トレーラーハウスで宿泊施設を開業するには?法律上の注意点も踏まえてご紹介!

はじめに

最近、グランピングの人気が高まる中で、新しい宿泊施設の選択肢として「トレーラーハウス」が注目されています。移動が可能で個性的な宿泊スタイルは、ホテルや宿泊施設との差別化を考える法人にとって、とても魅力的な選択肢です。特に、village形式で複数台のトレーラーを活用し、お客様に特別な体験を提供する事例も増えています。
この記事では、トレーラーハウスを宿泊施設として活用する際の特徴や利点、注意点について、できるだけわかりやすくご紹介します。

トレーラーハウスの基本的な特徴

トレーラーハウスは、車輪付きの構造を持つ移動可能な空間です。一般的な建築物とは異なり、建築基準法の適用を受けずに設置できることが多いため、柔軟な運用が可能です。全国各地で宿泊施設として導入が進み、気軽に導入できる点が魅力となっています。以下は、宿泊施設としてのトレーラーハウスの主な特徴です。

設置場所の自由度

トレーラーハウスは、美しい景色が広がる場所や、市街化調整区域など建築が難しい場所にも設置可能(事前に行政の確認が必要です。)

簡単な設置

通常のホテルや宿泊施設とは異なり、トレーラーハウスは基礎工事や申請手続きが少なく、土地の活用計画を柔軟に進められます。チェックインカウンターの設置も簡単に行えますし、オンラインでのチェックインシステムを採用することで、スムーズな宿泊業の運営が可能となるでしょう。

デザインのカスタマイズ性

トレーラーハウスの客室は、外装や内装を自由にカスタマイズでき、施設全体の雰囲気に合わせたデザインに仕上げることができます。高級感のあるホテル風のスタイルから、自然の中でリラックスできるナチュラルなデザインまで、お客様のニーズに合わせた空間を提供できます。

多彩な使い方

宿泊用のトレーラーハウスに加えて、フロント機能を持つトレーラーやキッチン付きのレストラン型トレーラー、サウナやイベントスペースとしての活用も可能です。複数の台数を活用しvillage形式で運営することで、より充実した設備を備えた快適な滞在を提供できるでしょう。

減価償却のメリット

トレーラーハウスは、減価償却期間が4年となっており通常の建築物に比べて減価償却期間が短いため、投資回収を早めることが可能です。コストを抑えつつ宿泊施設を開業できる点が、多くの事業者にとって魅力となっています。

このように、トレーラーハウスを活用した宿泊施設は、独自のコンセプトやテーマを持ち、全国で新しい宿泊体験を提供しています。柔軟な運用が可能で、環境にも優しいトレーラーハウスは、これからの宿泊業界において、さらに広がっていく可能性を秘めています。

宿泊施設の運営に必要な旅館業法とは

宿泊施設を営業する際には、旅館業法を遵守することが求められます。この法律は、施設の安全や衛生管理を確保し、お客様に快適な宿泊環境を提供するために定められています。トレーラーハウスを活用した宿泊施設やホテル形式の施設でも、事前に内容を理解し、必要な許可を取得することが大切です。

宿泊施設に必要な3種類の許可

宿泊施設のスタイルに応じて、適切な許可を取得する必要があります。主に以下の3種類の許可があり、それぞれ異なる基準が設けられています。

ホテル・旅館営業許可
ホテルや旅館として営業するには、客室ごとの広さや設備の基準をクリアする必要があります。例えば、客室にはトイレやキッチンなどの設備を完備し、お客様が快適に過ごせる環境を整えることが求められます。さらに、チェックインの仕組みやフロントの管理体制も重要な審査ポイントとなります。全国で多くの宿泊施設がこの許可を取得して運営を行っています。

●簡易宿泊所営業許可
グランピング施設やゲストハウスなど、小規模な宿泊施設では、簡易宿泊所として申請する方法があります。特に、village形式でトレーラーハウスを活用する場合、この許可を取得することで、自由度の高い宿泊プランを提供することが可能になります。お客様が気軽に利用できるよう、アクセスや予約の仕組みを整えておくことがポイントです。

●下宿営業許可
長期間の滞在を提供する施設に適した許可で、食事の提供を含めた基準が定められています。例えば、滞在型の宿泊施設では、キッチンの設置やお部屋の広さ、価格の設定などを考慮し、お客様が快適に過ごせるような環境を整えることが求められます。

