
水、エネルギー、食糧、トイレ。
必要なものを自給する小屋がある。
山や森などの自然の中はもちろん、インフラが活用できる都市にもだ。
どんな方法が、あるのだろう?
なぜそんな小屋が、ほしいのだろう?
生活には何が必要? どう自給する?
必要なものを自給自足しながら過ごすための、小屋がある。
山や森、草原といった、都市から離れた自然の中で。
あるいは、敢えてインフラが活用できる都市の中で。
では小屋は、生活に必要な何を、どう供給できるのだろうか?
雨や空気から得て、浄化して、循環させる水
まず水は、雨を集めるのが分かりやすいだろう。
空気中の水蒸気から水を得るという発想もある。
排水を浄化して再利用する、“循環”も大事な考え方だ。
太陽や風などから効率よく受けるエネルギー
エネルギー源となる太陽光や風は、効率よく受けたい。
いつでも使うために、発電だけでなく蓄電の機能も必要になる
太陽光を電気に変えず、光や熱として活用することもできる。
暖房や料理の熱源には、薪を使うのもシンプルだ。
食糧や小屋自体も、つくって自然に返す
食糧も、工夫次第で生産できる。
トイレは草むらなんかで済ますこともできるが、コンポストトイレを備えるのも一案だ。
究極的には家までも、地元の資材でつくって自然に返すという考え方がある。
水、エネルギー、食糧、トイレ、家。
どうせなら、そのいくつかを同時に、効率的に得られるよう工夫したい。

自給自足の小屋が、なぜほしい?
ところで、必要なものを自給する小屋がほしいのは、なぜだろう。
都市から離れた自然の中で過ごしたくて、そのために必要だから?
それだけなら、外から持ち運んだ方が楽ことも多いし、都市に自給自足の小屋をつくる理由もない。
環境に調和しながら生きていきたいから?
太陽や風や雨を通じて、自然とのつながりを感じたいから?
インフラに依存せずとも生きていけることを、確かめたいから?
シンプルな暮らしで、本当に必要なものを見つめ直したいから?
どれも、推測に過ぎないけれど。
高度化、複雑化、都市化が進んだ社会にある、いろいろな欲求が見え隠れする。
(了)
<文:谷明洋、イラスト:千代田彩華>
| 【都市科学メモ】 |
小屋の魅力
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オフグリッドや自給自足の暮らしを実現できる |
生きる特性
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小ささ、アレンジしやすさ |
結果(得られるもの)
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自然の中での時間、環境との調和、地球との接点、生きる力、暮らしに必要なものへの理解 |
手段、方法、プロセスなど
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何を自給するか、考える
本稿で取り上げた水、エネルギー、食糧、小屋の資材を中心に、何をどこまで自給するのかをまず、考えたい。自給自足は、それ自体が「目的」にも、自然の中で時間を過ごすための「手段」にもなり得る。目的や環境に応じて、都市インフラの活用や、持ち運ぶことを選択肢に加えても良いだろう。 |
自給する機能を得る
自給すると決めたものを、どうやって得るのか。試行錯誤して自作するもの楽しいし、必要な部分や、あるいは小屋全体を購入することもできる。発電や水の循環、トイレなどについてはテクノロジーが常に進んでいるので、最新情報をチェックしてみよう。
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時間をかけて、楽しんでみる
水は雨が降らなければ得られないし、食糧を生産するにも時間がかかる。曇りが続いて思うように発電できないこともあるかもしれない。コントロールしきれない自然に対して、どのくらいのバックアップを用意し、どのくらいのことなら受け入れるのか。自分らしく楽しみたい。
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| 【Theory and Feeling(研究後記)】 |
| 日本科学未来館に勤めていた前職時代に、「循環」や「地球と人間の関係」を考えるようになりました。「有限の閉鎖空間である地球で、人類が生き延びるためにはどうするのか?」という問いがあるからです。
島根県にある海士町という離島を訪ねたときのこと。「外との境界がはっきりしている離島は、循環を考える良い場所なんじゃないかな」。島の学習塾のスタッフさんから、そんな話を聞きました。
未来館の毛利衛館長は、人が宇宙に滞在するための「国際宇宙ステーション」を「地球の縮図」と位置づけることがありました。国際宇宙ステーションは確かに、オフグリッドな閉鎖空間(食糧は運んでいくけれど)。「究極の小屋」と言えるかもしれません。離島、国際宇宙ステーション、そして小屋。有限性や閉鎖性のある場所で感じられることは、地球にも通じるような気がしてきました。(たに)
高度400kmに人が滞在する「国際宇宙ステーション」は”究極のオフグリッド小屋”?
