Soak(ソーク)は、イギリス・ロンドンの運河を移動しながら営業する、薪火のサウナと水風呂を備えた浴場だ。舞台は、長さ56フィート(約17メートル)の幅広の運河ボート。電気も水道も下水もつながない完全なオフグリッドで、2週間ごとに係留する場所を変えながら、ロンドンの古い水路網をめぐっていく。
設計は建築スタジオの Badweather。立ち上げたのは、幼なじみの2人だ。シェフでレストランの経営も手がけてきた Riccardo Codacci-Pisanelli と、Badweather の共同創業者である Leo Sixsmith。土地に固定されない、動くための建物として、みんなで入る浴場のあり方を問い直している。
悲しみのあとに見つけた、みんなで温まる時間
2人が共同浴場に行き着いたのは、それぞれが深い悲しみを経て、自分を見つめ直していた時期だった。友人どうしで集まり、ただ一緒に温まって休む。そんなささやかな習慣が、少しずつ Soak のかたちになっていった。サウナの癒やしの作法に、建築の確かさと、もてなしの心地よさを重ねた場所だ。
船を手に入れたのは2025年5月。床は腐り、水の傷みもひどく、ほとんど廃船に近い状態だった。まずはすべてを取り払い、鉄の船体を修復して塗り直すところから始めている。配管工、電気工、溶接や金物の職人、大工、バッテリーの専門家など、およそ40人の仲間が加わって、船は浴場に生まれ変わった。
細長い船体を、入口から水風呂、サウナへ
定員は最大12人。サウナ、2つの水風呂、シャワー、更衣室、小さなバーがそろう。鉄の船体は内側の補強材が壁や窓の位置を決めてしまうため、間取りは一本の道のように並ぶかたちに落ち着いた。濃く染めた船舶用合板の、ほの暗く温かな入口を抜けると、明るい水風呂とシャワーの部屋。その先に、サウナが待っている。
サウナの中では、アルミの枠でつくったベンチが、すぼまった船体の中に浮かぶように吊られている。床から離れたベンチは、水の上に浮かんでいる感覚そのものだ。内装には、熱と湿気に強い熱処理したアスペンとアルダーを張った。直径11インチだった丸窓は18インチと32インチに広げられ、船首の鉄の扉は大きな窓に替えて、細長い船の奥まで光を届けている。
ボルトに使うねじ棒やT字の金具、クロムめっきの銅の配管など、工業的な部材をそのまま見せる仕上げは、Badweather らしいところだ。炎の赤、冷たい青、ラベンダー、土の茶色の4色は、それぞれ入浴の流れの一場面を表し、船の中で迷わないための目印にもなっている。
運河の水を、飲める水に。船の上で完結する仕組み
水は運河からくみ上げ、6段階のろ過と紫外線で処理してから、船首につくったタンクにためる。飲み水は逆浸透膜でつくり、カルシウムやマグネシウム、カリウムを足して整えたうえで、お客さんにも船内のカフェにも使う。電気は太陽光パネルでまかない、熱は薪ストーブから。船の中に組み込んだ専用のバッテリーがそれを支え、船は自分だけで成り立つ小さな環境になっている。
動くことを前提にすると、建物は土地の都合から自由になる。そのぶん、水や電気をどう手に入れるかを、自分たちで考えることになる。車輪の代わりに船体を足もとに持つ Soak は、トレーラーハウスやタイニーハウスと同じ問いに、水の上から答えている一棟だ。
Soakのデータ
- 物件名:Soak
- 設計:Badweather
- 運営・立ち上げ:Riccardo Codacci-Pisanelli、Leo Sixsmith
- 国:イギリス
- 地域:ロンドン(運河を2週間ごとに移動)
- 広さ:500平方フィート
- 船:長さ56フィートの幅広の運河ボート(2025年5月に取得・改修)
- 定員:最大12人
- 料金:1回 £32(dwell の記事より)
- 写真:Kaye Song
Soakのよくある質問
Q. Soak には何人まで入れる?
A. 最大12人。サウナのほか、2つの水風呂、シャワー、更衣室、小さなバーがある。
Q. 料金はいくら?
A. dwell の記事によると、1回 £32 で乗船して利用できる。
Q. 電気や水はどうしている?
A. 水道や電気にはつながず、運河の水をろ過・殺菌して使い、電気は太陽光パネルとバッテリー、熱は薪ストーブでまかなっている。
via: https://www.dwell.com/article/soak-bathhouse-badweather-floating-wood-fired-sauna-2f221d14
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