宿泊施設を運営するためには、適切な許可の取得が欠かせません。ホテル型の施設やトレーラーハウスを利用した宿泊施設、village形式の長期滞在型施設など、それぞれの運営形態に応じた許可を取得し、法令を遵守することが大切です。お客様に快適な宿泊体験を提供できるよう、事前の計画と準備をしっかり行いましょう。

旅館業法以外の許可

●飲食店営業許可
施設内で食事を提供する場合は、飲食店営業許可が必要です。ホテルやトレーラーハウス型の宿泊施設でレストランやカフェを併設する場合も、調理設備や衛生管理の基準をクリアすることが求められます。お客様が快適に過ごせるよう、キッチンの設置や食材の管理、提供方法に関する基準を満たす必要があります。

●公衆浴場許可
温泉や大浴場を設置する場合、公衆浴場としての許可が必要になります。特に、浴槽の数や換気設備、給排水の管理は重要なポイントとなります。また、不特定多数のお客様が利用するサウナを設置する場合も、この許可が必要となるため、事前に詳細を確認し、適切な申請を行いましょう。トレーラーハウスやvillage形式の施設でも、浴場の設置を計画する場合は、安全で快適な環境を提供するための基準を満たすことが求められます。

施設の運営をスムーズに進めるために、事前の準備をしっかりと行い、必要な許可を取得することが大切です。

トレーラーハウスを宿泊施設に導入するメリット

初期費用の削減

トレーラーハウスは、一般的な建築物と比べて初期費用を抑えやすいのが特徴です。土地に固定する必要がなく、基礎工事や大型の建築資材の調達が不要となるため、工事費用を大幅に削減できます。また、車両扱いとなる場合、固定資産税がかからない可能性があり、運営コストを抑えることが可能です。こうしたコストの低減は、宿泊施設を運営する法人や個人にとって大きな魅力となります!

柔軟な運用が可能

トレーラーハウスは移動が可能なため、設置場所の変更や施設レイアウトの再構築が容易に行えます。シーズンごとの宿泊需要に応じて配置を変更したり、イベントスペースとして一時的に貸し出すことも可能です。例えば、village形式で複数のトレーラーハウスを運営することで、用途ごとに異なる施設を用意し、お客様のニーズに合わせた柔軟なプランを提供できます。

顧客満足度を高める独自性

トレーラーハウスの内装や外装を自由にカスタマイズすることで、他の宿泊施設との差別化が図れます。例えば、海辺に設置する場合はコテージ風に、山間部ではログハウス風にするなど、特定のテーマに沿ったデザインを施すことで、特別な体験を提供できます。また、フロントやチェックインエリアを工夫することで、お客様にとってより快適な滞在が実現可能です。

環境への配慮

トレーラーハウスは、建築工事の規模が小さいため、自然環境への影響を最小限に抑えることができます。さらに、ソーラーパネルを設置したり、高断熱素材を使用することで、エネルギー効率の高いエコ施設として運営することも可能です。特に、自然の中で宿泊を楽しめる施設として運営する場合、環境への配慮が求められるため、トレーラーハウスの導入は最適な選択肢となります。

トレーラーハウス導入のデメリット

居住空間の制限

快適性に配慮する必要があります。客室のレイアウトを工夫し、無駄のない設備配置を考えることが重要です。たとえば、キッチンやトイレなどの設備をコンパクトにまとめたり、フロント周辺のスペースを最適化することで、お客様が快適に過ごせる環境を整えることが可能になります。

設置場所の制約

トレーラーハウスを設置する際、土地の地形や法律によって制限が生じる場合があります。特に、village形式の宿泊施設やホテルとして運営する場合は、事前に土地の条件を確認し、必要な許可を取得することが不可欠です。また、アクセスの良さも考慮する必要があり、道路幅や交通規制の影響でトレーラーの運搬が難しい地域では、導入が困難なケースもあります。

法律上の注意点

都市計画法の制約

トレーラーハウスの設置には、土地の用途地域に応じた制限が適用される場合があります。特に、市街化調整区域や農地では、宿泊施設としての利用が難しいケースもあり、事前の確認が必要です。