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「都市を科学する」の「小屋編」は、横浜市の建築設計事務所「オンデザイン」内で都市を科学する「アーバン・サイエンス・ラボ」と、「住」の視点から新たな豊かさを考え、実践し、発信するメディア「YADOKARI」の共同企画です。下記の4人で調査、研究、連載いたします。
レモンイエロー色の燃料タンクのハッチを開けると、なんだか快適そうなベッドルームが広がっています。薄型テレビや丸く弧を描くソファーは、モダンリビングの佇まい。実際に人が居住できるアルゼンチンの燃料タンクは、未来に発掘されることを想定した、問題提起のインスタレーションなのです。
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19世紀の農家の家をリノベーションした、シックでモダンなスモールハウス。建っているのは、北欧・スウェーデンのBjäre 半島で、首都ストックホルムよりも、デンマークのコペンハーゲンに近い自然豊かな場所。
休暇用に建てたという、約50平方メートルほどのこの小さなバケーションハウスの名前は「Kvarnhuset (クバーンフーセット)」、英訳すると「Mill House (ミル・ハウス)」で、和訳すると「製作所」の意味。設計したのは、スウェーデン人の Gert Wingårdh (ヤート・ウィンゴード) 。
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これからの暮らしについて、前回より多世代共生や丁寧な暮らしを標榜するシェアハウス「ウェル洋光台」の戸谷浩隆さんにお話をうかがっています。
10数年ほど前からシェアハウスという暮らし方が一般的になりつつあり、当時シェアハウス文化を体験した若者が、いま次世代のシェアハウス文化をつくりつつあります。
ウェル洋光台の大家である戸谷さんは、まさにそんな立役者のひとり。経営不振に陥ったシェアハウスを立て直した戸谷さんは、現在のシェアハウスをめぐる状況をどのようにみているのでしょうか?(前編をご覧になりたい方はこちら)
▼ 記事本編はこちら
https://house.muji.com/life/clmn/small-life/small_190129/
ダートや砂漠の上をトレーラーを引っ張って疾走する。日本では考えられないアドベンチャーキャンピングですが、オーストラリアには確かなマーケットがあるようです。ダイナミックなメタリックフォルムの後部からテントを吐き出す「Tvan MK5」は、最高峰の装備を誇るオフロードトレーラーです。
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ノース・フェイス(The North Face)とBMWグループのDesignworksのコラボによるキャンパーコンセプトが登場しました。プロジェクトは、ノース・フェイスが開発した革新的新素材「FUTURELIGHT」のプロモーションのためのもの。ゴアテックスを凌駕する防水性と通気性を実現した、100%リサイクル素材によるエコロジカルなファブリックに注目が集まっています。
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小屋は屋外のものとは限らない。
家やオフィスなどの日常空間に、一段階小さな空間をつくることができる。
空きビルや倉庫などの大型空間を、適度に細分化することもできる。
空間を階層化していくことで生まれる、
「小さな居場所」を考えてみた。
家の中の小さな居場所
空間の中につくりたいのは、どんな空間だろうか?
子どもがワクワクする遊び場だったり、
自分だけの空間だったり、
ちょっと隠れられそうな、居場所だったり。
「箱以上、部屋未満」くらいの、小さな居場所が求められているようだ。
(厳密な意味で「小屋」と言えるものかは怪しいけれど)
みんなで使う外側の空間と、付かず離れず絶妙につながっている。
オフィスの中でも
そんな、境目が曖昧な別世界を、家ではなくてオフィスにつくってみたらどうだろう。
メリハリがつき、気分転換や創造力アップにつながるかもしれない。
個人で集中しつつ、仲間と接することもできる空間をつくることもできる。
デスクを少し工夫するくらいでも、同じような効果が期待できる。

Yahoo! JAPANのオープンコラボレーションスペース「LODGE」にて
小さな落ち着く居場所は、オフィスだけでなく本屋のようなところにあっても嬉しい。

蔦屋書店を中核とした生活提案型商業施設「柏の葉 T-SITE」にて
ちょっとした別世界は、空間におけるアクセントだ。
大きすぎる空間を最適化
そのままでは大きすぎて使いづらい空間を、小屋で最適化することもできる。
たとえば、空きビルの大きな部屋にコンテナ型のキャビンを並べれば、カプセルホテルに早変わり。
大型倉庫が、コンテナの活用で巨大オフィスに様変わりした事例もある。
「ひとつの大きなスペース」を、「ちょうどよいサイズのスペース群」に変えることで、活用の幅は大きく広がる。
「集団」と絶妙な加減でつながる「個人」のスペース
「社会」の中には、家族や会社といった「集団」があり、「個人」が属している。
今回取り上げた事例は(一部を除くと)、集団と絶妙につながりながら、個人でもいられる空間をつくっていると言えるかもしれない。
