくることができる。
空きビルや倉庫などの大型空間を、適度に細分化することもできる。
空間を階層化していくことで生まれる、
「小さな居場所」を考えてみた。

家の中の小さな居場所

空間の中につくりたいのは、どんな空間だろうか?

子どもがワクワクする遊び場だったり、

家の中につくられた4人姉妹の遊び場

自分だけの空間だったり、

収納と小部屋を兼ねた「Living Cube」。ドアを開けて中のスペースを使う
via: hispotion.com

ちょっと隠れられそうな、居場所だったり。

部屋の中の小さな空間は「中」だけでなく「上」も居場所になる。ハンドルーム © ODP

お家の中の隠れ家的ソファー「Orwell」
Via:goulafiguera.com

「箱以上、部屋未満」くらいの、小さな居場所が求められているようだ。
(厳密な意味で「小屋」と言えるものかは怪しいけれど)

みんなで使う外側の空間と、付かず離れず絶妙につながっている。

オフィスの中でも

そんな、境目が曖昧な別世界を、家ではなくてオフィスにつくってみたらどうだろう。

メリハリがつき、気分転換や創造力アップにつながるかもしれない。

横浜・関内にある「BAYS」のコワーキングスペース内のテントでミーティング風景

個人で集中しつつ、仲間と接することもできる空間をつくることもできる。

仲間と話して、一人でこもって、多彩な働き方に併せて変化する家型書斎「Break-out furniture」
Via:designboom.com

デスクを少し工夫するくらいでも、同じような効果が期待できる。

Yahoo! JAPANのオープンコラボレーションスペース「LODGE」にて

小さな落ち着く居場所は、オフィスだけでなく本屋のようなところにあっても嬉しい。

蔦屋書店を中核とした生活提案型商業施設「柏の葉 T-SITE」にて

ちょっとした別世界は、空間におけるアクセントだ。

大きすぎる空間を最適化

そのままでは大きすぎて使いづらい空間を、小屋で最適化することもできる。

たとえば、空きビルの大きな部屋にコンテナ型のキャビンを並べれば、カプセルホテルに早変わり。

YADOKARIの「点と線」。空きビルの大きなスペースを、宿泊に適したスペースに細分化する

大型倉庫が、コンテナの活用で巨大オフィスに様変わりした事例もある。

コンテナをパーテーションに使ったオフィス「Pallotta TeamWorks」
Via:architizer.com

「ひとつの大きなスペース」を、「ちょうどよいサイズのスペース群」に変えることで、活用の幅は大きく広がる。

「集団」と絶妙な加減でつながる「個人」のスペース

社会」の中には、家族や会社といった「集団」があり、「個人」が属している。

今回取り上げた事例は(一部を除くと)、集団と絶妙につながりながら、個人でもいられる空間をつくっていると言えるかもしれない。

空間の中にもう一段階、境目がちょっと曖昧な居場所をつくってみるのは面白そうだ。

(了)
<文:谷明洋、イラスト:千代田彩華>

 

【都市科学メモ】

小屋の魅力

空間の中に、居場所や別世界をつくることができる

生きる特性

小ささ、境界の曖昧さ

結果(得られるもの)

外側と絶妙につながった居場所、空間の階層化、廃墟や大型スペースの再活用

手段、方法、プロセスなど

自由度を高く考える
屋内はすでに、安全性や居住性が確保された空間だ。たとえば、風雨をしのぐ強度や遮蔽性は考えなくて良い。どんな居場所や世界をつくりたいのか、自由に考えることができる。
外側との“つながり度合い”を考える
特に意識したいのは、外側との“つながり度合い”。閉鎖性が高く独立した空間をつくることも、オープンで周りと積極的につながっていく個人スペースをつくることもできる。開口部は完全に開け放つのか、開け閉めしやすいカーテンにするのか、それとも原則的に閉まっているドアにするのか、など、選択肢は広い。
とりあえず市販品を買ってみる
比較的安価で、気軽に手を出すことができるテントでも十分に機能を果たすことができる。室内用テントのラインナップも豊富だ(調べてみて驚いた)。ダンボールハウスも選択肢に入れることができる。「室内用テント」「ダンボールハウス」で検索してみよう。画像検索もオススメだ。
専門家に相談する
大きな空間の再活用は、ビルの空き部屋や倉庫などの施設を見つけるところから始まる。細分化して再活用したい施設がある場合、地域づくりの活動として協議会をつくったり、専門家に相談するなどの方法も考えられる。YADOKARIも、空き部屋を再活用してシェアドミトリーにする「点と線」をパッケージサービスとして提供しています。
【Theory and Feeling(研究後記)】
「室内でテントを張ると、寒い冬でも暖かい」。むかし読んだ椎名誠の本に、そんなことが書いてあったことを思い出しました。

