シアトルで、従来のバックヤードシェッド(裏庭の物置)の概念を進化させ、移動可能な住居として新しいデザインが提案されている。その名も「DW(Dwelling on Wheels/車輪の上の住まい)」。220平方フィートの広さを持ち、現代的で自給自足の要素を取り入れたこの住居は、コンパクトながらも家としての機能性を十分に備え、どこにでも移動可能だ。
DWは、クラシックな切妻屋根の形状で、外観も家らしい親しみやすさを持つ。その特徴的なデザインには、大きな窓が随所に配置され、自然光を最大限に取り入れる設計が施されている。特に廊下の突き当たりに設置された床から天井までの窓は、外の景色を楽しみながら、開放感を感じさせてくれる。前方にはデッキがあり、椅子と小さなテーブルを配置すれば、自然と触れ合いながらリラックスした時間を過ごすことができる。
外装にはダークカラーの低メンテナンス素材を使用し、屋根にはバッテリー付きのソーラーアレイを設置。これにより、電力の自給自足が可能となり、オフグリッドでの生活も実現する。冬場でも快適に過ごせるように、暖房用の薪ストーブと電気壁ヒーターが備え付けられており、寒冷地でも問題なく生活できるという高性能ぶりだ。
内部は、明るいバーチ材のプレハブ合板と、持続可能なリノリウムの床材を使用。これらの素材は、環境への負荷を減らすだけでなく、住む人に心地よい空間を提供する。寝室には、クイーンサイズのベッドとシングルベッドの二段ベッドが配置され、効率的な空間利用がなされている。収納スペースも十分に確保されており、コンパクトな空間でも快適に生活することができそうだ。
また、DWは高強度断熱パネルで構築されており、暖房効果を高めるとともに、外部の温度に左右されにくい設計になっている。水タンクやコンポストトイレの設置も可能で、オフグリッド生活をサポートする機能が充実しているのもうれしい魅力だ。基本価格129,000ドルから販売されており、内部のレイアウトは自由にカスタマイズ可能。オフィスとして利用したり、年間を通じて住むための家としても設計を変更することができる。リードタイムは通常4〜10ヶ月で、注文から納品までの期間も考慮に入れる必要がある。
DWは、単なる移動可能な家ではない。短期滞在やリモートワークの拠点として、またオフグリッド生活を実現したい人々にとって理想的な住居となる。さらに、ADU(付属住居ユニット)として家族や親戚を近くに住まわせるための選択肢としても活用できる。現代的でサステナブルなライフスタイルを追求する人々とって、また、自給自足で自由な暮らしを手に入れたい方にとって、魅力的な選択肢となることだろう。
via: design-milk.com
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もし、自分専用のタイニーハウスを手にできるとしたら。
あなたはどんなふうに活用するだろうか?
大きな窓のある仕事部屋?リサイタルもできる庭先の音楽ルーム?それともオームシアター?
アイディアは人それぞれ。毎日の暮らしが楽しくなりそうな、たくさんのアイディアが思いつくだろう。
自然と調和したライフスタイルが注目を集める中、Hutsmithはその美しいキャビンを通じて、持続可能な生活の新しい選択肢を提供している。環境への影響を最小限に抑え、自然との共生を大切にしたデザイン哲学を掲げ、現代の多様なライフスタイルに対応できるキャビンを提案しているのだ。
Hutsmithのキャビンは、スコットランド産の持続可能な木材を使用しており、その木材の特徴を最大限に生かしたシンプルで美しいデザインが特徴だ。広い窓からは自然光がたっぷりと注ぎ込み、室内は明るく開放的な空間に仕上がっている。また、外観には日本の伝統的な焼杉を取り入れたチャードラーチ仕上げが施されており、耐久性が高く、湿気やバクテリアから保護されるだけでなく、年月を経ても風格を増していく。
このキャビンは、アートスタジオやホームジム、在宅勤務のオフィススペース、さらにはゲスト用の追加寝室など、さまざまな用途に対応するように設計されている。それぞれのキャビンは、6つの異なるスタイルから選べ、サイズや配置も自由にカスタマイズ可能。キッチンやデスク、メザニンベッドなどの追加オプションも豊富に用意されており、自分だけの理想的な空間を作り上げることができる。モジュール式の設計により、数日で現地に設置することが可能な点も実に魅力的だ。専任の専門家がサポートし、簡単な設置プロセスで、庭や狭いスペースにも対応できる柔軟性がある。施工費用はカスタマイズ内容により異なるが、迅速な組み立てが可能なため、理想的な空間が短期間で手に入る。
Hutsmithは、環境への影響を最小限に抑えるために、持続可能な素材の使用と環境に優しい製造プロセスを採用している。スコットランド産の木材は、再生可能な資源として地球への負担を軽減し、B-Corp認定の取得を目指していることからも、企業としての社会的責任に対する強いコミットメントが伺える。
このキャビンは、ただの小屋ではない。それは、現代的で持続可能なライフスタイルを実現するためのステートメントであり、どんな用途にも対応する多機能な空間だ。自分のライフスタイルに合わせたキャビンをカスタマイズし、自然の中で心地よく過ごすことができる、この新しい生活の選択肢をぜひ取り入れてみたい。
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via: burford.co.uk
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団地で暮らす「コミュニティービルダー」が団地住民や地域の方々と一緒に、鶴川団地の新たな魅力を創造・発信していく未来団地会議「鶴川団地プロジェクト」。2024年10月19日(日)に「空き地に集まる、団地暮らしの”あったらいいな”」をテーマに企画された「鶴川ダンチホリデイ」の第3弾が開催されました!

イベントの舞台となるのは、鶴川団地内に存在するいわゆる”空き地”。何もないけど何でもできる、可能性を秘めたこのスペースに「鶴川なかにわBASE」と名前をつけて、地域の人と人を繋げる企画を行っています。
今回は日々を楽しくする様々なお店やワークショップ、そしてゲストによる暮らしにまつわる特別出張レクチャーも。気持ちのいい秋晴れの広場で、暮らしを楽しくするヒントが詰まったダンチホリデイの様子をお伝えしていきます!
“あったらいいな”その① 暮らしを彩るご近所マルシェ
団地暮らしに”あったらいいな”を実証実験するダンチホリデイ、毎回恒例となっているマルシェは今回も個性豊かな出店を楽しめました。
野菜販売をしてくださったのは、町田市野津田を拠点にする佐藤農場。定番野菜から季節の野菜、使いやすい分量の唐辛子とニンニクがパックされた「ペペロンチーノセット」など便利で料理が楽しみになるアイテムも。
掘りたての生姜とスパイスで「スパイスジンジャーシロップ」が作れるセットも大人気でした。


目が合うだけでふわっと和やかな気持ちになれる季節の草花たち。フラワースタイリストの野沢ちかさんは、「花綵hanazuna」として生花の販売をしてくれました。


「こんなに小さくて可愛らしい柿があるんですね、食べられるんですか?」
「そのままだと渋いので、干し柿にしたら大丈夫かもしれないです(笑)。」
忙しく過ぎていく日々のすき間に、季節を愛でて小さな会話を楽しめる瞬間はなんとも嬉しいものでした。

暮らしで使える器を販売してくださったのは、陶芸家の田川舞さん。言葉で表しきれない奥行きを感じる色や形、何時間でも眺めていられそう。この器を使って何をいただこうかな、どんな時間を過ごそうかなと、妄想が膨らみます。
訪れた方々の多くが、たからものを探すみたいにじっくりと選ばれている様子が印象的でした。

実は今回、このレポートを書いている私も陶芸作品の展示販売で参加させていただきました。ふらっと足を運んだ方々に見ていただけるのは新鮮で、手にとっていただいたり、言葉を交わせたり、とても嬉しい時間となりました。
自然と生まれる会話を楽しみながら、お気に入りのものに出会えるのは、マルシェならではの魅力ですね。


手作りで種類豊富な焼き菓子が並ぶのは、お菓子屋étoileのテントです。ラインナップはイベントや季節に合わせて変わるとのことで、この日だから出会えるお菓子という特別感も。
さつまいもやカボチャなど、旬の素材を生かしたお菓子たち。心やからだに優しい味わいで、自分へのご褒美や、大事な人へのお土産にもぴったりです。

お子様づれのお母さんは、「子どもが寝た後にこっそり食べる分も買いました」と嬉しそうに教えてくれました。

スパイスやドライフルーツが詰まった大きな瓶。こちらは量り売りのお店「まる」のテント。”欲しいものを欲しいぶんだけ”、少しでも地球に優しく、日常のゴミを減らせるようにと活動されています。
商品の包装についても、繰り返し使えるマイ容器の持参を推奨していて、ちょうど持っていた袋にスパイスを入れてお渡しする場面も。
つい便利な方へ流れてしまうけれど、この時の体験をふと思い出すことで、地球に優しい選択をできる自分でいられたらと思います。乾燥イチジクがとっても美味しかったです。

そして今回も、美味しいフードやドリンクを提供してくれるキッチンカーがやってきました!一つは日本茶を使ったドリンクやご飯を楽しめるTea Eraです。
目にも楽しい具沢山のお茶漬けが絶品でした。ご飯もほうじ茶で炊かれていて、お茶への愛と探究心を感じます。

そのお隣には、100時間煮込んで作るデミグラスソースが売りの洋食屋キッチンカー『jigemon』が並びます。
こだわりのソースがかかったオムライスは、子どもから大人まで大人気。空き地でグルメフェスがあっても楽しそうだな〜なんて想像が膨らみます。