空間の中にもう一段階、境目がちょっと曖昧な居場所をつくってみるのは面白そうだ。
(了)
<文:谷明洋、イラスト:千代田彩華>
| 【都市科学メモ】 |
小屋の魅力
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空間の中に、居場所や別世界をつくることができる |
生きる特性
|
小ささ、境界の曖昧さ |
結果(得られるもの)
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外側と絶妙につながった居場所、空間の階層化、廃墟や大型スペースの再活用 |
手段、方法、プロセスなど
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自由度を高く考える
屋内はすでに、安全性や居住性が確保された空間だ。たとえば、風雨をしのぐ強度や遮蔽性は考えなくて良い。どんな居場所や世界をつくりたいのか、自由に考えることができる。 |
外側との“つながり度合い”を考える
特に意識したいのは、外側との“つながり度合い”。閉鎖性が高く独立した空間をつくることも、オープンで周りと積極的につながっていく個人スペースをつくることもできる。開口部は完全に開け放つのか、開け閉めしやすいカーテンにするのか、それとも原則的に閉まっているドアにするのか、など、選択肢は広い。
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とりあえず市販品を買ってみる
比較的安価で、気軽に手を出すことができるテントでも十分に機能を果たすことができる。室内用テントのラインナップも豊富だ(調べてみて驚いた)。ダンボールハウスも選択肢に入れることができる。「室内用テント」「ダンボールハウス」で検索してみよう。画像検索もオススメだ。
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専門家に相談する
大きな空間の再活用は、ビルの空き部屋や倉庫などの施設を見つけるところから始まる。細分化して再活用したい施設がある場合、地域づくりの活動として協議会をつくったり、専門家に相談するなどの方法も考えられる。YADOKARIも、空き部屋を再活用してシェアドミトリーにする「点と線」をパッケージサービスとして提供しています。
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| 【Theory and Feeling(研究後記)】 |
| 「室内でテントを張ると、寒い冬でも暖かい」。むかし読んだ椎名誠の本に、そんなことが書いてあったことを思い出しました。
テントが発揮している機能は、空間の階層化とか居場所云々とかではなくて、単純な保温力なんでしょうけれど、意外と快適なんじゃないかと。こんど、試してみようかな。(たに) |
「都市を科学する」の「小屋編」は、横浜市の建築設計事務所「オンデザイン」内で都市を科学する「アーバン・サイエンス・ラボ」と、「住」の視点から新たな豊かさを考え、実践し、発信するメディア「YADOKARI」の共同企画です。下記の4人で調査、研究、連載いたします。
木工職人がやって来て、困ったときにDIYをヘルプしてくれる。そんな可能性を感じさせるのが、日産の発表した木工モバイルワークショップのコンセプト。2016年のカスタム・モバイルオフィスに続く、ゼロエミッションの電気自動車を活用した新しいライフスタイルの提案です。
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“空飛ぶ巣 (Flying Nest)” と名付けられたコンテナルームのホテルが、フランスのスキー場にポップアップされています。木のエクステリアと大きく開くガラスのファサードは、コンテナなのに不思議とナチュラル。半日で設置可能なカスタムコンテナは、イベントや野外フェスでの体験型宿泊を提供するためにデザインされました。
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スカンジナビア半島にあるノルウェーで、今に語り継がれる北欧神話は、16世紀フィンランドから東ノルウェーのフィンスコーゲンの森に移り住んだ移住者が、多くの伝説や民話を作り出したものである。
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カスタムデザインのエアストリームで予約殺到のAutoCampが、3つ目のキャンプサイトをヨセミテにオープンします。モダンなデザインはANACAPAが担当、製造はエアストリームUSA本社にて行われました。サイトは、ヨセミテ国立公園から30分の距離に、2019年2月下旬にオープン予定です。
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大きく斜めに傾いた屋根が目を引く五角形の小屋。カナダの大自然の厳しい気候でも快適に過ごせる木造ロッジは、キットとして配送され、現地でDIYで組み立てるIKEAの住宅版です。デザインのカスタマイズや拡張も自由自在。ネット・ゼロ・エネルギーやパッシブハウスの基準を満たすことも可能です。
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