テントが発揮している機能は、空間の階層化とか居場所云々とかではなくて、単純な保温力なんでしょうけれど、意外と快適なんじゃないかと。こんど、試してみようかな。(たに)

 

「都市を科学する」の「小屋編」は、横浜市の建築設計事務所「オンデザイン」内で都市を科学する「アーバン・サイエンス・ラボ」と、「住」の視点から新たな豊かさを考え、実践し、発信するメディア「YADOKARI」の共同企画です。下記の4人で調査、研究、連載いたします。

谷 明洋(Akihiro Tani)
アーバン・サイエンス・ラボ主任研究員/科学コミュニケーター/星空と宇宙の案内人
1980年静岡市生まれ。天文少年→農学部→新聞記者→科学コミュニケーター(日本科学未来館)を経て、2018年からオンデザイン内の「アーバン・サイエンス・ラボ」主任研究員。「科学」して「伝える」活動を、「都市」をテーマに実践中。新たな「問い」や「視点」との出合いが楽しみ。個人活動で「星空と宇宙の案内人」などもやっています。

小泉 瑛一(Yoichi Koizumi)
建築家/ワークショップデザイナー/アーバン・サイエンス・ラボ研究員
1985年群馬県生まれ愛知県育ち、2010年横浜国立大学工学部卒業。2011年からオンデザイン。2011年ISHINOMAKI 2.0、2015年-2016年首都大学東京特任助教。参加型まちづくりやタクティカルアーバニズム、自転車交通を始めとしたモビリティといったキーワードを軸に、都市の未来を科学していきたいと考えています。

さわだいっせい / ウエスギセイタ
YADOKARI株式会社 共同代表取締役
住まいと暮らし・働き方の原点を問い直し、これからを考えるソーシャルデザインカンパニー「YADOKARI」。住まいや暮らしに関わる企画プロデュース、空き家・空き地の再活用、まちづくり支援、イベント・ワークショップなどを主に手がける。

また、世界中の小さな家やミニマルライフ事例を紹介する「YADOKARI(旧:未来住まい方会議)」、小さな暮らしを知る・体験する・実践するための「TINYHOUSE ORCHESTRA」を運営。250万円の移動式スモールハウス「INSPIRATION」や小屋型スモールハウス「THE SKELETON HUT」を発表。全国の遊休不動産・空き家のリユース情報を扱う「休日不動産」などを企画・運営。黒川紀章設計「中銀カプセルタワー」などの名建築の保全・再生や、可動産を活用した「TInys Yokohama Hinodecho」、「BETTARA STAND 日本橋(閉店)」などの施設を企画・運営。著書に「ニッポンの新しい小屋暮らし」「アイム・ミニマリスト」「未来住まい方会議」「月極本」などがある。

via: uk.nissannews.com

木工職人がやって来て、困ったときにDIYをヘルプしてくれる。そんな可能性を感じさせるのが、日産の発表した木工モバイルワークショップのコンセプト。2016年のカスタム・モバイルオフィスに続く、ゼロエミッションの電気自動車を活用した新しいライフスタイルの提案です。

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via: hospitality-on.com

“空飛ぶ巣 (Flying Nest)” と名付けられたコンテナルームのホテルが、フランスのスキー場にポップアップされています。木のエクステリアと大きく開くガラスのファサードは、コンテナなのに不思議とナチュラル。半日で設置可能なカスタムコンテナは、イベントや野外フェスでの体験型宿泊を提供するためにデザインされました。

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via: https://www.dwell.com/

スカンジナビア半島にあるノルウェーで、今に語り継がれる北欧神話は、16世紀フィンランドから東ノルウェーのフィンスコーゲンの森に移り住んだ移住者が、多くの伝説や民話を作り出したものである。

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via: autocamp.com

カスタムデザインのエアストリームで予約殺到のAutoCampが、3つ目のキャンプサイトをヨセミテにオープンします。モダンなデザインはANACAPAが担当、製造はエアストリームUSA本社にて行われました。サイトは、ヨセミテ国立公園から30分の距離に、2019年2月下旬にオープン予定です。

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via: thebackcountryhutcompany.com