“あったらいいな”その② 暮らしのそばで、子どもも一緒に新しい体験ができる
すてきなモノとの出会いを楽しめるマルシェの他に、ものづくりなどの体験ワークショップも登場しました。
まず一つ目にご紹介する、竹を使ったかざぐるまを作れるワークショップは一日を通して大人気でした。普段は大人向けの竹細工をしているたけやけーたーさん、今回は親子で楽しめる工作を考えてきてくれました。

講師のけーたーさん自身もワークショップに参加したことをきっかけに竹細工が好きになり、現在の活動まで発展していったそう。今回も体験を機に、竹細工に興味を持った方がいらっしゃるかもしれません。会場の空き地では完成したかざぐるまを持って、嬉しそうに走る子どもたちの姿があちらこちらに。

次に紹介するのは、架空の銭湯というテーマを持った『ほほほ湯』のテントです。空き地に突如現れたおやすみ処、似顔絵やもみほぐしなど、ほっと癒されるひとときを作ってくれます。
終日人気だった「おふろ似顔絵」は、お風呂に入ってホッとしている顔をイメージして描いてもらえる、何とも可愛らしい似顔絵体験です。頭にタオルを乗せて描いてもらっているお客さんの姿に、周りもほっこり。


今回もなかにわBASEへやってきたトレーラーハウスの中では、『みんなの試着室』というファッションを楽しめる企画が行われました。作家の竹中里来さんが作る、人でもモノでも誰でも着ることのできる自由自在なお洋服を試着できます。

着こなし方にも決まりはないので、自分の気持ちが高まる合わせ方でOK!それぞれの発想で服の表情が変わっていく様子がとても面白かったです。
身につけるものが変わると、いつもと違う自分や新しい気持ちと出会えますよね。

鶴川中央公園にある冒険あそび場のみなさんも、『出張つるぼう』として駆けつけてくれました。店頭には子どもたちも立って、飲み物やおやつの販売、ゲームの案内をしてくれます。近所で顔馴染みの子どもたちが挨拶を交わす場面も。


“あったらいいな”その③ 地域の魅力を活かして、豊かに生きるアイデア
今回のダンチホリデイでは、団地に暮らす喜びのヒントを見つける特別レクチャーが3つ実施されました。
一つ目のレクチャーテーマは団地×健康。国士舘大学の閻洪亮先生をお招きして、健康気功体操の体験が行われ、様々な年代の方々が一緒に身体を動かしました。
「今日は気持ちのいい青空ですね。あの空に近づくような気持ちで、腕を伸ばしてみましょう。」
わかりやすい言葉で教えてくださるので、とても自然に身体が動き、リフレッシュできる時間でした。運動の習慣作りは、やりたいと思っていても腰が重いという方は多いのではないでしょうか。かくいう私もその一人ですが、このようなきっかけがあれば、義務感なく楽しんで始められる気がします。


二つ目のレクチャーテーマは団地 × 拠点づくり。町田を拠点に活動されているエスディースタジオ 清水祐介さんをゲストに、「鶴川に生まれる新たな場所と活動 」についてトークセッションが行われました。
インテリアや空間のデザインを生業としながら、町田でイベントや場づくりをされてきた清水さん。”人とひとが直接出会ってやりとりができる市”がコンセプトの「小野路やまいち」の実行委員をされた5年間や、現在の活動に沿ってお話が進みます。今年10月には、鶴川団地隣のセントラル商店街に事務所兼小商スペース「THE DAY」をオープンされたばかり。お店の活用について、ざっくばらんにアイデアを出しあう時間はみなさんとっても楽しそうでした。

清水さんが運営されている「THE DAY」提供:THE DAY
「ハードルは低く色々な人が参加できるように」そんな眼差しを持った清水さんの新拠点から、様々な企てが起きていく日も近そうです。鶴川で小商や場づくりに挑戦してみたい方は、ぜひTHE DAYにも足を運んでみてくださいね。
Instagram:@theday_central2024

最後のレクチャーは【団地 × 農】がテーマ。コピーライターから農業の仕事に転身され、横浜市旭区にて無化学肥料・無農薬栽培のえんちゃん農場を営む長岡親一郎さんがゲストです。
「身近な野菜の、知らない種の話」をテーマにしつつ、農業に興味を持ったきっかけや野菜の面白さ、自然を相手にする厳しさなどについてもお話いただきました。
自然豊かな鶴川では、農に関心が高い方も多いそう。まずは好きな農場や農家を見つけることで、新鮮な野菜を買う習慣や、自分で育てることも続けやすくなるという視点が興味深く、これから農業に関わりたいと考えている方にも大きなヒントとなったのでは。

野菜は人が話をするきっかけになり、人と人を繋ぐことにも向いているというお話も印象的で、長岡さん自身も人と繋がりを持つことを大切にコミュニティづくりをされています。農のある暮らしに興味のある方は、「ハタケユライ」の活動もチェックしてみてください。
Instagram:@hatake_yurai

農作業に気軽に参加できるえんちゃん農場 提供:えんちゃん農場
また、前回に引き続きレクチャーの舞台を設計・設営してくださったのは、鶴川を拠点に建築や空間のデザインを行う設計事務所 toge togeです。
住宅の断熱材などで使用されるスタイロフォームと国産間伐材で構成しており、一度限りで廃棄せず別現場でも再利用できて、子どもたちが遊んでも怪我をしにくい素材で組まれたステージ。聞き手が話者との壁を感じてしまわないように、細やかな設計がなされています。
今回もたくさんの方々の力が集まって、笑顔や発見に満ちた一日となりました。

暮らしの喜びを見つけるヒントが詰まった一日
生活が楽しくなるアイテムを買ってみたり、身近なようで知らない世界の話を聞いてみたり、団地暮らしを楽しくするヒントを見つけるダンチホリデイ。一日を通して老若男女たくさんの方々が訪れ、会話が生まれ、人が集うことのパワーを感じられました。

小商いを始めやすい場や機会も増えてきており、今後がさらに楽しみな鶴川団地。次回のイベントもお楽しみに!

自在堂とは、「ほどき、澄ます」をコンセプトに、仏教とタイニーハウスを掛け合わせたマインドフルネスを体験できるリトリート宿坊です。
そんなこれまでにない体験を提供する施設に、YADOKARI編集部の二人が滞在。今回は複数ある施設のうちの一つ、自在堂南房総 妙福寺を訪ね、宿泊させていただきました。
今年の5月から、編集部として共に活動をするようになった二人。お仕事での関わりは増えてきているものの、仕事以外の時間に一緒に何かを体験したり、宿泊の機会を持つことは今回が初めて。
そんな2人はタイニーハウスの中でどんな時間を過ごし、どのような心持ちで2日間の滞在を終えたのでしょうか?
1泊2日の滞在体験の様子を、施設のオーナーである株式会社 百人組の松村さん、妙福寺の早島住職からお聞きした内容と共にお伝えします!

今回訪れた自在堂 南房総拠点は、東京から90分ほどでアクセス可能な場所でありながら、雄大な海に囲まれた自然豊かなエリアに位置します。施設から浜辺までは歩いていくことができ、宿坊のある広場から海が見えるほどの近さ。タイニーハウスならではのミニマルな時間だけでなく、海の近い暮らしを体験できるのも嬉しいポイントです!

海に面した道を車で走り自在堂に到着。まずはタブレットでチェックインを済ませます。
「リモートワークが普及してきている今だからこそ、『明日は天気が良さそうだから、自在堂で仕事をしようかな』そんな気持ちで、気軽にご利用いただきたいなと思っています。心が向いたときにいつでも来てもらえるように、無人チェックインを導入し、講座付きプランは2日前、素泊まりは前日の12時まで予約可能です」と松村さん。いつでも大歓迎なアットホームさが自在堂の魅力のひとつです。

タイニーハウスとは思えない大きなテーブル。2人でパソコンを広げても余裕なほど広々としていて、その快適さはもはやホテル以上!
チェックイン後は、パソコンを広げて各々の作業を進めます。ティーポットでお茶を淹れ、部屋に差し込む日の光を浴びながら、とても穏やかな気持ちで仕事に取り組めました。
普段は自宅で仕事をし、オンライン環境でコミュニケーションを取ることが多い私たち。小さな空間の中で一緒に作業をすることはとっても新鮮でした。
「実は今、こんな仕事をやっていて…」
「こんな表現はどうだろう?」
普段はなかなかすることない小話をしながらの作業。仕事の近況や小さな疑問を共有し、共に向き合いながら時間を過ごし、心がすっきり。タイニーハウスでの時間だからこその濃密な作業時間は、二人の間とそれぞれの心に優しい海風が吹くような心地のよさがありました。

住職さんのオススメをたよりに、まちとつながる散歩の時間
夕方からは、早島住職のおすすめがたくさん書かれたまち歩きマップを片手にまちをお散歩。海からほど近い妙福寺周辺は、心地の良い海風や、虫の声、ほっこりとする地域の人の暮らしの様子や、ここで愛され続けてきた地元の味に溢れています。普段の日常では感じることのない美味しそうな匂い、まちの人の声や、木々が揺れる音など、五感を使ってこの地域を味わいました。

まちの人から愛される地域のお豆腐屋さん。笑顔で迎えてくださいました

ここから富士山が見えるんだよ、と教えてくれた近所のおじいちゃん

夕飯の買い物を済ませ、あたりが少し暗くなってきた頃、早島住職もよく足を運んでいるという南無谷海岸に向かいました。刻一刻と移り変わる空の様子を、ただただ静かに眺め続けていました。
「こんなに広い海を見たのはいつ以来だろう」
「空って一色じゃないんだね」
そんな言葉をぽつりぽつりと発しながら、空と海の美しさに圧倒され、刻一刻と移り変わる空の様子を、ただただ静かに眺め続けていた私たち。自然の雄大さを目の前にして、自然と頭がからっぽになっていきました。
地元の食材を使った料理で「いま・ここ・私」に意識を向ける夕食の時間