建築基準法と車両登録

トレーラーハウスが車両として認定される場合は建築基準法の適用外ですが、固定物として設置する場合は適用対象となり、建築確認申請が必要です。

消防法・旅館業法の遵守

宿泊施設として運営する際には、消防設備の設置や旅館業法に基づく営業許可が求められます。これには、避難経路や消火器の設置基準の確認も含まれます。

その他法規

自然保護区域や文化財保護区域では、追加の許可申請が必要になることがあります。例えば、自然豊かな場所に宿泊施設を設置する場合、環境に配慮した設計や設備の完備が求められることがあります。ホテルやトレーラーハウスの設置においても、利用する場所ごとの規制を事前に調査し、適切な申請を行うことでスムーズな運営が可能になります。

トレーラーハウスの活用事例

宿泊棟としての利用

トレーラーハウスは、個性的な宿泊施設として活用されることが増えています。特に、森や海の近くなど、自然の中に設置することで、お客様に非日常的な体験を提供できます。建築物を建てることが難しい絶景ポイントにも設置が可能で、宿泊施設としての魅力を高めています。チェックインやフロントの機能を備えたトレーラーハウスもあり、快適な滞在が実現できます。

▲北九州にある海辺の旧ゴルフ場の市街化調整区域エリアにて「Tinys INSPIRATION」を10台活用したグランピング施設。

▼事例の詳細はこちら
Tinys INSPIRATION|グランピング施設

サウナ施設

コンパクトなトレーラーハウスを改装し、移動可能なサウナ施設として活用する事例も増えています。温泉地やキャンプ場に設置することで、施設の付加価値を向上させることが可能です。特に、自然の中で楽しめる移動式サウナは、全国的に注目されており、宿泊プランの一部として提供されることもあります。

▲那須高原の眺望をひとり占めできるグランピング別荘に設置されたサウナ・ジャクジーを備えたトレーラーハウス

▼事例の詳細はこちら
利用事例 Order Made Tiny House|宿泊施設「Miwatas NASU」

カフェ、事務所スペース

トレーラーハウスをカフェや事務所スペースとして活用することで、施設全体の雰囲気を統一し、お客様に統一感のある空間を提供できます。移動可能な特性を生かし、イベント会場や期間限定のポップアップカフェとしても利用可能です。また、キッチンを完備したモデルでは、飲食店としての活用も検討できます。

▲オフィスの一角に誕生したトレーラーハウスを活用した駄菓子屋さん

▼事例の詳細はこちら
利用事例 ROADIE mini | 駄菓子屋くれよん

イベントスペースや展示ブース

特定のテーマを持った展示スペースとしても活用が可能です。グランピング施設内でのワークショップや体験型イベントの会場として活用されるケースも増えています。トレーラーハウスを活用することで、柔軟なレイアウト変更ができるため、様々な用途に対応できるのも大きな魅力です。

▲屋外公共空間の新しい楽しみ方を探求する活用実証実験「カワサキミーツ!!!」にて、トレーラーハウスを活用しました。

▼事例の詳細はこちら
利用事例 HAWK|実証実験イベント「カワサキミーツ!!!」

▼これまでの利用事例はこちら
YADOKARIタイニーハウス 利用事例ページ

まとめ

トレーラーハウスは、初期費用の抑制や柔軟な運用、独自性のあるデザインなど、多くのメリットを持ち、宿泊施設として魅力的な選択肢となります。特に、ホテル型の宿泊施設やvillage形式の施設では、トレーラーを活用することで、より多様なプランを提供することが可能です。また、アクセスの良い場所に設置すれば、お客様が気軽に訪れやすくなります。

しかし、法規制や設置に関する条件、室内設備の制約などを理解した上で、慎重に計画を進めることが重要です。トイレやキッチンなどの設備を完備する場合、それぞれの基準を満たす必要があります。また、チェックインの流れやフロント業務などの運営方法も、宿泊施設として快適な環境を整えるために重要なポイントです。

導入を検討する際は、法律や設置条件を専門スタッフに相談し、施設のコンセプトや運営方針に合った選択肢を選びましょう。トレーラーハウスを活用したホテルや宿泊施設の成功事例を参考にすることで、より実践的なアイデアを得ることができます。
最新の活用方法や全国の導入事例を確認し、お客様に楽しめる空間を提供できるよう工夫を凝らしながら、魅力的な施設づくりを目指していきましょう!

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