大きく斜めに傾いた屋根が目を引く五角形の小屋。カナダの大自然の厳しい気候でも快適に過ごせる木造ロッジは、キットとして配送され、現地でDIYで組み立てるIKEAの住宅版です。デザインのカスタマイズや拡張も自由自在。ネット・ゼロ・エネルギーやパッシブハウスの基準を満たすことも可能です。

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都市には、隙間がある。
ビルの間や屋上などの、空間の隙間。
再開発の過程で現れる、時間の隙間。
短工期、移動可能、低コストな、
小さな居場所がピッタリはまる。

点在する空間の隙間に

ビルの間の僅かなスペースでも、意外といろいろなことができる。

たとえば、幅2.4mの極細レストラン。

レトロなビルの隙間が光が注ぐレストランに。しっかりした建築でもあるが、サイズ感に小屋らしさも残る
Via:archdaily.com

幅1.2mでも、生活に必須なベッドルーム・バスルーム・キッチンは備えられるようだ。

世界再薄?!居住する家の法規サイズを満たしていないため、短期滞在で活用される
Via:design-milk.com

屋上にも、居場所をつくることができる。

屋上に設置された、膨らませるモバイルオフィス「Roof Pod」
Via:Airclad

都市農園にホテルやサウナ…。屋上をハックしよう
Via:archdaily.com

都市には屋内にも「隙間」がたくさんある。

空港・駅・公共施設等のデッドスペースを有効利用できるモバイルホテル「Sleepbox」
Via:dezeen.com

時間の隙間に「短工期、移動可能、低コスト」

小屋は、こうした「空間の隙間」だけでなく、都市の再開発の前に一時的に現れる「時間の隙間」にもハマりやすい。
「短工期、移動可能、コスト安」という特性を、最大限に発揮する。

たとえば再開発が始まる前の空き地は、コンテナハウスが活躍する。

コンテナをおしゃれに使いこなす「CPH Shelter」。土地の高騰と宿不足に悩むコペンハーゲンで、移動可能なコンテナハウスを学生に開放した
Via:Spotted by Norman Copenhagen

駐車場跡地に、DIYで作った屋台やタイニーハウスを持ってくれば、賑わいスペースに生まれ変わる。

ストリートフードの聖地として生まれ変わった巨大倉庫「PAPIRØEN」。空間の開発が未定だったため、機動力がある「ワゴン」を誘致した
Via:DAC&

時間や空間の隙間を柔軟に活用する小屋は、災害復興のような局面でも活躍する。

東日本大震災で被災した石巻市で、復興期の賑わい創出に貢献した「橋通りCOMMON」(写真:古里裕美)

隙間は余白

変化のスピードが激しい現代の都市。
土地が狭く、災害も多い日本の都市。

あちらこちらに現れては消える「隙間」は、
小屋が価値を生み出す余白なのかもしれない。

あなたの周りには、どんな隙間があるだろうか?

(了)
<文:谷明洋、イラスト:千代田彩華>

【都市科学メモ】

小屋の魅力

空間や時間の「隙間」を活かす

生きる特性

小ささ、短工期、移動できる機動性、低いコスト

結果(得られるもの)

土地の有効活用

手段、方法、プロセスなど

「隙間」を見つける
ちょっとした隙間の土地や、一時的に現れる空き地を見つけるために、ネットワークや情報収集力が必要だ。もしくは、災害などで突如「隙間」が発生した際に、瞬発力や機動力を発揮しよう。
「短工期、移動可能」といった特性を活かす
特に「時間の隙間」を活かす時は、移動可能であることが大きな強みとなる。輸送できるコンテナハウスや、自走できるトレーラーハウスなどをカスタマイズして活用するのが良さそうだ。
大型プロジェクトにする考え方も
都市における「隙間」を活かして価値を生み出す活動は、個人の趣味の域を超え、社会性を伴うことがある。まちづくり組織や行政、土地の所有者らと相談や連携するプロジェクトとしてくことも考えたい。
【Theory and Feeling(研究後記)】
隙間。うーん、パッとは思いつかない。(ぼくの人生は隙間だらけですが)

ちなみに大学時代は森林生態学を勉強してました。森では大木が倒れたり山火事が起こったあとに、太陽光が射し込む「ギャップ」ができると、いろいろな植物の競争が繰り広げられます。乾燥に強かったり、最初の生長が速かったりと、植物によって異なる生存戦力があります。隙間を活かす小屋と比べてみると、小屋っぽい生き方をしている植物とか、あるんでしょうか。