その後は夕飯の時間。タイニーハウスの中には、二人で立って料理ができるほどのキッチンがあるので、何不自由なく料理が楽しめます。私たちは、散歩時に訪れたお豆腐屋さんの揚げ豆腐や、地元の新鮮なお魚を調達し、ここでしか食べられない料理で一日の最後を彩りました。
食卓にあるのは美味しい料理と私たちだけ。そんなミニマルな時間だからこそ、いつも以上に味わって食べることができたような気がします。
自分たちの足で食材を探し、会話を重ねながら作った、この場所で私たちしか味わうことのできない特別な料理。高級レストランとはまた違う、あたたかみのある非日常的な食事が、背負っていた肩書きや力み、抱えていた様々なことから私たちを解き放ってくれました。
そんな身も心もほどかれ、ありのままの姿で向き合う私たちだからこそ、伝え合えること、見せ合えるお互いの姿、流れる時間があったように思います。気づけば、あっという間に深夜に。明日の支度をし、快適な眠りに落ちました。

朗らかな心で、仏教の教えを学ぶ2日目
2日目のスタートは朝6:00。お寺での朝のお勤めからスタートです。
朝のお勤めとは、一日の始まりに、お経をよみ、心を清め、慈悲心や謙虚さを養う時間のこと。お寺の中でお経を読むという初めての体験はとても新鮮で、身が引き締まりました。
その後は、早島住職によるマインドフルネス講座を受講。
ブッダの教え、「いま、ここ、わたし」に気づきを向けるマインドフルネスの大切さを、瞑想を体験しながら学びます。
身体をほぐし、呼吸に集中しながら3分間の瞑想を行う時間は、五感が研ぎ澄まされるようなこれまでにない不思議な感覚と、普段の日常では味わえない心地よさを覚えました。

お写真左から松村さん、早島住職
講座後は、松村さんも交えて、対話の時間を過ごしました。ミニマルな暮らしと仏教のつながり、タイニーハウスを活用した理由についてお話を伺いました。
「実は、仏教もミニマルであることの豊かさを大切にしているんです」と松村さん。
仏道修行では、無駄のないミニマルな空間に身を置けば、感覚が研ぎ澄まされて、さまざまな繋がりの中で、さまざまな恵みをもらって生きていることに気づくことができると考えられてきたそうです。
そんな仏教におけるミニマリズムは、古くから言い伝えられてきた「立って半畳、寝て一畳」という言葉や、江戸時代後期、人々から愛され続けていた僧侶、良寛が五合庵という小さな家に住んでいたというエピソードからも分かります。
続いて早島住職からは、タイニーハウスと仏教を掛け合わせることの価値について、こんなお話もーー。
「感覚を研ぎ澄まし、視界を明晰にしていくことは、仏教が特に大切にしていることの1つです。私たちは、 職場や家庭など、場面や立場に合わせて異なる仮面を付けて他者と接していますよね。
こうしてどんどん付け替え続けているうちに、仮面を外した本来の自分の姿を見失ってしまう。五感も鈍っていくので、身の回りのある美しいものや、自分にとって必要なものに気づくことができず、生きる力が失われていってしまうんです。
そんな仮面を外し、本来の姿に戻る時間を提供するのにふさわしい空間がこのタイニーハウス。
何でも揃っている空間だと、次はこういうものが欲しいという欲が増えていくばかりですが、限られているからこそ、この環境でどう楽しんだらいいのかと考えることを楽しめるようになり、自分自身に意識を向ける時間が増えると思っています」
宿坊への宿泊や仏教そのものへの親しみがあまりなかった私たちですが、仕事をする中で日々向き合い続けている「豊かな暮らし」、そして「タイニーハウス」への新たな視点を学ばせていただきました。
そして、私たちが日々の暮らしで感じていること、ここで得られた気づきについても耳を傾け、対話をしてくださった松村さん、早島住職との時間はとてもあたたかく、忘れることのできない貴重な時間となりました。

タイニーハウスの中の本棚には、仏教にまつわる本も
自在堂で始まる、大切なことと共にある豊かな暮らし
あっという間に2日間の滞在が終了。
自在堂での体験を終え、ありのままの心や体の状態を取り戻した私たち。だんだんと心がほどかれ、「今・ここ・私」に心を向けるようになるまでの心身の変化の様子を、身をもって体感したからこそ、私たちはこれからどんな場所に身を置いたとしても、この状態にまた帰ってくることができる、そんな確信と安心感を経て、その場をあとにしました。
帰りの車の中では、前日に話したやってみたい企画や目標をどう実現できるのか、お互いにワクワクしながら話し合ったり、これまでの人生のことを語り合い、共通の友人や、趣味が見つかることもーー。帰宅までの時間も大切な思い出です。
「ほどき、澄ます」
自在堂でのリトリートは、ただ、ここに身を置く数日間を特別なものにするものではありません。これからの自分の人生の足取りをもっと軽やかに、そして豊かなものにするために大切なことを教えてくれる場所なのです。
皆さんも是非一度、大切な方と訪れてみてはいかがでしょうか。ご自身の中にある大切なものに気づき、あなたらしい豊かな暮らしがきっと始まるはずです。
▼自在堂の詳細・ご予約はこちら
https://jizaido.jp/
ロサンゼルスのノースハリウッドに位置する「Whitsett West Tiny Home Village(ウィットセット・ウエスト・タイニーホーム・ビレッジ)」は、ホームレス問題に取り組む新たなモデルとして注目を集めている。このプロジェクトは、都市の未利用地を活用してホームレスの人々に一時的な住居を提供するものだ。狭い土地を最大限に活用し、150人の住民を収容可能な77ユニットで構成されたこの村は、単なる住居の提供を超えたデザインの可能性を示している。
ウィットセット・ウエストの設計は、建築とデザインが持つ治癒力を強調している。8フィート×8フィート(約2.4m四方)の各ユニットは、現場で迅速に組み立てられる仕組みで、白を基調としたユニットには、鮮やかな色彩が施され、視覚的な楽しさと安心感を与えている。また、村の配置には工夫が凝らされており、各ユニットは共用スペースを中心に配置され、住民同士の交流を促進。さらに、高速道路の騒音を遮断するための防音壁が設置されるなど、住民の快適性を徹底的に考慮した設計がなされている。これにより、村全体が「ただの一時的な住まい」ではなく、住民にとって安心できる拠点となっているのだ。
ウィットセット・ウエストは単なる住宅提供ではなく、包括的な支援を行う社会的インフラとして機能する。電気や下水、給水などの基本インフラが整備されているのはもちろんのこと、衛生設備や共用の食事エリア、収納スペースなども完備され、ホームレスの人々が人間らしい生活を取り戻す第一歩を支えている。
さらに、市や非営利団体と連携し、住民が恒久的な住居を見つけるための支援も行う。これまでの事例では、タイニーホームビレッジの住民の約3分の1が恒久的な住まいを確保することに成功しており、その効果が実証されている。
このプロジェクトは、都市の未利用地を再活用する優れたモデルケースでもある。ロサンゼルス市との4回目のコラボレーションとなるウィットセット・ウエストは、過去7カ月間で建設された3つのタイニーホームビレッジに続く成功例であり、さらに8つのビレッジの建設が計画されているという。こうした取り組みは、建築が単に空間を作るだけでなく、社会問題を解決する手段となり得ることを示している。
Whitsett West Tiny Home Villageは、建築とデザインの視点からホームレス問題にアプローチした成功例だ。住民にとって魅力的な居住空間を提供するだけでなく、コミュニティ形成を促進し、社会全体が問題解決に向けて協力するきっかけを作っている。デザインが人々の生活を豊かにし、社会全体にポジティブな影響を与える姿勢を体現するこの小さな村は、現代建築の新たな指針となるに違いない。
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2010年から2022年の間にアイルランドの家賃は84%も上昇しているという。
それに反比例して出生率は2012年から2022年にかけて20%低下しており、経済的な理由から子どもを持つことを先送りする傾向さえ見られる。特に低所得層や若者にとって、持続可能で手頃な住居は切実なニーズだ。
深刻化する住宅危機への新たな解決策として、社会的企業「Common Knowledge」が設計した低炭素マイクロホーム「ティギン・タイニーホームズ」に注目しよう。この20平方メートルの小型住宅は、再生可能な自然素材を活用し、環境負荷を最小限に抑えながら手頃な住まいを提供しているのだとう。
ティギン・タイニーホームズは、コルゲートヘンプパネル、コルク断熱材、天然ゴムのリノリウムタイルなど、再生可能な素材を使用して構築されている。これにより、断熱性が向上し、エネルギー効率を高めながら温室効果ガス排出を削減。さらに、自然光を最大限に取り入れる大きな窓やエコトイレを装備することで、居住者に快適なライフスタイルを提供する。内部は2層構造で、下層にはキッチン、シャワー、作業スペース、折りたたみ式ベンチ(ベッドとして使用可能)を配置。上層にはロフトベッドを設け、限られた空間を有効活用している。
Common Knowledgeは、単に住宅を提供するだけでなく、自分で建設できるスキルを教えるワークショップを開催していることも特筆に値する。これまでに200人以上が参加し、自らのタイニーハウスを建てる方法を習得。さらに、設計図をオープンソース化する計画も進行中で、誰もがアクセス可能なDIY住宅モデルの普及を目指している。基本価格は55,000ユーロ(約860万円)と、従来の住宅市場に比べて手頃な設定で、賃貸市場から脱却したい人々にとって魅力的な選択肢となっている。また、軽量で移動可能な設計により、居住者は自由なライフスタイルを追求できる点も魅力だ。
ティギン・タイニーホームズは、アイルランドの住宅危機に対する持続可能な解決策としてだけでなく、環境にも優しい建築の新しいモデルを示す。このプロジェクトが広がることで、より多くの人々が自らの住まいを持つ喜びを手にし、経済的自由を得ることができ、さらには環境負荷さえも低減できるのだ。小さな住まいの可能性は図り知れないほど大きい。
若者も含め、誰もがアクセス可能なDIYのタイニーハウス。
そんな仕組みがあるとしたら、従来の賃貸を手放して、自分だけのための小さな住まいを選ぶ人はきっと少なくないだろう。
via: dezeen.com
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タイニーハウスを建てるときに気にしておきたいのが「土地」の問題。
タイニーハウスは小さく自由な住まいの象徴ですが、建設に適した土地選びが重要です。
今回は、タイニーハウスを検討する方に向け、土地に関する基本情報や注意点を解説します。
タイニーハウスを建てる前に知っておきたい「土地」のルール
タイニーハウスを設置する土地を選ぶ際、以下の2つのポイントがカギになります。
-
用途地域
「用途地域」は土地の利用方法を行政が定めたもの。用途は「住居地域」「商業地域」などに分けられ、それぞれ建てる建物の大きさや用途が決められています。この中で注意したいのが「工業専用地域」と「農地」指定がされている土地で、土地を買っても基本的には家を建てることは不可能です。
また、防火地域・準防火地域に指定されている地域では、基準に沿った防火対策を家に施さなければいけません。
-
建築確認申請
家を新築するときに必要な申請で、建物の床面積が10平米を超える場合は自治体に申請を行う必要があります。
確認申請は工務店などを通して行い、その費用は20〜30万円ほど。
建物を新築する場合、基本的には確認申請が必要になりますが、以下のケースでは申請が不必要になることもあります。

