タイニーハウスや小屋暮らし、ちいさな暮らしはまだまだ実践者も少なく、始めてみたいけど少し不安という方も多いのではないでしょうか?TINYHOUSE ORCHESTRAでは、日本国内で実際にタイニーハウス作りや暮らしを実践されている方にレポートを執筆いただき、新しい暮らしを始めるヒントをお伝えしていきます。
このコラムは、東京から長野へ移住し、“小さく暮らす”をモットーに賃貸のトレーラーハウスでDIY的暮らしを実践中のフリーランスエディター増村江利子さんによる、暮らしづくりの記録です。
このコラムでわかること
- どんな家?:「住まい」と「車」の中間のような存在。動力がなく、牽引して動かす
- 入手のしかた:業者から購入するのが一般的。DIYでつくる方法もある
- 住み心地:狭さを感じる場面もあるが、毎日が“ほんのちょっと”非日常的
トレーラーハウスってどんな家?
TINYHOUSE ORCHESTRAの読者であれば、トレーラーハウスとはどんなものか、それなりに知識があると思うが、少しおさらいをしておきたい。
トレーラーハウスはキャンピングトレーラーの一種で、特定の場所に定住する目的で設置される。定住目的なので、電気や水道、下水道などを公共のサービスにつなぐ場合も多い。そしてトレーラーハウスは和製英語で、英語ではモービル・ホーム(mobile home)、ハウス・トレーラー(house trailer)などと呼ばれる。
キャンピングカーとの大きな違いは、自走できるかどうかだ。キャンピングカーはエンジンを内蔵し自走することができるが、トレーラーハウスやキャンピングトレーラーは車輪はあるものの動力を持たないため、牽引してくれる車があって、はじめて動かすことができる。
そしてもうひとつ、キャンピングカーと異なるのは、キャンピングカーは給排水をタンクで行うなど、あくまで短期間の生活を想定しているが、トレーラーハウスは家としての機能を完備しているので、長期間の暮らしが可能であることだ。
| 項目 |
キャンピングカー |
トレーラーハウス |
| 動かし方 |
エンジンを内蔵し、自走できる |
動力がなく、牽引する車が必要 |
| 想定する暮らし |
給排水をタンクで行うなど、短期間の生活 |
家としての機能を完備し、長期間の暮らしが可能 |
つまりトレーラーハウスは、「住まい」と「車」の中間のような存在であるといえる。トレーラーハウスは、一定の条件を満たせば一般的には車両扱いなので、建物(家屋)に当たらない場合は、建物としての固定資産税や不動産取得税はかからない(扱いは市区町村などの判断による)。
トレーラーハウスの入手のしかた
さて、ここからは、実際にトレーラーハウスはどう入手すればいいのかをお伝えすることにしよう。
Webで「トレーラーハウス」と検索すると、新品や中古のトレーラーハウスを扱う業者、リフォームや修理をしてくれる業者、トレーラーハウスの展示場などが表示される。一般的には、業者がつくったトレーラーハウスを購入する、つまり建売りの戸建てに近いイメージだが、業者によってはセミオーダーやフルオーダーも可能だ。
業者を選ぶときは、これまでの販売の実績も手がかりになる。YADOKARIの実績は「YADOKARIのトレーラーハウスの実績」にまとめている。
住宅としてつかうのか、店舗としてつかうのか。さまざまなプランがあり費用も異なるが、中古市場では100万円ほどから取り扱いがあるようだ。ついでにいうと、ヤフオク!で60万円でトレーラーハウスを見つけたこともある。とはいえ、設置するための運搬費用、設置費用、さらには水道や電気といったライフラインの接続費用は別にかかるので、200万円程度は予算に余裕をみておくのがよさそうだ。
※ 金額は、この記事を掲載した2017年当時の価格です(税込か税別かの記載はありません)。今の価格は「トレーラーハウスの価格」の記事や、各社にご確認ください。
また、トレーラーハウスをDIYでつくってしまうという方法もある。その場合には、小屋を設置したり牽引するための、「シャーシ」と呼ばれる専用の車台が必要だ。シャーシの上には、もちろん既製品のコンテナやトレーラーハウスを設置してもいい。ナンバープレートがつくので、「車両を利用した工作物」として利用でき、トレーラーハウス感が満載なのはいうまでもない。
YADOKARIでも販売している、溶接の必要がなく、シャーシと上物の分離が可能なトレーラーハウス用シャーシ。予備車検付き。
1932年から続くキャンピングカーブランドとして名高い、AIRSTREAM(エアストリーム)。当時の航空機の設計手法をキャンピングカーに取り入れた宇宙船のような流線形デザインが特徴的で、ファンも多い。そのエアストリームシリーズから発売された「エアストリーム〈16’BAMBI SPORT〉」は、機能性と牽引性を両立したちょうどよい大きさ。
いまの購入の手順と期間はトレーラーハウスの購入の流れ、関東で実物を見るなら横浜・星川の展示場をご覧ください。
トレーラーハウスの住み心地
トレーラーハウスの室内。壁も天井も剥がし、階段下収納を解体し、奥の壁に本棚をつくった。
ところで、私が住んでいるトレーラーハウスは幅3m超のロフト付きトレーラーハウスだが、そこに7畳ほどのリビングと、バス・トイレが増築されている。大まかに間取りを説明すると、入り口のドアを開けるとバス・トイレなどの水まわりがあって、左右にリビングと個室、さらにロフトがついているものもある、というイメージだ。
おおよその広さは50m²くらいだが、住んでみてすぐに気づいたことは、このトレーラーハウスは海外製品である、ということだ。壁紙があまりに安っぽいものだったのだ。だからこそDIYの意欲が掻き立てられ、壁紙を剥がし、下地のベニヤ板に直接ペンキを塗ったりもした。
そして小学生になった娘のために、学習机を個室に運び込もうとしたのだが、なんと、個室のドアから机を入れることができなかった。ドアをDIYでつくったものに替えるときにドア枠をつくったことと、机が中古なので解体して再組み立てができなかったことが原因ではあるけれども、このときばかりは、やっぱり狭いんだな……と感じた。
とはいえ普段は、狭さをあまり意識することがない。リビング部分は吹き抜けのようになっていて、よくいる場所に“高さ”があるのもひとつの要因かもしれない。
そしてよく思うのは、毎日がほんのちょっと非日常的であるということだ。窓が車窓を思わせるからなのか。家そのものが地面についていないからなのか。正確な理由はわからないけれど、旅行をしているのに似ている気分なのだ。この感覚が“ほんのちょっと”であることがおそらく重要で、毎日だときっと疲れてしまう。ワクワクする感じが、ちょうどいい程度に持続している。
トレーラーハウスは、暮らしを小さくしたいと思ったときにぴったりの住まいだと思う。そこで自分にとってどの程度の「小ささ」がいいのかを見極めてから、セルフビルド、もしくはみんなでつくるコミュニティビルドの小屋暮らしへと移行するのがいいのではないだろうか。そんな提案をする理由は、DIYをしながら住んでいるうちに、やはり自分で小屋を建てたいと思うようになるのは、私だけではないだろうと思うからだ。
ライター紹介
ライター:増村 江利子
国立音楽大学卒。Web制作、広告制作、編集を経てフリーランスエディター。二児の母。長野県諏訪郡の賃貸トレーラーハウスにてDIY的暮らしを実践中。
※ 本記事は2017年12月に掲載した寄稿コラムです。内容・価格は掲載当時のものです。トレーラーハウスの法律上の扱いや税金は、設置の仕方・使い方・自治体の判断によって変わります。