岡山県の西粟倉村で聞いた、森林の生態系の営みから事業戦略を考える話を思い出しました。

 

「都市を科学する」の「小屋編」は、横浜市の建築設計事務所「オンデザイン」内で都市を科学する「アーバン・サイエンス・ラボ」と、「住」の視点から新たな豊かさを考え、実践し、発信するメディア「YADOKARI」の共同企画です。下記の4人で調査、研究、連載いたします。

谷 明洋(Akihiro Tani)
アーバン・サイエンス・ラボ主任研究員/科学コミュニケーター/星空と宇宙の案内人
1980年静岡市生まれ。天文少年→農学部→新聞記者→科学コミュニケーター(日本科学未来館)を経て、2018年からオンデザイン内の「アーバン・サイエンス・ラボ」主任研究員。「科学」して「伝える」活動を、「都市」をテーマに実践中。新たな「問い」や「視点」との出合いが楽しみ。個人活動で「星空と宇宙の案内人」などもやっています。

小泉 瑛一(Yoichi Koizumi)
建築家/ワークショップデザイナー/アーバン・サイエンス・ラボ研究員
1985年群馬県生まれ愛知県育ち、2010年横浜国立大学工学部卒業。2011年からオンデザイン。2011年ISHINOMAKI 2.0、2015年-2016年首都大学東京特任助教。参加型まちづくりやタクティカルアーバニズム、自転車交通を始めとしたモビリティといったキーワードを軸に、都市の未来を科学していきたいと考えています。

さわだいっせい / ウエスギセイタ
YADOKARI株式会社 共同代表取締役
住まいと暮らし・働き方の原点を問い直し、これからを考えるソーシャルデザインカンパニー「YADOKARI」。住まいや暮らしに関わる企画プロデュース、空き家・空き地の再活用、まちづくり支援、イベント・ワークショップなどを主に手がける。

また、世界中の小さな家やミニマルライフ事例を紹介する「YADOKARI(旧:未来住まい方会議)」、小さな暮らしを知る・体験する・実践するための「TINYHOUSE ORCHESTRA」を運営。250万円の移動式スモールハウス「INSPIRATION」や小屋型スモールハウス「THE SKELETON HUT」を発表。全国の遊休不動産・空き家のリユース情報を扱う「休日不動産」などを企画・運営。黒川紀章設計「中銀カプセルタワー」などの名建築の保全・再生や、可動産を活用した「TInys Yokohama Hinodecho」、「BETTARA STAND 日本橋(閉店)」などの施設を企画・運営。著書に「ニッポンの新しい小屋暮らし」「アイム・ミニマリスト」「未来住まい方会議」「月極本」などがある。

via: https://www.treehugger.com/

人口増加や、経済不安から、住宅費用を抑える傾向にあり、タイニーハウスの需要が世界的に高まり続けている。特に、アメリカ人の半分以上が、約30畳程度の家の購入を検討しているというデータも出ているほどだ。中でも、ミレニアル世代の63%はコンパクトな家に興味を持っているという調査結果も出ている。

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「小菅の湯」の敷地内に建つ、第1回コンテスト最優秀賞のタイニーハウス(設計/アトリエ デザインパレット 光賀博紀さん・佐藤貴樹さん)

今年で3回目を迎える小菅村×YADOKARIの共同プロジェクト「タイニーハウスデザインコンテスト」の応募登録&作品募集が始まりました!

プロアマ問わず応募でき、入賞すると本物のタイニーハウスが村内に建設されるのが特徴のこのコンテスト、応募登録期間は2019年2月28日まで、作品応募は3月31日までです。

第2回審査会の様子。舩木村長やYADOKARIさわだ・ウエスギを含む審査員が、最優秀賞決定まで何時間も検討しました。

第2回の昨年は、前年よりも注目度が増し、応募登録総数365組、作品提出者124組。国内はもちろん海外からも複数の応募があり、タイニーハウス・ムーブメントの世界的な広がりを感じさせる盛り上がりとなりました。

第3回の開催にあたって、主催者である山梨県小菅村の舩木村長に、改めてこのコンテスト発足の背景や、今年のテーマに込めた想いを伺いました。

小菅村は秩父多摩国立公園内に位置する、東西14km、南北7kmの小さな山村。

二拠点居住や移住者が増え続ける、多摩源流「小菅村」

舩木村長:「小菅村は人口約710人。多摩川と相模川の源流部にあり、森林が総面積の95%を占める山間の小さな村です。首都圏の水源として100年以上に渡りブナやミズナラの森を守ってきました。