タイニーハウスを建てる際の確認申請が不要となる場合
タイニーハウスを建築する際、多くの場合は建築確認申請が必要です。しかし、特定の条件を満たすと申請が不要になるケースもあります。
1. 建物の床面積が10㎡以内の場合
建築基準法では、床面積が10㎡以下の小規模な建物は確認申請が不要とされています。注意点としては、母屋とは別の敷地に新築する場合、用途地域や自治体のルールにより例外があるため、事前確認が必須です。
2. 母屋の敷地内に建築する場合
母屋(既存の建物)の敷地内に10㎡以下のタイニーハウスを建てる場合、確認申請が不要になることがあります。ただし母屋の用途や建築基準が影響する場合もあるため、専門家や自治体との相談をおすすめします。
3. 防火地域・準防火地域以外の場合
タイニーハウスを防火地域や準防火地域外の土地に建設する場合、一定の条件下で確認申請が不要となることがあります。ただし、防火基準を満たさない建物を建てる場合は、例外なく申請が必要です。
4. シャーシ付きトレーラーハウスの場合
タイニーハウスをシャーシ(車輪付き台車)の上に設置する場合、建築物ではなく車両として扱われることが多く、確認申請が不要になります。注意点としては、土地の用途制限を受けない一方で、車両としての税金や規制が発生する場合があります。
上記の条件に当てはまっていても、自治体のルールで違反になってしまうこともあり、違反していた場合は処罰の対象になってしまうため、必ず自治体に確認したうえで家を建てましょう。
タイニーハウスで土地購入のときに注意したいこと

via:②
- アクセス性
タイニーハウスを運搬するには、十分な道幅が必要です。狭い道では搬入できない場合があるため、事前に確認しましょう。
- 費用
都市部の土地は高額になるため、郊外や地方の土地が費用を抑える鍵。タイニーハウスの魅力を生かすには、土地代も慎重に検討する必要があります。
タイニーハウスビレッジという新たな可能性
土地を選ぶ際に、やはり気になるのは価格です。
利便性を考えるとやはり都市部に建てたいものですが、土地の価格が高くなってしまいます。本体価格が安いタイニーハウスですが、土地代が高くついてしまっては、せっかくのメリットも目減りしてしまうでしょう。
費用を抑えてタイニーハウスに住むためには、現状、郊外や地方の土地を手にいれることがベストな選択肢ですが、海外には「タイニーハウスビレッジ」という異なる選択肢があります。

via:③
これは、土地を個人または団体が購入して、月額でタイニーハウスが停められる土地を提供する村のようなもの。
土地を借りることでタイニーハウスのオーナーは負担が減りますし、近くに人が住むことで、家の修復や子育てなどの助け合いも可能です。
また、母屋に水回りやたまにしか使わないものをまとめシェアできる、という合理性もあります。
数多くの若い人たちやファミリー世代が都心に近い場所に住み、タイニーハウスで暮らせる。そんな選択肢が現実になれば、新しい生き方も選びやすくなるのではないでしょうか。
【画像引用】
①②③:tumbleweedhouses.com
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【WHAT IS TINY トレーラーハウスを買う前に、読んでおきたい記事一覧】
◎トレーラーハウスとは?種類や価格、使用用途、メリット・デメリットなど
◎小さくて豊かな暮らしのベース、タイニーハウスとは?
◎数百万円から買える家、タイニーハウスの価格とは?
◎タイニーハウスと土地選びの基礎知識:失敗しないためのポイント
◎トイレ・シャワー付きトレーラーハウス|価格や間取り、実際の商品を紹介
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◎トレーラーハウスで宿泊施設を開業するメリット・デメリットとは?法律上の注意点も交えてご紹介!
◎トレーラーハウスで飲食店を開業するメリットは?キッチンカーとの比較も踏まえてご紹介
◎【節税対策に!】トレーラーハウスを事務所・オフィスに導入することのメリットとは?
トレーラーハウス購入を検討中の方へ—後悔しないために知っておきたいデメリット
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2024年10月16日(水)〜18日(金)の3日間、東京ビッグサイト南展示場において『東京トレーラーハウスショー2024』が開催されました!
様々な会社が出展する中、YADOKARIはこれまでの展示会で最多、4モデルをご用意し皆さまをお迎え。昨年に続く今回の出展にワクワクしながらYADOKARIメンバーみんなで迎えたイベントに、YADOKARIライターもお邪魔させていただきました。
昨年とはひと味違う!トレーラーハウスムーブメントの盛り上がりを肌で感じた展示会の様子をレポートします。
YADOKARIからは4つのモデルが!様々なトレーラーハウスが大集合!


会場には、様々な姿形をしたユニークなトレーラーハウスが集結。イベントや屋外スペースで活躍する休憩スペースやトイレブースとしてのトレーラー、お洒落な形をしたサウナトレーラーなどが展示され、各出展社のブースでは活発な商談が行われていました。

左上:Tinys INSPIRATION 標準モデル 右上:MIGRA 寒冷地モデル 左下:ROADIE 標準モデル 左下:ROADIE mini
今回、YADOKARIが出展したのは、「MIGRA 寒冷地モデル」、「ROADIE 標準モデル」、「ROADIE mini」、「Tinys INSPIRATION 標準モデル」の計4つ。それぞれに違った味わいがあるモデルです。

こちらは先月から販売をスタートしたばかりのオリジナルトレーラーハウスMIGRA 寒冷地モデルです。今回のトレーラーハウスショーが初めてのお披露目となりました。YADOKARI初の木造トレーラーハウスであるMIGRA。深いグリーンの色と木の風合いで他にない雰囲気と開放感のある高い天井高の室内に、たくさんの方が足を止めて見学をしてくださいました。

YADOKARI 遠藤「去年は、トレーラーハウスに馴染みのない方や、興味を持ってくださったばかりの方が多かったのですが、今年はすでにトレーラーハウスのことをよく知ってくださっていて、実物を見ながら前向きに検討してくださる方が大変多くいらっしゃいました。トレーラーハウスの認知度がとても上がっていることを感じ、とても嬉しいです!」

キャンプ場やイベントに最適なトレーラーハウス ROADIE (税前798万円~)
こちらは、赤い三角屋根がトレードマークのROADIE 標準モデル。本当のお家のようなあたたかさや 明るさがあり、見ているだけでもワクワクするデザインですよね。
「これも動かせるの?」、「これもいいなあ」そんなお声と共に、たくさんの方が集まってくださっていました。

従来の住宅のような質感を持つROADIEですが、他社のトレーラーハウスと比較してもお手頃な価格設定であることに、驚かれていたお客様も多かったようです。
YADOKARI遠藤「今回の展示会では、「どうしてこんなに安いの?」と声をかけてくださる方も多くいらっしゃいました。YADOKARIのタイニーハウスは、土台となるシャーシから上物まで一貫して国内の提携工場で制作を行っているため、他よりお安い価格でお求めいただけるのが魅力の一つです!」

牽引免許不要でお手軽なROADIE mini(税前290万円〜)

様々なバリエーションを取り揃えたTinys INSPIRATIONモデル(税前370万円〜)
そして、ROADIE mini、Tinys INSPIRATION 標準モデルの展示も。それぞれ独自の魅力を持ったトレーラーハウスを眺めながら「こんな空間をつくりたい」、「このトレーラーハウスを使って、今持っている土地や環境でどんなことができるだろう?」などと、つくり出したい空間や想いを楽しそうに話していらっしゃるお客様の姿がとっても印象的でした。
実物を見たからこそ、思いつくアイディアや湧き起こるインスピレーションとの出会いがあったのではないでしょうか。

YADOKARI齊藤「昨年と比較して、今年は防災や緊急時に活用することを想定されている方も多かったように思います。
太陽光パネルやコンポストトイレ、蓄電池の搭載など、オフグリッド仕様にするにはどうしたらよいかとご相談いただくことが多く、こちらもお話をしていてとても楽しかったですし、皆さまから新しい視点やニーズをお聞きすることができ、私自身もたくさん学ばせていただきました。」
トレーラーハウス事業の未来を、皆さんと共に考える時間に

そして最終日の10/18(金)、セミナー会場ではトークセミナーが開催され、YADOKARI共同代表の上杉がゲストスピーカーとして登壇しました!セミナーのテーマは、タイニーハウスを活用した暮らしの可能性やタイニーハウスの未来について。
トレーラーハウスの所有にご関心をお持ちの方から、トレーラーハウス事業に新たに挑戦されたい方々までたくさんの方と共に、可動産を活用することの可能性について紐解く時間となりました。その様子も少しご紹介いたします。
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「人口減少や単身世帯の増加により、空き家が全体の30%を占め、自分の家の隣のどちらかが空き家になる。これからわずか6年後の2030年には、そんな未来の訪れが予想されています。
その一方で、コロナ禍によるテレワークの増加、オフラインとオンラインの両方のコミュニティに属することが当たり前のようになっている現在は、私たちの住む場所、働きかたにも多様な変化が生まれる変革期。そんな今だからこそ可動産には新たな可能性やビジネスチャンスがあるのではないでしょうか。」
そんな言葉を語りかけながらセミナーをスタートさせた上杉。お集まりいただいた皆さまも、真剣な面持ちでした。その後は、世界のトレーラーハウス事情や日本におけるトレーラーハウス事業の風潮について、トークが進んでいきます。

まず紹介されたのは、世界のタイニーハウス事情。
スウェーデンのフラットパック化されたタイニーハウス「Mini House」や、デンマ-クなどの欧州地域で広まる、広い庭や農地の付随した一時居住用の別荘「コロニへーヴ」、アメリカのトレーラーハウスムーブメントの最中、ミニマルな暮らしに心地よさを覚え、小さなトレーラーハウスに暮らすメジャーリーガー トロント・ブルージェイズさんの姿などが会場に映し出され、世界の様々な活用の様子が説明されました。
欧米では、トレーラーハウスやミニマルな暮らしが当たり前に活用されている一方で、日本でもそのような動きが少しずつ見られるようになっているのだそう。続けて現在の日本の風潮についても上杉から言及が。
「実際にこのような動きは日本国内でも少しずつ見られるようになってきているんです。軽井沢などの自然の豊かな気持ちのよい場所で、3家族でトレーラーハウスをシェアしたい。山梨県の湖の近くなど都心からのアクセスも良い自然豊かなエリアで、レンタルやリースでトレーラーハウスを活用させてもらえないか。そんな法人様からのお声もいただいて。
様々な場所への移動が簡単にでき、自然災害や金融危機などの社会を揺さぶる事象を多くの人々が経験している今、先進国では、豊かさとは何か、これからの幸せな時間、ライフスタイルとはどんなものなのか、そういったことを見つめ直す動きが世界中、日本国内においても同時多発的的に叫ばれていることを感じます。」
そして、これからトレーラーハウスを活用した事業に挑戦されたいとの想いで参加されていた方が半数を占めていた今回のセミナー。上杉からは、現在トレーラーハウスと掛け合わせた事業を活発に展開している領域についての説明もーー。

「今注目が集まるのは、オフグリッド。太陽光パネルや蓄電池、 汚水を回すような仕組みを搭載したトレーラーは世界的なトレンドとなっています。
自動運転などのテック系の技術が発展している今、コミュニティをどのように醸成していくかということは大きな課題です。弊社の売り上げの半数を占める法人顧客の需要では、遊休地や市街化調整区域、Park- PFIなどの建築物を簡単に建てることの難しいエリアとトレーラーハウスを掛け合わせ、ホテルなどの施設として活用するケースも増えてきていてーー。」
YADOKARIがこれまでに携わってきた事例を参照しながら、現在の日本国内におけるトレーラーハウス事業の風潮について説明されていきました。
そして最後には、YADOKARIが考える、可動産の潜在的ニーズがありそうな領域についての紹介も。
「お試し移住など人の流入を目指す地方自治体に向けての地域創生事業や、郊外都市での潜在的ニーズを図る実証実験、待機児童を抱える地域での保育園や学童の増設など、トレーラーハウスを掛け合わせることによって生まれる新たなビジネスチャンス、そして社会課題の解決にも貢献できるのではないでしょうか。
ぜひ我々と一緒に、トレーラーハウス事業を盛り上げていただけると大変嬉しく思います」と呼びかけ、1時間のセミナーは終了。
中にはメモを取りながら聞いていらっしゃる方も多く、終了後も、参加してくださった方々同士の挨拶や名刺交換が活発に行われていた今回のセミナー。トレーラーハウスに対するみなさんの関心、熱意が感じられる、アツい雰囲気がありました!
トレーラーハウスのこれまでの風潮とこれからを知っていただくと共に、ご自身のご関心やお悩みとトレーラーハウスを掛け合わせることによってどんな新しい暮らしや世界が誕生するのか、参加してくださった皆さんが一緒に考えながら、ワクワクしていただける時間になったのではないでしょうか。

セミナー終了後には、セミナーに参加いただいた多くの方々がYADOKARIブースにお越しくださいました。
そこで見られたのは、セカンドハウスとして、友人とシェアする別荘として、さらには新しいビジネスとしてなど、新しい暮らしをYADOKARIメンバーとお越しいただいた皆さまが一緒に考える、とても素敵な瞬間の数々。


3日間の開催となりましたが、終始お客様は尽きることなく、とてもあたたかなイベントとなりました。お越しいただいた皆さま、ありがとうございました!
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場所に縛られない移動可能な住まいの中には、陸の上だけでなく、海や湖などの水の上を移動しているものがあることをご存知だろうか?
今回はそんな水上の住まいのひとつ、ドイツで誕生した「Fàng Sōng 放松」をご紹介しよう。
「Fàng Sōng 放松」は、太陽光発電のモーターボートを改造して作られた小さな家だ。全長15メートル、幅4メートル強のサイズで、水上をゆっくり移動しながらプライベート空間を提供する。この「水上の家」は、家族や友人とリラックスするための場として活用されていて、移動可能なライフスタイルの象徴となっている。
多機能でコンパクトな空間設計
このボートは、多機能でコンパクトな設計が特徴だ。各空間が複数の役割を果たすよう工夫され、例えばベッドは完全に収納可能。操舵設備を隠すことで家庭的な雰囲気を作り出している。さらに、キッチンにはポップアップテーブルがあり、収納には折りたたみ式デスクも内蔵されている。これにより、仕事やリラックスのどちらにも対応できる空間になっている。

via: archdaily.com
持続可能なエネルギーで心地よい生活を実現
持続可能性にも力を入れている。ソーラーパネルで発電し、晴天時には完全自給自足が可能。1日あたり約50kmの航行ができる。暖房には再生可能エネルギーを使ったペレットストーブを採用していて、アプリでの遠隔操作も可能だ。将来的には、水の浄化システムや生物学的下水処理ユニットも導入予定で、年間を通して快適に利用できるようになる。
世界に一つだけのカスタマイズ空間
外観から内装まで、オーナーの好みに合わせて自由にカスタマイズできる。色使いや素材選びにも個性が反映されていて、地元の熟練大工と協力して細部までこだわった仕上がりになっている。バーチャルプロジェクト管理を活用することで、遠隔地でも高品質な制作プロセスを実現している。
都市と自然を繋ぐ、水上の新しい暮らし
この「水上の家」は、都市生活の一部として機能しながら、所有物に縛られずに自由で質の高い暮らしを提案する。都市と自然を行き来できるこの家は、柔軟で持続可能な生き方を目指す未来の居住形態として注目されているのだ。
via: archdaily.com
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【WHAT IS TINY トレーラーハウスを買う前に、読んでおきたい記事一覧】
◎小さくてかな暮らしのベース、タイニーハウスとは?
◎【タイニーハウス】マイクロハウスやトレーラーハウスなど、日本で買える小さな家の種類とは?
◎数百万円から買える家、タイニーハウスの価格とは?
◎タイニーハウス・トレーラーハウス、トイレやお風呂はどうするの?必要な設備について
◎タイニーハウスを建てる「土地」、買う前に知っておきたい2つのキーワード
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【海外事例】多面体デザインの広い空間。オーストラリアのトレーラーハウス「Base Cabin」
【海外事例】遊ぶ子供を見ながら仕事。建築家が裏庭につくったタイニーハウス
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Adraga Tiny Houseは、セカンドライフを自然の中で過ごすことを決めた夫婦のために作られたトレーラーハウス。T.O.W Adragaが手掛けたこの空間は、同社の他のラインナップとは異なり、オフグリッドシステムを使用せず、より広い空間を提供することにこだわりながら作られたのだそう。
慎重な調査とデザインが行われたその結果、大きな入口空間、大きなバスルーム、2階の寝室へ続く階段を備えた開放的な家が完成した。中を覗いてみよう。
夫婦のために作られた唯一無二のデザイン
Adraga Tiny Houseは、シンプルでありながらも広々とした空間を持つデザインが特徴だ。設計の鍵となったのは、スペースを効果的に配置し、夫婦が快適に過ごせる環境を作り出すこと。写真を見てお分かりいただけるように、入口の広さやバスルームの配置、2階へのアクセスなど、機能的でありながら美しい空間が広がっている。
ピボットドアが演出する開放感と美しさ
特に注目すべきは、中央に位置するピボットドア。このピボットドアは、家のデザインにおいて重要な役割を果たしており、このドアは回転することで、広々とした開口部を提供し、室内外の移動をスムーズにする。この住まいにおいてこのピボットドアのデザインは、住宅全体の洗練された美学に調和し、実用性と美しさを兼ね備えた大切な要素となっている。
自然の光を取り込むスカイウィンドウ
スカイウィンドウも、この家の大きな特徴だ。室内に自然光を多く取り入れるために設計されたこの天窓を通して空を眺めることができ、室内に開放感を与えている。
この設計は、自然の中で過ごすために重要な要素であり、外の景色と一体感を感じさせてくれる。さらに昼間は自然光を最大限に利用できるため、エネルギー効率も向上するのだという。窓から差し込む自然の光が、二人の日々を照らしてくれることだろう。
機能的で美しいデザインに基づいて作られたAdraga Tiny House。ピボットドアやスカイウィンドウといった特徴的なデザインが、室内に広がりと開放感をもたらし、二人の穏やかな日々を彩り続けてくれるに違いない。自然との調和を保ちながら、現代的な美しさや快適さも兼ね備えた理想的なトレーラーハウスだ。
via: archdaily.com
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株式会社KOU代表取締役の中村真広さんをお迎えし、YADOKARI共同代表のさわだいっせいが生き方のコアに迫る対談。後編では、ツクルバ退任後の中村さんの藤野移住と新たな生き方への挑戦、「虫村(バグソン)」で実現したい世界や、ロールモデルとする空海について語り合う。
前編はこちら>>