東京からのアクセスも2時間と比較的良く、近年は二拠点生活者や移住者も増え続けています」

小菅村に昨年オープンさせたシェア工房で語る舩木村長。シリアスな課題も楽しくすることで解決するのが信条。

舩木村長:「その要因としては、子どもを自然豊かな環境で育てたい家族に向けた『源流親子留学』など、村の持続的な繁栄を目指して長年続けてきたさまざまなプロジェクトが、ここ数年でようやく実を結んできたからだと思います。

また、村民一人一人の顔が見えるサイズの小菅村では、物事の決定スピードが速く、新しい試みの実現もスムーズです。外部から来る人への受け入れにもオープンな風土があり、サポートを惜しまない。何かにチャレンジしたい人や移住者たちが溶け込みやすいのだと思います」

第1回コンテスト優秀賞を獲得した八角形のタイニーハウスは、今までの住宅の常識に捉われないユニークなアイデア(中角泰子さん)。

村の中にすでにタイニーハウスが点在

「村民みんなのなりわいづくり」をモットーとする舩木村長がいち早く整備した、村で最も集客のある温泉施設「小菅の湯」と「道の駅こすげ」には、週末や連休ともなるとバイクやキャンピングカーで大勢のお客さんが訪れます。その数は年間約20万人にも上るというから驚きです! 敷地内には、第1回タイニーハウスデザインコンテストで最優秀賞を受賞した作品の実物も設置されており、来訪者の興味をひいています。

それ以外にも、過去の受賞作が複数、村の中のいろいろな場所に建築されており、タイニーハウスは小菅村の特徴的な風景になりつつあります。

森に囲まれた絶景の地に建つ、第1回コンテスト優秀賞のタイニーハウス(須藤大さん)。

小菅村がタイニーハウスに取り組む理由

なぜ舩木村長は、タイニーハウスに取り組むことにしたのでしょうか?

舩木村長:「村の豊かな森林資源を活かしたいという想いからです。かつて首都圏への木材供給で栄えた小菅村には、資材としての森だけでなく技術力も人材もあります。しかし放っておけば材木の需要は減り、人の手が入らなくなって山が荒れてしまう。高齢化によって大工の貴重な技術や、循環型の山の文化も失われてしまいます。

一方で、小菅村に興味を持ち、移住して来てくれる20代や30代の若い人たちも増えてきたので、彼らに住んでもらうための住宅を用意する必要も出てきました。空き家もあるのですが、傷んでいたり、大きすぎて今の若い人たちの暮らしに合わない場合も多いんです。

こうした状況を総合的に見て、タイニーハウスがその解決策になるのではないかと思い至りました」

村の複合的な課題への突破口として、タイニーハウスは期待されているんですね。

現在、村内に建築中のタイニーハウスは、移住してきた子育てファミリー向けの13坪のタイプ。地元の木をふんだんに使っている。(2019年3月竣工予定)小菅村タイニーハウスプロジェクトの仕掛人 建築家の和田隆男さん(左)と施工を担当している村の大工、舩木加章さん(右)。

今年のテーマ「小さくても楽しい家」に込めた想い

毎年テーマを設けて作品を募集しているこのコンテスト、今年の応募テーマは「小さくても楽しい家」です。これには、村長のどんな想いが込められているのでしょうか?

舩木村長:「家はもともと、家族が身を寄せ合って楽しく過ごすための場所だったはずです。それがいつの間にか、財産や名誉の象徴になり、投機の対象になり、高額のローンを払うために、子どもを外に預けて夜遅くまで働いて家族がバラバラになってしまうという状況が起きています。

もう一度、暮らしや住まいの原点に立ち戻るということを、今年はみんなで考えたいと思うんです。

タイニーハウスは小さいだけに、住む人がいろいろと工夫していくことが大事ですし、それが楽しさでもあります。設計する時も『楽しい家って、どんな家だろう?』と発想するのはきっと楽しいでしょう。

小さな家をどう楽しくするかを考える。今年はそんなコンテストにしたいと思っています」


昨年の村長賞は「週末東京 仕事小屋付きオフグリッドタイニーハウス」(田中健昌さん)。ライフスタイルのデザインが評価された。

タイニーハウスを考えることは「暮らし方」を考えること

昨年のコンテストで村長賞に輝いた作品は、小菅村に住んで仕事をし、必要な時だけ東京に通うというテレワークの場としてのタイニーハウス。小菅村で過ごす日と東京で過ごす日のタイムスケジュール提案が具体的で、ソフト面のデザインが評価されました。