中村さんが相模原市藤野で進めている、循環型の暮らしのコミュニティ「虫村(バグソン)」プロジェクト。敷地内にこの春完成したオフグリッド仕様の建物で対談を行った。雨水タンクやコンポストトイレなどを備え、屋根と一体化したソーラーパネルで発電した電力はテスラの蓄電池に貯めて室内からICTで管理できる。
中村真広|株式会社KOU 代表取締役(写真右)
千葉県千葉市出身。東京工業大学大学院建築学専攻修了。不動産ディベロッパー、ミュージアムデザイン事務所、環境系NPOを経て、2011年に村上浩輝氏と株式会社ツクルバを創業、19年に上場を果たす。18年、KOUを設立。21年8月にツクルバ共同代表を退き、取締役を経て退任。神奈川県相模原市藤野に移住し、感謝経済で回る未来の集落「虫村」づくりに挑む。著書に『場のデザインを仕事にする』(学芸出版社)、『自分とつながる、チームとつながる。:エモーショナルなつながりがつくる幸せな働き方』(アキラ出版)他。
さわだいっせい|YADOKARI 代表取締役 / Co-founder(写真左)
兵庫県姫路市出身。10代でミュージシャンを目指して上京し、破壊と再生を繰り返しながら前進してきたアーティストであり経営者。IT企業でのデザイナー時代に上杉勢太と出会い、2013年、YADOKARIを共同創業。YADOKARI文化圏のカルチャー醸成の責任者として、新しい世界を創るべくメンバーや関係者へ愛と磁場を発し続ける。自身の進化がYADOKARIの進化に直結するため、メンターとなる人に会うことを惜しまない。逗子の海近のスモールハウスをYADOKARIで設計し居住中。

第二子誕生と藤野への移住。人生を変えよう
さわだ: ツクルバからの卒業と、藤野への移住は同じ時期だったんですか?
中村さん(以下敬称略): 共同代表を降りたタイミングで、第二子が生まれて、藤野への引越しも決まりました。2021年の夏の出来事ですね。
僕自身が数年前から東京以外のフロンティアを求め始めて藤野を見つけ、虫村プロジェクトが始まり、ツクルバとの関わり方も見つめ直そうと思ったら、全部がたたみかけるように重なって。だからガラッと人生変えるぞって決意して。
さわだ: 虫村と今の仕事はどのように重なるんですか?
中村: やりたいことの一つがリトリートのようなものです。経営合宿などでここへ来てくれる人に、夜は焚き火を囲んでチームビルディングをするとか、そんな場所として使ってほしい。時には僕もそこへ入ってファシリテーションしたり。そういうコミュニケーションや対話のサポートをオンラインサービス化しているのがKOUだったりもするんです。
それと、僕がツクルバの役員からも完全に退いたタイミングで、ツクルバのcowcamo以外のいくつかの事業をBa & Co Inc. という会社にして、買い取ったんですが、そこでやっている地域での場づくり事業と虫村もテーマがリンクしていくかもしれないですね。僕はローカルな起業塾などにも関わらせていただいてるんですが、地域の活動の中でいかにアクションを産んでいくのかというようなテーマについては、僕がここに暮らしながら実践していることをBa & Co Inc.にも還元できると言えます。
虫村は「結界」を張る行為
さわだ: ご自身の会社を上場したり、バイアウトしたりした方が、地方に広い土地を買ったりして、ある種の共同体というか、ヴィレッジをつくるケースが出てきているように思います。資本主義社会をある程度生き切った人は、まためちゃくちゃ稼いで…ということをやっても幸せが比例して増えていくわけではないと気づき、いかに自分の半径50m圏内に平和をつくっていくか、守れる人たちを増やしていくか、みたいなことを考え始めるのかなと。そのツールとして、オフグリッドなど、何か危機が起きても独立して生きていける仕組みを導入していると感じています。
この虫村は、どんなテーマに挑戦しているんですか?
中村: 僕はヴィレッジづくりはある意味、「結界」を張る行為だと思うんです。ある人に「中村さんが空海をロールモデルにするのは納得感がある」と言われたことがあるんですね。
高野山はその一帯が、結界の中にある。密教の修行に適するとして、空海が山の奥にある高野山を選んだといいます。世俗から離れて、コミュニティをつくりやすく、修行には最適な環境だったんでしょう。「虫村も大きなパワーを投下してここだけの独自の世界をつくるわけですから、ある種の結界を張る行為ですよね」と言われ、なるほどと思ったんですよ。
資本主義のワンルールで全てが染め上がっている世の中に、結界を張る人が何人増えるかで、けっこう面白い世界がつくれるんじゃないかと思っていて。だから僕は虫村でそれに挑戦しようと。同じようにこのアイデアが面白いと思う起業家は、お金持ったら結界を張るといいと思うんです。

さわだ: すごく共感します。その結界を張る中で、思想としてはどんなことを大事にしてるんでしょう?
中村: せっかく結界を張るのなら、結界を張っていない一般社会ではできないことをして「特異点」、つまりは「バグ」をつくりたい。そのために何を掛け合わせられるかというのがここでの実験です。例えば、インフラに接続しなくても自立して生きられる状態をつくるというのも「バグ」だし、ここにはいわゆる「商品」が一つも無いんですけど、貨幣経済・交換経済ではない社会をつくるというのも「バグ」です。子育ての観点でも、近いうちに我が家の並びに3世帯が暮らせる長屋を建てようと思ってるんですが、都心で核家族で子育てするのって本当に無理があるので、ここで僕らも合わせて4家族が拡張家族みたいなつながりの中で子育てを共有するというのも、現代においては「バグ」だと思います。
そういうバグがいくつもレイヤー状になっている。それが僕の「結界の張り方」です。外ではあるかもしれないけど、ここには無いもの。逆にここにはあるけど、外には無いもの。そういう裏返しをいかにつくれるか。たぶん人によっていろんな結界の張り方があると思うので、それらがコントラストをつくり出していくことがまた面白いと思います。

生まれた瞬間から商品化させられる世界を回避する
さわだ: 中村さんが挑戦しようとしていることは、資本主義の終焉とかアップデートみたいなものの流れの中に位置づけられる気がしているんですが、そういう視点もあったりしますか?
中村: 僕は資本主義自体に善も悪もないと思ってます。「成長させなければならない」という力学が働いているのが資本主義の仕組みではありますが、大きな規模でお金を預かって資産運用をしているような投資家には非常に徳の高い方も多くて、儲かればいいということではなく、ちゃんとこれからの社会をつくっていってくれそうな人たちに資金を出すというのが基本的な考え方なんですよね。そういうマインドで投じたお金であれば、社会を良くするために必要な所へ流れていく。それは資本主義の良い面ですし、規制することでもないと思います。
ただ、そのシステムが右肩上がりの経済成長を追う「磁場」を生み出し、それが社会全体へ影響していると思います。また、意図せずして全てのものが「商品化」していってしまうというのも資本主義の特徴だと思います。人の労働も、労働力として交換経済の中に埋め込まれていくと、つまりは自分の人生すらも商品化していくことになるので、この世に生まれた時点で自分の商品価値はいくらなのか、いくらで自分の人生を売るのかという世界に突入しちゃってるのが危険だと思うんですよね。
世界が資本主義一色で染まっていくのをうまく回避できるような、オルタナティブな結界ゾーンが世の中にたくさんあった方がいいんじゃないかと思っているんです。

中村: 資本主義の追い風を利用して伸ばせる事業や領域はそうすればいいと思いますが、その期待値に乗れないものは、うまく距離を取った方がいい場合もある。資本主義に乗れないものには価値がないというわけではなく、別の価値があり、それはそれで重要なんです。虫村の裏山なんかまさにそうですよね。あの森の木を誰も切らないのは、商品価値として現在の資本主義市場で釣り合わないのが主な理由だけど、グローバルコモンズや地球環境の視点から森を見るなら適切に切った方が良い。その矛盾が危険だと思うんですよね。
だから、虫村で商品が存在しない世界をつくってみたらどうなるだろう?という実験をしている。答えはまだ分かりませんが、全てが資本主義に飲み込まれた世界から少し距離を取れる方がいいと思って、藤野でやっているんです。
さわだ: なるほど、すごくしっくり来ます。
中村: 僕は裏山を少しずつ個人的に買い取り続けていて、その森の保全活動の一環で地元の福祉作業所の方たちとの関わりも始まったりしているんですよ。今後は賛同者を集めて、虫村の思いを一緒に耕していくこともできるんじゃないかと思っています。

統合者としてパラレルワールドで生きる
さわだ: 中村さんは、資本主義が終わっていきつつ、感謝経済のような新たなイズムが台頭してくる、みたいなことを主張したいわけではなくて、両方が共存していける世界が心地いいんじゃないかという感じですか?
中村: まさに。パラレルワールドみたいな感じで、選べる。それも白か黒かではなくグラデーションがあっていいと思っています。完全に自給自足で生きるような世界もあるけれど、僕は今そこまで振り切れないし、例えばそこそこ東京の仕事で稼ぎつつ虫村の長屋に住んで、資本主義からの愛と自然資本からの愛を、半々ぐらいで受け取りながら生きるのもありだと思うんです。100%資本主義ではないパラレルを何か一つつくれたらいいなという感じですね。だから僕はコンポストトイレにウォシュレットを付けている(笑)。そういう「あわい」に帰着しそうですよね。
さわだ: そのバランスの良さが中村さんらしいなと思います。ライブハウスと開成を行き来しながら自分のポジションを見つけていったように。
中村: そこは意識しているかもしれないですね、「統合者」になるというか。放っておくと交わらないでそれぞれの人生を過ごしてしまうんだけど、たまたま僕は両方に首を突っ込んでいたから両方の良さが分かった。僕が資本主義の中で上場を経験しているからこそ、今そこから距離を取って藤野で虫村をやっていることもメッセージになる。そういうことをずっとやっている気がします。僕の今世の一つの役割かもしれない。「あわい」をつくるとか、統合するっていうのが。
人と人を混ぜるだけじゃなく、個人の中にも異なる世界と混ざるきっかけをつくりたい。例えばここに企業合宿でやって来て、藤野の町や虫村で過ごしているうちに「あれ? オフサイト合宿に来たはずなのに、この村の空気吸ってるうちに、いつもと違うこと言っちゃったぞ」みたいな。バグに触れることによって、外の世界のワンルールの中で生きていた人が、囚われから解放されるかもしれない。
「もっと広い世界がある。それを知らないなんてもったいない」という感じですかね。単純に僕自身が、人生に振れ幅があるほど楽しかったんですよ。自分の枠が広がるともっと楽しいよっていう気持ちが、たぶんベースにはあります。

誰もがありのままで十分な存在
さわだ: 虫村が誰かの人生を変えていくきっかけになるかもしれないですよね。正統派の受験ルートから始まった中村さんが、自分自身で人生を切り拓いていくというか、自律的に生きることに目覚めたのはいつ頃ですか?
中村: 大学で建築を学び始めた時ですね。初期の授業である教授から、「君たちはこれまで正解がある世界に生きていたと思いますが、建築の世界には正解はありません。だからもし、自分の主義主張があるなら長く続けなさい。同じことを言い続けなさい。10年後には、それは一つの“主義”になっているかもしれない。そういう世界が建築です」と聞いて、すごくワクワクしたんです。ここから先の世界は違うんだって。建築を通じて「自律」とは何かを知った。
でも自分がようやく自律してきたのは、ツクルバ退任の数年前、自分のメンタルモデルと向き合わざるを得なくなってからじゃないかな。僕には生い立ちも含めて「自分は不十分な存在なんじゃないか」という恐れがあって、それを乗り越える、あるいは隠そうとして、何かを社会に仕掛け、それを認めてもらうという行為をしていたのかもしれないと思い始めました。褒められたくて良い成績を取るとか、良い大学に入るとか、起業や新しいプロジェクトを立ち上げること…このコール&レスポンスで満たされているものは、結局は「不十分を隠そうとするプロセス」なんじゃないかと。
そのスパイラルに入ってたんだなと気づいたのが30代半ばで、そこから相対化ができて、自分の奥にあるものを認められた。それを経て今、「何はともあれ全員が今のままで十分な存在なんだよ」ということを僕は言いたいし、自分もそう言われたい。それが願いなんだと気づいてきました。
その辺りから本当の意味での自律というか、自分の弱さも含めて統合できつつあるのかなと思えるようになった。ごく最近のことですね。

ファウンダー空海への憧れと自分自身の死に方
さわだ: 高野山を創設した空海のお話がありましたが、中村さんが空海を敬愛しているのは、なぜなんでしょう?
中村: 妻の実家があるのでよく行っているんですが、高野山は町の構造も非常に面白くて、いちばん奥に「奥の院」があり、空海がそこで即身成仏して今なお生きている、という設定になっているんです。だから毎日、食事を運ぶ儀式があるんですが、現代風の見方をするなら一種のパフォーマンス、パレードのようなものだとも言えますよね。
そして奥の院の周辺2km程の敷地には、時代の権力者や現代の企業も含めた膨大な数のお墓が集められている。織田信長と明智光秀の墓がけっこう近くにあったりして、「死んだら皆、一緒だね」みたいなワンネス的な世界観が表現されている場所。お墓があれば、その子孫やゆかりの人々が必ず年に一度はお墓参りに来ますし、菩提寺の宿坊に泊まる。お墓や供養の費用は言ってみればサブスクモデルだし、それに加えてお布施や宿泊費なども発生します。町の中には高野山を支えるためのお店や学校などもあり、僧侶以外の人たちも暮らしを営んでいて、世界中から観光客が訪れ、経済も循環している。
場づくりが幾重にも重なっているこの仕組みは、ビジネスの観点でも本当にすごい。空海は自らが時を超えた信仰の対象であるというだけでなく、優れたビジネスパーソンでもあるんじゃないかと僕は思っているんです。
そして1000年以上も続くこの仕組みを全て空海が設計し尽くしていたわけではなく、空海が奥の院で入定して伝説の存在になった後に、それをちゃんとストーリーメイクして都市構造に落とし込んでいったフォロワーたちがいるということもすごいんじゃないかと。やっぱりファウンダーって、そのくらい半端なくぶち上げていいんだなって。そして自分は伝説になって死ぬという。あとは託そう、よろしくねって、それぐらいがちょうどいいのかもしれない。
空海は京都で都市的な仕事もたくさんした人だけど、高野山を開いてまちづくりをして、二拠点生活の走りみたいなものですよね。そしてきっと都の人たちを高野山に呼び寄せて、リトリートをしてバランスを回復してもらうようなこともやっていたんじゃないかと僕は勝手に想像してるんです。空海だったら現代のどこで何をやるのかな?というのが、僕の虫村のモデルなんですよね。だからいずれは裏山に墓地もつくりたい。「中村さんの魂はいまも森で生きてるよ」って、後世に語り継がれたらうれしい。死してなお場がつくられ続けるって面白いじゃないですか。むしろそこからが始まりですよね。
大いなる循環の中で生きる
さわだ: 高野山を、皆が幸せになるために乗っていくプラットフォームのように見ている視点がさすがだなと思いました。現にこの虫村に、中村さん自身の幸せな暮らしと家族があるということも、嘘がなくて僕は大好きです。
中村: 藤野に暮らして1年ほどになりますが、都心では考えられないほどたくさんの虫がいて、生も死もこんなに身近にあったんだと実感する日々なんですよ。昆虫たちは人間より短いスパンで生まれては死んでいく。僕は彼らよりは少し長いスパンかもしれないけど、でもやっぱり死んでいくことになる。それを思うと、僕は死んだら裏の森に埋まりたいなって。こんなにもたくさんの命が循環している場所に眠ったら幸せなんじゃないかと思うんです。そして雨と共に地下水になって、都心の方まで流れていくかもしれない。その水に触れた僕の子孫が、いつか微かに僕を感じるかもしれない。藤野にいると、そんなことを考えるんです。

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編集後記
「誰もが自分を愛し、誰かの支えになる世界」。中村さんは自らの会社KOUの始まりのページにそう記している。多様性が重なり合う幾多の場づくりを経て辿り着いた藤野で、今、中村さんは生と死や、地球環境、時間、人智を超えた世界までも統合者として視野に収めながら、「虫村」という新たな場づくりに挑んでいる。そこを訪れれば、きっと何かが自分の中で変わり始める。これまでいた世界には無かった、小さな小さな「バグ」をきっかけに。

【インタビュー】商店街を舞台に、地域をまるごと盛り上げる / 山崎団地名店会 会長 綾野 光紘さん
町田山崎団地を舞台に、団地に住まう人とまちの人とが入り混じり、団地ならではの豊かな暮らしや心地いい日常の景色を共に創り・発信していく取り組み、「まちやまプロジェクト」。
そのプロジェクトの一環として、団地や町田にまつわる取り組みをしている方のインタビューを発信していきます。
三人目となる今回は、町田山崎団地(以下、山崎団地)の商店街にてご自身の飲食店を経営されながら、史上最年少の名店会会長として商店街の活気づくりに取り組む綾野光紘さんです。名店会の会長に就任された背景や現在のご活動、山崎団地へかける思いについてお話を伺いました。
ミュージシャンと経営者、町田で挑んだ二足のわらじ
ー史上最年少の山崎団地名店会の会長、飲食店経営者にミュージシャンと、各方面でご活躍をされていらっしゃる綾野さん。まずは、生い立ちを含めたご経歴についてお聞きしたいです。
3歳から小学生時代を町田市で過ごしました。当時は本町田に住んでいたので、山崎団地や木曽団地の商店街は定番の遊び場でしたね。
その後、親の仕事の都合で6年間デンマークで暮らして、大学進学のタイミングで日本に戻ってきました。デンマークでギターを弾くことに熱中していたので、大学入学後はすぐにバンドを組み、音楽活動をスタートさせたんです。だんだんと音楽にもっと集中したいと思うようになり、通っていた大学を辞めてギターの専門学校に入学し直し、本格的に音楽の道へ進んでいきました。