舩木村長:「もちろん建築物のコンテストなので、建築のプロや建築を学んでいる学生さんなどにもたくさん応募していただきたいのですが、今年はアマチュアの方の夢のある発想にも大いに期待しています。

タイニーハウスを考えることは、建物のデザインだけではなく、『暮らし方』のデザインを考えることだと思うんです。家は寝る、飯を食う所ではなく、一生のうちいちばん長くいる所ですから、どんな暮らしだったら楽しいかなぁという、暮らし方のアイデアを起点に考えてみてほしい。建築の知識や技術がなくても構いません。主婦の方や女性の目線も大歓迎です」


昨年のYADOKARI賞は「SAUNA HOUSE 自然と遊ぶシェアするサードプレイスハウス」(大西 洋さん)。コミュニティ創出の起点となる事業アイデアが評価された。

舩木村長:「最優秀賞・優秀賞の他に、特徴的で面白いアイデアは○○賞として評価します。住まい手の楽しい暮らしをイメージしながら、考える方も楽しんでほしいですね」

昨年は、応募の前に小菅村を訪れて好みの立地をリサーチし、小屋を建てる場所まで指定して応募してきた方もいます。実際に自分が暮らす前提で考えると、より熱が入りそうですね!

小菅村では昨年、元公民館だった建物を図書館・コワーキング・キッチンスタジオ・シェア工房などからなる複合施設へリノベーション。シェア工房では村民たちのものづくりが始まっている。

デジファブ導入!ものづくり村へ進化の予感

一方で、2018年には小菅村の公民館を改修し、子ども図書館やキッチンスタジオ、シェア工房のある複合施設が完成しました。

1階のシェア工房では、最新のデジタルファブリケーション設備を導入し、県外から移住してきた造形アーティストが講師となって、制作活動や村民へのワークショップを開始しています。

デジタルファブリケーションとは、パソコンと接続されたデジタル工作機械によって、デジタルデータを木材などのさまざまな素材から切り出し、成形する技術のこと。つまりはパソコン画面に描いた絵が、そのまま自動的にパーツとして木のパネルなどから切り出され、それを組み立てるだけで家具等がつくれてしまうのです。

デジタルファブリケーションを使い、切り出したパーツを組み立てて15分ほどで子ども用の椅子をつくった移住者の女性。

夢みたいなタイニーハウスも実現可能?

このシェア工房の設備を使えば、なんと組み立て式のタイニーハウスをつくることもできます。ノミやカンナ、大工の技術が全くない人でも、自分で描いた夢の絵からタイニーハウスをつくることができる日も遠くないかもしれません。

そういった意味でも、今年のタイニーハウスコンテストは、専門的な知識や技術に捉われず、自分自身に身近なところから楽しい暮らしのアイデアを発想していく「暮らし方のコンテスト」だと考えてほしいと舩木村長。

「タイニーハウスは山の自然や暮らしをダイレクトに体感できる家」と舩木村長。小さいからこそ、より豊かに感じられることがありそうだ。

新しい暮らし方を創造しよう!

ものづくりや、自然の中での暮らし・学びの環境が整いつつある小菅村では、住まいの既成概念に捉われることなく、自分の足元から、自分流の「楽しい暮らし」をつくっていけそうです。

第3回タイニーハウスデザインコンテストで、その夢を思い切り描いてみてはいかがでしょうか? もしもその暮らしのアイデアが楽しいものなら、すぐに本物が建ってしまうかもしれません。小菅村にはその場所も、手段も、材料も、すでに整っているのです。

応募者不問!「タイニーハウス デザインコンテスト2019 小菅村×YADOKARI」

応募登録2019/2/28 作品提出3/31 まで

コンテストの詳細・応募申込はこちら
⇒ http://kosuge.yadokari.net/
http://tinyhouse-kosuge.com/

via: https://www.dwell.com/

ここはアメリカ合衆国の南部、テキサス州。メキシコ国境沿いのこの州は乾燥した広大な平野が広がり、まさにカーボーイの世界を連想させる。「日本と違いアメリカは全てのスケールがビッグだ」と言われることが多いが、特にここテキサスはそれを肌で感じることができるところだ。

(さらに…)

TINY HOUSE JOURNALタイニーハウスの“現在”を知る

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