自分のお店を始めたのは20代前半で、結婚をして子どもが生まれた時期でした。音楽を続けながら、しっかりと家族も養うために、自分で商売を始めることに決めたんです。
そこで、商売をするなら改めて勉強をしたいと思って、最初に通っていた大学にも復学しました。父親でありながら、同時にギタリストと大学生をやりつつ、飲食店経営者として「もつ鍋処 さくら」を開業したのが25歳くらいの頃ですね。
ー山崎団地で開業を決めたきっかけは何だったのですか?
町田駅前に出すことも考えましたが、失敗した時のリスクもあるので色々と検討しました。その時に、UR都市機構による「チャレンジスペース」という、団地内店舗での開業をバックアップしていただける取り組みを見つけたんです。家賃が数ヶ月間無料で、賃料自体も安いので、これならハードル低く始められると思いました。
綾野さんのお店「もつ鍋どころ さくら」
山崎団地の商店街といえば、自分も子どもの頃によく遊んでいたので雰囲気が分かりますし、”マンモス団地”と言われるように、人も集まっているエリアです。ここでなら挑戦できると感じて、開業することに決めました。
ただ、学生時代の半分を海外で過ごしていたので、町田に友達や知り合いが多い訳ではなかったんです。山崎団地名店会に参加する時も、やはり昔から守られてきた伝統もあり、新参者がどう馴染んでいくか、難しさを感じる瞬間はありましたね。
自店の未来を考えた先に、街全体が見えてきた
ー最初は手探りの中でスタートされた名店会でのご活動、ターニングポイントなどはありましたか?
コロナ禍が大きかったですね。当時、大規模な音楽プロジェクトのギタリストを担当していたのですが、新型コロナウイルスの蔓延によって活動がほぼ止まってしまったんです。
年齢のことも考えて、そろそろ商売に本腰を入れようと思い始めたタイミングで、町田の青年会議所や消防団に参加しました。そこで得た様々な出会いや発見が現在に繋がっています。

コロナ禍では時短営業でしたし、店舗の仕事は従業員の皆さんが変わらず働けるように任せていたので、社長として経営に使える時間が増えたんです。その時に、お客さんに来ていただくには待っているだけじゃダメだと考えて、外での活動も始めました。
青年会議所と消防団に入ってからは、一気に人脈が広がりましたね。今まで知り得なかった人たちと出会えたし、様々な視点や考え方を知ることができました。
それまでは自分のお店を中心に考えていましたが、「まちのために」という思いで活動する団体に身を置く中で、”まちづくり”の重要性にも気がついていったんです。
ー団地外にも活動を広げる中で、まち全体に意識が向かっていったというお話が印象的でした。山崎団地名店会の会長に就任されたきっかけや、普段のご活動について教えていただきたいです。
元々は進んで前に出ていく性格でもなくて、チャンスがあっても他にやりたい人がいるなら譲るようなタイプで。しかし、青年会議所で学んだ「機会の提供はするけど、そのチャンスを掴むのはあなた次第」という精神に刺激を受けて、貪欲にやっていこうと決めました。
ちょうどその頃、名店会の前会長が引退されるというお話があり、僕で良ければと立候補したんです。それが38歳の時で、史上最年少の会長として就任させていただくことになりました。

普段は対外的な仕事が多く、近隣の学校や公共施設をはじめとした、団地と地域を繋ぐ窓口のような役割です。今まで繋がりが少なかった団体や会合にも進んで顔を出し、たくさんの人と関わっていく姿勢は大事にしています。
そのようなコミュニケーションから、桜美林大学のホール内カフェや、町田市役所に新しくオープンする食堂の運営を任せていただきました。外に出ることの大切さを身をもって感じているので、それは後輩たちにも伝えるようにしています。
商店街の活気を作るべく、周りを巻き込み進んでいく
ー綾野さんが会長に就任されて2年、独自の工夫で地域を盛り上げる商店街として表彰されるなど、近年の山崎団地商店街の盛り上がりは地域の外にも伝わってきています。会長として大切にされていること、感じている変化は何ですか?
「やるからには全力で!」という性格なので、そういう気持ちで取り組んでいます。
私自身も飲食店経営をしているので、コロナ禍が明けても戻らない客足に焦る部分もありました。団地や周辺地域の人口が減ってしまうと、自分の店の経営も危なくなります。
どうすればいいのか考えた時、山崎団地やこの辺りに住みたいと思う人が増えるように、もっと過ごしやすい環境を作っていこうと思ったんです。そのためには、やはり商店街の賑わいが肝となるため、商売をする人たちが集うような土壌作りも大切になってきます。
そこから、「商店街に必要なのは活気作りだ!」という考えのもと、様々な企画に取り組んできました。
補助金も活用しながら、初めての秋イベントとしてハロウィンの催しをしたり、街灯の蛍光灯を温かみのある色に付け替えたり、気がついたことはどんどん実行に移しています。多世代が暮らす場所なので、団地内自治会や近隣の商店街、大学や保育園など、様々な団体を巻き込んで企画することは大切にしていますね。山崎団地商店街の取り組みを評価いただけたのも、周りの協力があってこそです。
ハロウィンイベントの様子
URさん主導で開催された「勉強会」では、居住者や商業事業者の方々と一緒にまちづくりを考えて、そこで膨らんだ具体的なアイデアが「やってみようの会」で実施される動きも生まれています。今年の4月には【第0回 山崎団地商店街でBBQをやってみようの会】ということで、団地の広場で初めてのBBQを行いました。
山崎団地商店街でBBQをやってみようの会の様子
あとは、リニューアルした駄菓子屋の「ぐりーんハウス」、「キャンドルStudio lepta」や「0号室(ノンアルコールドリンクスタンド)」など、新しいテナントと共に名店会に関わる人が増えていることも変化の一つです。
ぐりーんハウス
昨年商店街のSNSを作ったのですが、僕は更新が苦手なので「お弁当とお惣菜のお店 ポコちゃん」の店主の方が手伝ってくれています。それぞれ得意なことでご参加いただきながら、一緒に商店街を盛り上げたいですし、個店の利益が上がるように団地のPRをもっと頑張っていきたいです。
“暮らす”以外の関わり方も大歓迎、多様な人で賑わう場所に
ー綾野さんの思う山崎団地の魅力と、今後取り組んでいきたいことを教えてください。
この場所の魅力として真っ先に思いつくのが、安心安全ということです。団地の敷地内は車も通らないですし、地域の人の目に守られているような感覚もあり、二児の親としては安心感がありますね。
また、広場や自然を楽しめる場所がたくさんあるというのも、山崎団地の特徴であり魅力だと思います。活用できるスペースが豊富なので、使い方の可能性もまだまだ存分に秘めています。

そういった部分を団地の外の方にも伝えられるように、場所を活かしたイベントは増やしていきたいですね。例えば、敷地内でずっと空き地となっているところを、キャンプもできる常設のバーベキュー場にできたらいいなと思っていて、それは地域の方々との勉強会でもお話しています。
また、貯水池の辺りは緑も豊富でとても気持ちのいい場所なので、ベンチを置いて散歩コースを整備したり、アスレチックを作って子どもの遊び場にするのもいいですよね。今年から正和幼稚園との連携でスタートした「山崎団地冒険遊び場プロジェクト」という、子どもたちと多世代が交わる活動拠点にもなり得ると思います。
アイデアは色々あるので、イベントや勉強会など地域住民の方々の参加者を増やしながら、一緒に山崎団地の可能性を広げていきたいです。
ー最後に、山崎団地での暮らしや商いなどに興味を持っている方へメッセージをお願いします。

まずは、山崎団地がどんな場所なのか、ぜひ感じにいらしてください。いきなり移住をしなくても、イベントや商店街に遊びに来ていただいたり、お子様と冒険遊び場にご参加いただくのもいいかと思います。僕と同じように、団地のチャレンジスペースを活用して、自分の商いに挑戦する場所として捉えても面白いです。色々な関わり方ができると思うので、ぜひ一度足を運んでみてください。
編集後記
今回インタビューさせていただいた綾野光紘さんのお話からは、山崎団地への深い愛情と、地域全体を盛り上げていこうとする強い意志が伝わってきました。ご自身の飲食店経営だけでなく、商店街の活気づくりや、地域全体を巻き込んで新しいアイデアを実現していくその姿勢には、リーダーとしての確固たるビジョンが感じられます。
綾野さんのように、多彩な経験を持ちながら地域のために貢献する人がいることで、山崎団地は単なる居住地以上の、魅力あふれる場所としてさらに進化していくのではないかと思います。
「活気づくり」というキーワードのもと、これからも山崎団地がどのように変わっていくのか、ますます目が離せません。
読者の皆さんも、ぜひ一度足を運び、この地域の魅力を感じてみてください。
次回もまた、地域を支える方々の思いをお届けできればと思います。